「上海福喜食品」問題で、他の外食チェーンは大丈夫か。
騒動の震源地となったマクドナルドは、「チキンクリスプ」「チキンタツタ」など8商品でタイ産の鶏肉を使用。
ただし、これは今回の問題を受けて中国産チキンの販売を中止した7月25日以降の話。同社は昨年、中国から17,000トンもの鶏肉を調達していた。
他社で中国産を使用しているところは意外と少ない。次の2品くらい。
(a)モスバーガーの「モスチキン」。
(b)フレッシュネスバーガーの「グリル土チキン」
日本に輸入される鶏肉には2種類ある。
①スーパーなどで購入して主に家庭で調理される生肉、冷凍肉。
②外国で加工される鶏肉調整品。
①のほとんどがブラジル産。中国では鳥インフルエンザが蔓延しているため、中国からの生肉と冷凍肉の輸入は禁止されている。
鶏肉輸入量は41万トン(2013年)。うち9割超の39万トンをブラジルから輸入する。【農林水産物輸出入概況】
モスバーガー、フレッシュネスバーガーファーストキッチンではブラジル産の鶏肉を日本で加工している商品がある。ガストでは「鶏肉を使用するすべての商品」が産地も加工もブラジルだ。
今回問題になったマクドナルドの「チキンマックナゲット」は②だ。中国の工場で油で揚げられ、最終商品の状態で冷凍して輸出され、日本の店舗で二度揚げして客に提供されていた。
②は、①より若干多い44万トン(2013年)。うちタイが21.4万トン、中国が22万トン。
中国の鶏肉と違って、タイやブラジルの場合は、抗生剤やホルモン剤の投与にうるさい。両国はEUにも鶏肉を輸出している。EUは抗生剤やホルモン剤に係る残留基準が厳しい。だから、鶏肉のみならず豚や牛も、EUへ出荷している国は比較的安全だ。
今の時代、食の安全を語る際には輸入相手国と日本との関係も重要になってくる。生産または加工に携わる国の人が日本を好きかどうか。ブラジルはもともと日系人が養鶏を広めた国だし、タイも親日的な国だ。他方、中国は日本との関係が悪い。毒ギョーザ事件もそうした土壌から生まれた。衛生面、生産体制に加えて、反日かどうかという視点でも、中国産よりタイ産・ブラジル産の方が安心だ。
とはいえ、今も鶏肉調整品の半分は中国から輸入されている。ファストフードやファミレス以外に、中国産鶏肉はどこで使われているのか。
今回「上海福喜食品」からはファミリーマートが輸入していたが、他のコンビニで売られている唐揚げなどの商品も中国産が多い。スーパーの前などで売られている焼き鳥、居酒屋で出される安い唐揚げ、焼き鳥は中国で加工してから冷凍で輸入されるものが多い。日本で加工すると工賃が高いから、安くするには外国で加工するしかないのだ。外食チェーンの商品は産地表示の義務がないし、食べても中国産かどうか、味で見分けることができる人なんていない。
中国産の鶏肉は、サラリーマンが行くような安い定食屋や社員食堂、老人ホーム、学食などの外食産業に紛れ込んでいる。
こうした中国産の加工食品の検査体制はどいうなっているか。
従来はメタミドホス(毒ギョーザ事件で検出)のような危険物質や大腸菌などの細菌が入っていないか、という検査を行っていた。ただ、農薬などの検査をしても、今回のような期限切れの肉を使った商品かどうかまでは分からない。成分を一から調べないと、中国の危険食品を見分けることは難しい。
国の食品検査に従事する食品衛生監視員は、全国で399人しかいない。人数が全く足りていない。2012年度の輸入食品監視統計によれば、食品の輸入時における届出件数218万件に対し、検査件数は22万件。検査率は1割で、残り9割は検査されていない。
□記事「ファストフード、ファミレス12社実名調査 中国産鶏肉メニューを教えてください」(「週刊文春」2014年8月7日号)
↓クリック、プリーズ。↓
【参考】
「【食】中国の鶏肉問題--流通のグローバル化で食の安全はますます困難に」
「【中国】チキンの恐怖 ~日本マクドナルドの中国産鶏肉の危険性~」
「【中国】習近平、見えてきた独裁者の正体 ~外交・内政・軍事・経済~」
「【中国】システムの危機と上部からの腐敗 ~老化する大国(3)~ 」
「【中国】党指導部はゲームの脇役 ~老化する大国(2)~ 」
「【中国】共産主義の崩壊と伝統的家族への回帰 ~老化する大国(1)~」
「【中国】低迷する経済 ~習近平政権の1年~」
