福島第一原発事故の後、すべての原発を即座に停止しろ、と主張する人がいる。
確かに、原発は危険であることはよくわかった。しかし、今即座に原発を止めるとどうなるか。日本中が停電だらけになって、凍死する人や充分な医療を受けられずに亡くなる人がたくさん出てくるだろう。
東電の原発依存度は約30%だが、関西電力、四国電力、九州電力えは40%を超える。
原発即時停止を主張する人も、そうならないことがわかっているから、いくらでも強く主張できるわけだ。ほんとうに停止したら、けっこうオロオロすると思う。
どんなに欠陥のあるシステムでも、このシステムに依存して生活している人がたくさんいるかぎり、新システムを立ち上げる前に欠陥システムをオシャカにすることはできない。
他方、自動車より原発のほうが安全だ、と主張する人がいる。確かに、日本では原発事故で亡くなった人はJCO臨界事故(1999年)の2人だけだ。交通事故では毎年5,000人以上が亡くなっている。
しかし、この議論は間違っている。交通事故死は、システムの中に組み入れられた死だ。交通事故死者数毎年5,000人という事実を知りながら、人々はこれを受容している。
原発で事故が起きて、時々人が死に、周囲に放射性物質が拡散するのはある程度やむをえない、という前提を共有しないかぎり、「自動車より原発のほうが安全だ」という議論は成立しない。社会がこの前提を認めないのは、原発事故の後始末があまりにも大変なことと、原発がなくとも他のエネルギーがあれば生活に困らないことを知っているからだ。
自動車に関しては、そうはいかない。今のところ、自動車に代わる道具はない。自動車を即時全廃したら、救急車1台すら動かない。毎年5,000人以上の死者が出るだろう。
しかし、原発には選択肢が与えられている。総点検し、可能なかぎり安全にした上で運転を続けながら、早急に別のエネルギー源に徐々に切り替えて、もっとも危険度の高い原発から廃炉にするという選択が可能だ。
そのために社会がなすべきことは、もっとも効率のよいエネルギー源を開発することだ。
それは、太陽光でも風力でもない何かだ。太陽光も風力も、現状では効率が悪くて、とても主要なエネルギー源にはなり得ないからだ。
以上、池上清彦(早稲田大学国際教養部教授)「最も効率のよいエネルギー源の開発を ~池上教授の机上放論51~」(「週刊朝日」2011年4月29日号)に拠る。
*
「社説:論調観測…『福島第1』事故後の原発政策」(ニート速報VIB)によれば、新聞大手4紙の原発に対する態度は、二つに割れているよし。
毎日・朝日・・・・「原発依存から脱却すべき」
産経・読売・・・・「一時の感情に流されるな。原発は電力供給で重要」
↓クリック、プリーズ。↓


確かに、原発は危険であることはよくわかった。しかし、今即座に原発を止めるとどうなるか。日本中が停電だらけになって、凍死する人や充分な医療を受けられずに亡くなる人がたくさん出てくるだろう。
東電の原発依存度は約30%だが、関西電力、四国電力、九州電力えは40%を超える。
原発即時停止を主張する人も、そうならないことがわかっているから、いくらでも強く主張できるわけだ。ほんとうに停止したら、けっこうオロオロすると思う。
どんなに欠陥のあるシステムでも、このシステムに依存して生活している人がたくさんいるかぎり、新システムを立ち上げる前に欠陥システムをオシャカにすることはできない。
他方、自動車より原発のほうが安全だ、と主張する人がいる。確かに、日本では原発事故で亡くなった人はJCO臨界事故(1999年)の2人だけだ。交通事故では毎年5,000人以上が亡くなっている。
しかし、この議論は間違っている。交通事故死は、システムの中に組み入れられた死だ。交通事故死者数毎年5,000人という事実を知りながら、人々はこれを受容している。
原発で事故が起きて、時々人が死に、周囲に放射性物質が拡散するのはある程度やむをえない、という前提を共有しないかぎり、「自動車より原発のほうが安全だ」という議論は成立しない。社会がこの前提を認めないのは、原発事故の後始末があまりにも大変なことと、原発がなくとも他のエネルギーがあれば生活に困らないことを知っているからだ。
自動車に関しては、そうはいかない。今のところ、自動車に代わる道具はない。自動車を即時全廃したら、救急車1台すら動かない。毎年5,000人以上の死者が出るだろう。
しかし、原発には選択肢が与えられている。総点検し、可能なかぎり安全にした上で運転を続けながら、早急に別のエネルギー源に徐々に切り替えて、もっとも危険度の高い原発から廃炉にするという選択が可能だ。
そのために社会がなすべきことは、もっとも効率のよいエネルギー源を開発することだ。
それは、太陽光でも風力でもない何かだ。太陽光も風力も、現状では効率が悪くて、とても主要なエネルギー源にはなり得ないからだ。
以上、池上清彦(早稲田大学国際教養部教授)「最も効率のよいエネルギー源の開発を ~池上教授の机上放論51~」(「週刊朝日」2011年4月29日号)に拠る。
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「社説:論調観測…『福島第1』事故後の原発政策」(ニート速報VIB)によれば、新聞大手4紙の原発に対する態度は、二つに割れているよし。
毎日・朝日・・・・「原発依存から脱却すべき」
産経・読売・・・・「一時の感情に流されるな。原発は電力供給で重要」
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