(1)官邸の圧力によって、テレビ朝日「報道ステーション」のM・統括プロデューサー、古賀茂明・コメンテーター、恵村順一郎・コメンテーターは同時期に更迭・降板させられたのか否か。
3月27日の同番組で、古賀氏は、楽屋における古館伊知郎・キャスターとの会話を録音したことを明らかにした。
<(報ステに出演した)3月6日、古館さんは僕の楽屋に来てこう謝罪しました。「自分は何もしなかった」「Mプロデューサーと、恵村順一郎さんが降板することについて、気付いても自分はわざと知らないふりをした」と打ち明け、「大変、申し訳ない」と頭を下げました。>
(2)古館氏はしかし、番組中に、
・早河洋・テレビ朝日会長と佐藤孝・古館プロジェクト会長の意向で古賀氏が降板になった・・・・ことを否定し、
・メディアの政権監視機能が低下している・・・・という古賀氏の批判に対しても、「(報ステで)いい番組を作っている」と反論した。
(3)実は、古館氏のいわゆる「いい番組を作って」いた中心人物こそ、Mプロディーサー(古賀氏が「更迭」と訴えた)なのであった。彼は、報ステの前身「ニュースステーション」時代からディレクターを務めたベテランで、古賀氏は次のように高く評価する。
<政府を批判するとニュースをもらえなくなると横やりを入れる政治部や経済部の記者たちを一喝。抗議が来たら真正面から反論、幹部の圧力にも自分が矢面に立った。>
権力監視・批判番組を作ってきた報ステの屋台骨のような存在だった、というのだ。
(4)菅義偉・官房長官は、3月30日の記者会見で、古賀氏の発言を「まったくの事実無根」と反論した。さらに、放送法に言及しながら「テレビ局の対応を見守りたい」と付言した【注】。
しかし、古館氏が、
Mプロディーサーの更迭を(1)で示したように古館氏自身も問題視していたのに、、
番組では更迭を否定する虚偽発言をしていた
・・・・のであるならば、古館氏の方こそ、放送法に違反する発言をしていたことになる。
古館氏が楽屋における発言内容を認めた場合、官邸の圧力がテレ朝の人事に影響を与えた実態が明らかになる。
【注】記事「「放送法」でTV局を牽制 そもそもの理念は?」(朝日新聞デジタル 2015年4月16日)は指摘する。
<放送法は戦後間もない1950年、日本の非軍事化、民主化の一環として生まれた。改正を重ねたが基本は変わらず、第1条では目的として、「放送の不偏不党、真実及び自律を保障することによって、放送による表現を確保すること」を定め、「健全な民主主義に資する」とうたう。
放送法に詳しい大石泰彦・青山学院大学教授(メディア法)は「放送法は戦時中の教訓に学び、権力から放送を独立させるためにできた。放送局を締めつけるものではない。権力側が振りかざすものではなく、むしろ介入を抑制すべき性質のものだ」と指摘する。
第3条は「番組は、法律に定める権限に基づく場合でなければ、何人からも干渉され、又は規律されることがない」とあり、権力側が「報道は事実をまげないですること」など第4条だけを取り上げてメディア側を牽制するのは、「自分たちに都合のよい解釈で、法律をはき違えている」と大石教授は批判する。(中略)
日本民間放送労働組合連合会は自民党の報ステへの注文について「報道への介入だ」と抗議したが、テレ朝をはじめ放送局側が抗議する姿勢はみられない。
放送に詳しいジャーナリストの坂本衛さんは「本来なら放送法を武器に、政治圧力をはねのけなければならない。いくらテレビ局が『政権による圧力の影響は受けていない』といっても、視聴者からの疑念はぬぐえない。はっきり声をあげるべきだ」と話す。>
□横田一「報ステ、古賀vs.古舘論戦の裏側 Mプロデューサーと恵村氏、古賀氏降板に新事実」(「週刊金曜日」2015年4月10日号)
↓クリック、プリーズ。↓
【参考】
「【報道】ジャーナリズムの役目と現状 ~テレ朝問題(5)~」
「【古賀茂明】氏を視聴者の7割が支持 ~テレ朝問題(4)~」
「【古賀茂明】氏、何があったかを全部話す ~テレ朝「報ステ」問題(3)~」
「【古賀茂明】氏に係る官邸の圧力 ~テレ朝「報道ステーション」(2)~」