「【中国】現地取材で痛感 やっぱり危ない中国産食品」
「【中国】実録・猛毒食品「僕らだって怖い!」 ~中国人は語る~」
「【食】添加物の危険性 ~煮付け油揚げ~」
「【食】危険な除草剤の増加 ~除草剤耐性GM作物~」
「【食】イオンの産地偽装 ~中国猛毒米~」
「【中国】汚染大国 ~PM2.5、農薬、重金属まみれの野菜~」
「【食】中国における食品汚染事件 ~悪質ケース50(抄)~」
「【食】「危ない中国産」を見破る法 ~ジュース・菓子~」
「【食】中国産ウナギ肝から国際基準の1.5倍のカドニウム」
「【食】外食、どのメニューに中国産が入っているか ~中国食品を見破れ(3)~」
「【食】安いものにはウラがある ~成型肉の添加物~」
「【食】中国産から身を守るためのQ&A ~中国食品を見破れ(2)~」
「【食】中国食品を見破れ ~スーパー・外食~」
「【食】中国猛毒食品(2) ~アサリ・エビ・ピーナッツ・漬物・ウナギ~」
「【食】中国猛毒食品 ~絶対に食べてはいけない遺伝子組み換え米~」
「【中国】影の銀行つぶし ~アベノミクスの行方を左右する中国の政策~」
「【中国】凄まじい貧富の格差」
「【中国】政経一体システム ~今後どうビジネスを展開するか~」
「【中国】政府から独立している軍隊 ~尖閣をめぐる軍事的問題~」
「【中国】外交と国内問題との関係 ~今後の展望~」
「【中国】改善されない環境問題 ~大気汚染・水質汚染・食品汚染~」
「【中国】恐るべき階級社会 ~農村戸籍と都市戸籍~」
「【中国】5大リスク ~不衛生・格差・バブル崩壊・少子高齢化・軍の暴走~」
「【食】中国産鶏肉の危険(2) ~有機塩素・残留ホルモン~」
「【食】日本マクドナルドが輸入する中国産鶏肉の危険 ~抗生物質~」
「【食】中国産食材は大丈夫か? 日本の外食産業は?」
「【食】【TPP】原産地表示の抜け道 ~食のグローバル化~」
「【食】中国食品の有害物質混入、表示偽装 ~黒心食品~」
「【食】中国産薬漬け・病気鶏肉を輸入する日本マクドナルド・その後」
「【食】中国産薬漬け・病気鶏肉を輸入する日本マクドナルド」
騒動の震源地となったマクドナルドは、「チキンクリスプ」「チキンタツタ」など8商品でタイ産の鶏肉を使用。
ただし、これは今回の問題を受けて中国産チキンの販売を中止した7月25日以降の話。同社は昨年、中国から17,000トンもの鶏肉を調達していた。
他社で中国産を使用しているところは意外と少ない。次の2品くらい。
(a)モスバーガーの「モスチキン」。
(b)フレッシュネスバーガーの「グリル土チキン」
日本に輸入される鶏肉には2種類ある。
①スーパーなどで購入して主に家庭で調理される生肉、冷凍肉。
②外国で加工される鶏肉調整品。
①のほとんどがブラジル産。中国では鳥インフルエンザが蔓延しているため、中国からの生肉と冷凍肉の輸入は禁止されている。
鶏肉輸入量は41万トン(2013年)。うち9割超の39万トンをブラジルから輸入する。【農林水産物輸出入概況】
モスバーガー、フレッシュネスバーガーファーストキッチンではブラジル産の鶏肉を日本で加工している商品がある。ガストでは「鶏肉を使用するすべての商品」が産地も加工もブラジルだ。
今回問題になったマクドナルドの「チキンマックナゲット」は②だ。中国の工場で油で揚げられ、最終商品の状態で冷凍して輸出され、日本の店舗で二度揚げして客に提供されていた。
②は、①より若干多い44万トン(2013年)。うちタイが21.4万トン、中国が22万トン。
中国の鶏肉と違って、タイやブラジルの場合は、抗生剤やホルモン剤の投与にうるさい。両国はEUにも鶏肉を輸出している。EUは抗生剤やホルモン剤に係る残留基準が厳しい。だから、鶏肉のみならず豚や牛も、EUへ出荷している国は比較的安全だ。
今の時代、食の安全を語る際には輸入相手国と日本との関係も重要になってくる。生産または加工に携わる国の人が日本を好きかどうか。ブラジルはもともと日系人が養鶏を広めた国だし、タイも親日的な国だ。他方、中国は日本との関係が悪い。毒ギョーザ事件もそうした土壌から生まれた。衛生面、生産体制に加えて、反日かどうかという視点でも、中国産よりタイ産・ブラジル産の方が安心だ。
とはいえ、今も鶏肉調整品の半分は中国から輸入されている。ファストフードやファミレス以外に、中国産鶏肉はどこで使われているのか。
