語られる言葉の河へ

2010年1月29日開設
大岡昇平、佐藤優、読書

【詩歌】荒地 ~リラ~

2015年04月01日 | 詩歌

 四月は残酷極まる月だ
 リラの花を死んだ土から生み出し
 追憶に慾情をかきまぜたり
 春の雨で鈍重な草根をふるい起こすのだ。
 冬は人を温かくかくまってくれた。
 地面を雪で忘却の中に被い
 ひからびた球根で短い生命を養い。

  April is the cruellest month, breeding
  Lilacs out of the dead land, mixing
  Memory and desire, stirring
  Dull roots with spring rain.
  Winter kept us warm, covering
  Earth in fogetful snow, feeding
  A little life with dried tubers.

□T.S.エリオット(西脇順三郎・訳)『荒地』(『世界文学全集48 世界近代詩人十人集』所収、新潮社、1963)の「1 埋葬」冒頭の7行
□Thomas Stearns Eliot “THE WASTE LAND & GERONTION” (福田陸太郎/森山泰夫・注解)(大修館書店、1967)
□T. S. Eliot “THE WASTE LAND”
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     リラ
    

【古賀茂明】氏に対するバッシング ~テレ朝「報道ステーション」問題~

2015年04月01日 | 社会
 (1)古賀茂明氏は27日のテレビ朝日の「報道ステーション」に出演中、古舘伊知郎キャスターから中東情勢への意見を求められた際に話題を変え、早河会長らの意向で降板に至った、と発言。続けて「菅(義偉)官房長官をはじめ官邸のみなさんにはものすごいバッシングを受けてきました」と述べた【注1】。

 (2)テレビ朝日は31日、年度末の定例社長会見に出席した早河洋会長が「皆さまにおわびをしたい」と陳謝した。
 会見で早河会長は、政治家からの圧力については、「一切ありません」と述べ、古賀氏が「バッシングを受けてきた」と話したことについては、「具体的な中身について聞いていない」とした【注2】。

 (3)番組のコメンテーターに求められるのはどんな役割なのか。
 最近、在京の民放番組で「強い意見を言う人」が求められていない。長くコメンテーターを務め、選挙期間をのぞき、局側から発言の規制はないが、「左派」に限らず「右派」と言われる人も出番が減った。異なる主張をぶつけあう討論番組自体もここ10年で尻すぼみになっている。局側の体力不足がある。制作費が削られるなどして余力がなくなり、面倒なことになるような発言をする人を避けているのかも。一方で、池上彰・ジャーナリストや林修・予備校講師のように、わかりやすく「解説する人」が重宝されている。本来、視聴者が多様な意見を知り、判断するのが民主主義。でも今は意見や論評よりも解説が望まれる。そんな状態がよいのかどうか、考えるきっかけになればよい。【森永卓郎・経済アナリスト】

 (4)官房長官や官邸からバッシングを受けたとする古賀氏の発言に、安倍政権も神経をとがらせる。
 菅官房長官は30日、会見で「まったくの事実無根」【注3】としたうえで、「放送法という法律があるので、まずテレビ局がどう対応されるかを見守りたい」と述べた。放送法は4条1項で「報道は事実を曲げないですること」と定める。
 菅官房長官が放送法に言及したことに、政府から放送免許を受けているテレビ局側は、「何かといえば放送法を持ち出す空気が気になる。放送法を権力側が都合よく使っていないか」。
 実際、放送局に対し、「政治的に公平であること」と定めた放送法に沿った注文がつくケースが増えている。自民党は昨年11月、在京テレビキー局に、衆院選の報道に「公平中立、公正の確保」を求める文書を送り、街頭インタビューなどでも一方的な意見に偏らないように要請。TBSのニュース番組に出演した安倍晋三首相が、「街の声」の選定について注文を付ける一幕もあった。
 今年3月には、維新の党が大阪都構想に反対する立場のコメンテーターの起用を疑問視する公開質問状を大阪の朝日放送に送っている。
 そもそも放送法は権力側が放送局に介入しないという趣旨の法律ではなかったか。【ある民放幹部】
 放送法3条は定める。「放送番組は、法律に定める権限に基づく場合でなければ、何人からも干渉され、又は規律されることがない」

 (5)今回の最も大きな問題は、政権与党と放送メディアとの関係だ。官房長官が「放送法」を持ち出したのは非常に巧妙。直接的ではなくても、口に出すことで圧力になる。今後、テレビ局側が当たり障りのないコメンテーターを使うなど、結果的にメディアによる権力批判が封じられることにつながる可能性がある。言論表現の自由は本来、市民が権力を批判するためにあるもので、権力を持っているものが振りかざすものではない。権力者が振りかざす表現の自由は、権力に都合のよい言論の自由にすり替わる。【砂川浩慶・立教大学准教授(メディア論)】