「【古賀茂明】氏に対するバッシング ~テレ朝「報道ステーション」問題~」
3月27日の同番組で、古賀氏は、楽屋における古館伊知郎・キャスターとの会話を録音したことを明らかにした。
<(報ステに出演した)3月6日、古館さんは僕の楽屋に来てこう謝罪しました。「自分は何もしなかった」「Mプロデューサーと、恵村順一郎さんが降板することについて、気付いても自分はわざと知らないふりをした」と打ち明け、「大変、申し訳ない」と頭を下げました。>
(2)古館氏はしかし、番組中に、
・早河洋・テレビ朝日会長と佐藤孝・古館プロジェクト会長の意向で古賀氏が降板になった・・・・ことを否定し、
・メディアの政権監視機能が低下している・・・・という古賀氏の批判に対しても、「(報ステで)いい番組を作っている」と反論した。
(3)実は、古館氏のいわゆる「いい番組を作って」いた中心人物こそ、Mプロディーサー(古賀氏が「更迭」と訴えた)なのであった。彼は、報ステの前身「ニュースステーション」時代からディレクターを務めたベテランで、古賀氏は次のように高く評価する。
<政府を批判するとニュースをもらえなくなると横やりを入れる政治部や経済部の記者たちを一喝。抗議が来たら真正面から反論、幹部の圧力にも自分が矢面に立った。>
権力監視・批判番組を作ってきた報ステの屋台骨のような存在だった、というのだ。
(4)菅義偉・官房長官は、3月30日の記者会見で、古賀氏の発言を「まったくの事実無根」と反論した。さらに、放送法に言及しながら「テレビ局の対応を見守りたい」と付言した【注】。
しかし、古館氏が、
Mプロディーサーの更迭を(1)で示したように古館氏自身も問題視していたのに、、
番組では更迭を否定する虚偽発言をしていた
・・・・のであるならば、古館氏の方こそ、放送法に違反する発言をしていたことになる。
古館氏が楽屋における発言内容を認めた場合、官邸の圧力がテレ朝の人事に影響を与えた実態が明らかになる。
【注】記事「「放送法」でTV局を牽制 そもそもの理念は?」(朝日新聞デジタル 2015年4月16日)は指摘する。
<放送法は戦後間もない1950年、日本の非軍事化、民主化の一環として生まれた。改正を重ねたが基本は変わらず、第1条では目的として、「放送の不偏不党、真実及び自律を保障することによって、放送による表現を確保すること」を定め、「健全な民主主義に資する」とうたう。
放送法に詳しい大石泰彦・青山学院大学教授(メディア法)は「放送法は戦時中の教訓に学び、権力から放送を独立させるためにできた。放送局を締めつけるものではない。権力側が振りかざすものではなく、むしろ介入を抑制すべき性質のものだ」と指摘する。
第3条は「番組は、法律に定める権限に基づく場合でなければ、何人からも干渉され、又は規律されることがない」とあり、権力側が「報道は事実をまげないですること」など第4条だけを取り上げてメディア側を牽制するのは、「自分たちに都合のよい解釈で、法律をはき違えている」と大石教授は批判する。(中略)
日本民間放送労働組合連合会は自民党の報ステへの注文について「報道への介入だ」と抗議したが、テレ朝をはじめ放送局側が抗議する姿勢はみられない。
放送に詳しいジャーナリストの坂本衛さんは「本来なら放送法を武器に、政治圧力をはねのけなければならない。いくらテレビ局が『政権による圧力の影響は受けていない』といっても、視聴者からの疑念はぬぐえない。はっきり声をあげるべきだ」と話す。>
□横田一「報ステ、古賀vs.古舘論戦の裏側 Mプロデューサーと恵村氏、古賀氏降板に新事実」(「週刊金曜日」2015年4月10日号)
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【参考】
「【報道】ジャーナリズムの役目と現状 ~テレ朝問題(5)~」
「【古賀茂明】氏を視聴者の7割が支持 ~テレ朝問題(4)~」
「【古賀茂明】氏、何があったかを全部話す ~テレ朝「報ステ」問題(3)~」
「【古賀茂明】氏に係る官邸の圧力 ~テレ朝「報道ステーション」(2)~」
「【古賀茂明】氏に対するバッシング ~テレ朝「報道ステーション」問題~」