今回「上海福喜食品」からはファミリーマートが輸入していたが、他のコンビニで売られている唐揚げなどの商品も中国産が多い。スーパーの前などで売られている焼き鳥、居酒屋で出される安い唐揚げ、焼き鳥は中国で加工してから冷凍で輸入されるものが多い。日本で加工すると工賃が高いから、安くするには外国で加工するしかないのだ。外食チェーンの商品は産地表示の義務がないし、食べても中国産かどうか、味で見分けることができる人なんていない。
中国産の鶏肉は、サラリーマンが行くような安い定食屋や社員食堂、老人ホーム、学食などの外食産業に紛れ込んでいる。
こうした中国産の加工食品の検査体制はどいうなっているか。
従来はメタミドホス(毒ギョーザ事件で検出)のような危険物質や大腸菌などの細菌が入っていないか、という検査を行っていた。ただ、農薬などの検査をしても、今回のような期限切れの肉を使った商品かどうかまでは分からない。成分を一から調べないと、中国の危険食品を見分けることは難しい。
国の食品検査に従事する食品衛生監視員は、全国で399人しかいない。人数が全く足りていない。2012年度の輸入食品監視統計によれば、食品の輸入時における届出件数218万件に対し、検査件数は22万件。検査率は1割で、残り9割は検査されていない。
□記事「ファストフード、ファミレス12社実名調査 中国産鶏肉メニューを教えてください」(「週刊文春」2014年8月7日号)
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【参考】
「【食】中国の鶏肉問題--流通のグローバル化で食の安全はますます困難に」
「【中国】チキンの恐怖 ~日本マクドナルドの中国産鶏肉の危険性~」
「【中国】習近平、見えてきた独裁者の正体 ~外交・内政・軍事・経済~」
「【中国】システムの危機と上部からの腐敗 ~老化する大国(3)~ 」
「【中国】党指導部はゲームの脇役 ~老化する大国(2)~ 」
「【中国】共産主義の崩壊と伝統的家族への回帰 ~老化する大国(1)~」
「【中国】低迷する経済 ~習近平政権の1年~」
「【中国】現地取材で痛感 やっぱり危ない中国産食品」
「【中国】実録・猛毒食品「僕らだって怖い!」 ~中国人は語る~」
「【食】添加物の危険性 ~煮付け油揚げ~」
「【食】危険な除草剤の増加 ~除草剤耐性GM作物~」
「【食】イオンの産地偽装 ~中国猛毒米~」
「【中国】汚染大国 ~PM2.5、農薬、重金属まみれの野菜~」
「【食】中国における食品汚染事件 ~悪質ケース50(抄)~」
「【食】「危ない中国産」を見破る法 ~ジュース・菓子~」
「【食】中国産ウナギ肝から国際基準の1.5倍のカドニウム」
「【食】外食、どのメニューに中国産が入っているか ~中国食品を見破れ(3)~」
「【食】安いものにはウラがある ~成型肉の添加物~」
「【食】中国産から身を守るためのQ&A ~中国食品を見破れ(2)~」
「【食】中国食品を見破れ ~スーパー・外食~」
「【食】中国猛毒食品(2) ~アサリ・エビ・ピーナッツ・漬物・ウナギ~」
「【食】中国猛毒食品 ~絶対に食べてはいけない遺伝子組み換え米~」
「【中国】影の銀行つぶし ~アベノミクスの行方を左右する中国の政策~」
「【中国】凄まじい貧富の格差」
「【中国】政経一体システム ~今後どうビジネスを展開するか~」
「【中国】政府から独立している軍隊 ~尖閣をめぐる軍事的問題~」
「【中国】外交と国内問題との関係 ~今後の展望~」
「【中国】改善されない環境問題 ~大気汚染・水質汚染・食品汚染~」
「【中国】恐るべき階級社会 ~農村戸籍と都市戸籍~」
「【中国】5大リスク ~不衛生・格差・バブル崩壊・少子高齢化・軍の暴走~」
「【食】中国産鶏肉の危険(2) ~有機塩素・残留ホルモン~」
「【食】日本マクドナルドが輸入する中国産鶏肉の危険 ~抗生物質~」
「【食】中国産食材は大丈夫か? 日本の外食産業は?」
「【食】【TPP】原産地表示の抜け道 ~食のグローバル化~」
「【食】中国食品の有害物質混入、表示偽装 ~黒心食品~」
「【食】中国産薬漬け・病気鶏肉を輸入する日本マクドナルド・その後」
「【食】中国産薬漬け・病気鶏肉を輸入する日本マクドナルド」