 【注1】古賀発言とテレ朝の対応に係る視聴者の受けとめ方の一例・・・・【TABIBITO「テレ朝「報ステ」古賀降板騒動と、米NYタイムズ東京支局長の忠告──安倍政権とともにメディア界も、いよいよ「ここまで来たか」といえる深刻な事態なのか 」(「自然に 素朴に 明日をみつめて」 2015年03月30日)】
 【注2】実は去年からそういう動きがあって、1月の初めには全部決まっていたらしい。【田中龍作「古賀茂明氏、単独インタビュー ~テレビ朝日編~」(BLOGOS 2015年03月29日)】
 【注3】事実無根? 【記事「事実無根じゃない! 菅官房長官が古賀茂明を攻撃していた「オフレコメモ」を入手」(LITERA 2015年03月31日)】
---(引用開始)---
Q 会見で出た、ISILの件でまったく事実と違うことを延々としゃべっていたコメンテーターというのはTBSなんでしょうか。
A いやいや、いや、違う。
Q テレビ朝日ですか?
A どことは言わないけど
Q 古賀茂明さんですか?
A いや、誰とは言わないけどね。(※肯定の反応)ひどかったよね、本人はあたかもその地に行ったかのようなことを言って、事実と全然違うことを延々としゃべってる。放送法から見て大丈夫なのかと思った。放送法がある以上、事実に反する放送をしちゃいけない。本当に頭にきた。俺なら放送法に違反してるって言ってやるところだけど。
(中略)
 ようするに、嘘をついていたのは古賀氏でなく、菅官房長のほうなのだ。明らかに、「放送法違反」という言葉で古賀氏と『報道ステーション』を攻撃しなから、平気で「事実無根」などと強弁する。捏造と謀略による報道弾圧を繰り返してきた安倍政権の官房長官ならではの手法といえるだろう。
---(引用終了)---

□記事「報ステ古賀氏発言、暴走か圧力か 局側の萎縮懸念」(朝日新聞デジタル 2015年4月1日)
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 【参考】
【古賀茂明】原発廃炉と新増設とはセット ~「重要なベースロード電源」論~
【古賀茂明】改革逆行国会 ~安倍政権の官僚優遇~
【古賀茂明】安部総理の「大嘘」の大罪 ~汚染水~
【古賀茂明】「政治とカネ」を監視するシステム ~マイナンバーの使い方~
【古賀茂明】南アとアパルトヘイト ~曽野綾子と産経新聞~
【古賀茂明】報道自粛に抗する声明
【古賀茂明】「戦争実現国会」への動き
【古賀茂明】日本人を見捨てた安倍首相 ~二つのウソ~
【古賀茂明】盗人猛々しい安倍政権とテレビ局
【古賀茂明】安倍政権が露骨な沖縄バッシングを行っている
【古賀茂明】官僚の暴走 ~経産省と防衛省~
【古賀茂明】安倍政権が、官僚主導によって再び動き出す
【古賀茂明】自民党の圧力文書 ~表現の自由を侵害~
【古賀茂明】自民党が犯した最大の罪 ~自民党若手政治家による自己批判~
【古賀茂明】解散と安倍政権の暴走 ~傾向と対策~
【古賀茂明】解散と安倍政権の暴走
【古賀茂明】文書通信交通滞在費と維新の法案
【古賀茂明】宮沢経産相は「官僚の守護神」 ~原発再稼働~
【古賀茂明】再生エネルギー買い取り停止の裏で
【古賀茂明】女性活用に本気でない安部政権
【古賀茂明】【原発】中間貯蔵施設で官僚焼け太り
【古賀茂明】御嶽山で多数の死者が出た背景 ~政治家の都合、官僚と学者の利権~
【古賀茂明】従順な小渕大臣と暴走する官僚 ~原発再稼働~
【古賀茂明】イスラム国との戦争 ~集団的自衛権~
【古賀茂明】「地方創生」は地方衰退への近道 ~虚構のアベノミクス~
【古賀茂明】【原発】原子力ムラの最終兵器
【古賀茂明】【原発】凍らない凍土壁に税金を投入し続けたわけ
【古賀茂明】【原発】勝俣恒久・元東電会長らの起訴 ~検察審査会~
【古賀茂明】安倍政権の武器輸出 ~時代遅れの「正義の味方」~
【古賀茂明】またも折れそうな第三の矢 ~医薬品ネット販売解禁の大嘘~
【古賀茂明】「1年後の夏」に向けた布石 ~集団的自衛権~
【古賀茂明】法人減税で浮き彫りにされる本当の支配者 ~官僚と経団連~
【古賀茂明】都議会「暴言問題」の真実 ~記者クラブによる隠蔽~
古賀茂明】集団的自衛権とワールドカップ
【古賀茂明】野党再編のカギは「戦争」
【古賀茂明】電力会社の歪んだ「競争」 ~税金をもらって商売~
【原発】【古賀茂明】規制委員会人事とメディアの責任
【古賀茂明】医師と官僚の癒着の構造
【古賀茂明】電力会社「値上げ救済」の愚 ~経営難は自業自得~
【古賀茂明】竹富町「教科書問題」の本質 ~原発推進教科書~
【古賀茂明】安部総理の「11本の矢」 ~戦争国家への道~
【古賀茂明】理研は利権 ~文科官僚~
【古賀茂明】「武器・原発・外国人」が成長戦略 ~アベノミクスの今~
【古賀茂明】マイナンバーを政治資金の監視に ~渡辺・猪瀬問題~
【古賀茂明】東電を絶対に潰さずに銀行を守る ~新再建計画~
【古賀茂明】「避難計画」なき原発再稼働
【古賀茂明】「建設バブル」の本当の問題 ~公共事業中毒の悪循環経済~  
【古賀茂明】安倍政権の戦争準備 ~恐怖の3点セット~
【原発】【古賀茂明】利権構造が完全復活 ~東日本大震災3年~
【古賀茂明】アベノミクスの限界 ~笑いの止まらない経産省~
【古賀茂明】労働者派遣法改正前にすべきこと
【古賀茂明】時代遅れな、あまりにも時代遅れな ~安部政権のエネルギー戦略~
【古賀茂明】森元首相の二枚舌 ~オリンピックの政治的利用~
【古賀茂明】若者を虜にする「安部の詐術」 ~脱出の道は一つ~



