語られる言葉の河へ

2010年1月29日開設
大岡昇平、佐藤優、読書

【大間原発】訴訟第1回弁論 ~函館市vs.国・電源開発~

2014年08月01日 | 震災・原発事故
 大間原発をめぐって対岸の函館市が、国と電源開発に対して建設の差し止めなどを求めた訴訟【注】の、第1回口頭弁論が7月3日、東京地裁であった。
 冒頭、原告側意見陳述で、工藤壽樹・函館市長は、国と電源開発への不信感を露わにした。
 「きわめて横暴で、強圧的なやり方だ」

 大間原発から函館市まで、津軽海峡を挟んで最短23km。事故が起きれば大きな被害を受ける。
 市は、3・11後に30km圏内の自治体として避難計画の作成を国から義務づけられたが、大間原発への「同意権」はないまま。工事が2012年10月に再開された際も、「電源開発は一方的に通告しに来ただけ」【工藤市長】。

 工藤市長は、大間原発の問題点を列挙し、「無期限凍結」を訴えた。
  (a)世界初の「フルMOX」方式(毒性が非常に強いプルトニウムを使った燃料だけで動かす)で、危険性が高い。
  (b)津軽海峡は領海が3カイリ(5.5km)しかなく、テロリストに狙われやすい。
  (c)福島原発事故を招いたずさんな審査基準で許可されている。
 
 市が訴訟の根拠に掲げるのは、の次の二つだ。重大事故によるこれらの権利への侵害を排除、予防するために原発の建設中止を求めている。
  ①地方自治体の存立を維持する権利(地方自治権)
  ②市有財産の財産権

 口頭弁論では、国の代理人も異例の意見陳述に立ち、訴えを却下するよう主張した。
  ①’地方自治権は憲法が保障する自治体固有の権利ではない。
  ②’自治体の財産権は個人の財産権のようには保護されず、市には原告適格がない。

 これに対して市の弁護団は、次のように反論する。この点が最初の争点になるだろう。
  ①''福島の事故では自治体の「生命」が失われており、存立権を実体ある権利として認めるべきだ。 
  ②''改正原子炉等規制法には「国民の財産の権利」が明記され、市にも原告適格がある。

 【注】「【原発】函館市の大間原発建設差し止め訴訟 ~自治体初~

□小石勝(ジャーナリスト)「「大間原発の無期限凍結を」 函館市長が不信感表明」(「週刊金曜日」2014年7月18日号)
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