【詩歌】高瀬川 ~桜~

2015年04月01日 | 詩歌

 さまざまのこと思ひ出す桜かな  松尾芭蕉

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 ジュディ・オング「祇園白川」(2004年)
  
                                         高瀬川

【古賀茂明】これが「美しい国」なのか ~安倍政権がめざすカジノ大国~

2015年04月01日 | 社会
 (1)安倍政権は、カジノ法案を昨秋の臨時国会で成立させようとしたが、断念した。
 ところが、またこの法案が提出されそうだ。
 カジノは自民党が成長戦略の目玉に掲げているから当然予想された動きだが、こんなものを本当に通してよいのか。

 (2)カジノを熱望しているのは、実は霞が関の各官庁もまた同じだ。狙いは新たな利権づくりだ。
 カジノができれば、賭け金や収益など、巨額の資金が動く。規制のさじ加減ひとつで、そのカネの流れが大きく変わる。規制官庁は大きな権限、すなわち利権を手中にすることができる。おいしい話が転がりこむ主な官庁は、
   ・内閣府・・・・主務官庁
   ・厚生労働省・・・・ギャンブル依存症対策
   ・国土交通省・・・・国際観光振興
   ・警察庁・・・・取り締まりなど

 (3)利権狙いの伏線をすでに張る動きもある。
 厚労省は、2014年8月、ギャンブル依存症の疑いのある国民が536万人もいる、という推計を突然公表した。一見、カジノ法案反対の動きに見えるが、違う。
   ・ギャンブルの害毒を世間に印象づけ、
   ・カジノ法案成立後に依存症対策予算を獲得し、
   ・その対策のための新しい組織を作って、新たな天下り先を獲得する。
 ・・・・という用意周到な計画なのだ。

 (4)カジノ法案には国民の反対が非常に強い。
 しかし、カジノ利権は、政治家、官僚の双方が喉から手が出るほど欲しているだけに、成立時期は別として、成立への動きは止まるまい。
 カジノは莫大な利益を生み出す金の卵であるのは確かかもしれない。海外から大勢の観光客を呼び込もうとする皮算用も行われている。
 だが、他方、次のような副作用がつきまとう。
   ・ギャンブル依存症拡大
   ・多重債務者増加、
   ・マネーロンダリングの温床
   ・青少年への悪影響
   ・治安悪化

 (5)日本には優れた観光資源が豊富にある。四季折々の美しい自然、和食、アニメ、「カワイイ」文化(代表は原宿ストリート)、さらにはおもてなしの心など、「クールジャパン」に心惹かれる外国人は多い。
 カジノは、そうした日本独自の観光資源とは真逆だ。ただ「儲かる」という理由だけでカジノを作るのは、あまりに軽率ではないか。
 海外では、容易なカジノ誘致で失敗し、カジノが破綻するだけでなく、町全体が廃墟のようになってしまったところがある。

 (6)日本の将来について論議を尽くし、そのあるべき姿を骨太に構想する・・・・大切なのは、これだ。
 その上で、海外の猿真似をするのではなく、もっと自らの自然や文化に誇りを持てる成長戦略を策定すべきだ。
 「日本人の生き方」が問われる問題だ。

 (7)安倍政権の成長戦略は、結局不発のままだ。
 農業改革も医療改革も、お茶を濁すような小さなアリバイ作りに終始している。
 電力改革も遅々として進まない。それどころか、原発推進・自然エネルギー冷遇に舵を切った。
 安部総理が描く「美しい国」は、
   ・「武器輸出大国」
   ・「原発輸出大国」
   ・「ギャンブル大国」
の日本だ。それは普通の国民が考える「美しい国」とはかけ離れているのではないか。
 外交安全保障だけでなく、成長戦略でも「I am not ABE」と叫ばざるを得ない。

□古賀茂明「これが「美しい国」なのか ~官々愕々第149回~」(「週刊現代」2015年4月11日号)
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 【参考】
【古賀茂明】原発廃炉と新増設とはセット ~「重要なベースロード電源」論~
【古賀茂明】改革逆行国会 ~安倍政権の官僚優遇~
【古賀茂明】安部総理の「大嘘」の大罪 ~汚染水~
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