(1)自動車部品カルテルの米国での摘発状況・・・・
累計31社、合計24億3,442万ドル(2,900億円)、46名、罰金各万ドル。
31社は米司法当局が摘発した日本企業の数、その結果、逮捕・起訴された社員の数が46名だ。
これらの数値は経産省が作成した一覧表に記載されているものだ。2011年9月から2014年11月までの、わずか3年間余の出来事だ。
(2)カルテル摘発は自動車関連のみならず、日本企業にとって、その衝撃は図りしれない。
古河電工、デンソー、パナソニック、三菱電機、ブリジストン・・・・摘発された46人の多くが禁固刑に処せられている。最短で1年と1日、長い刑で2年間の禁固が科せられる。
日本のビジネスマンが数珠つなぎで米国の刑務所にぶち込まれているかのようだ。日本の自動車部品メーカーの狙い撃ちと言うほかはない。
(3)カルテルとは、同業者が談合により価格などを決めてしまうことを指す。世界中、独占禁止法に基づいて禁止している半面、中には政治的な摘発も少なくない。
わけても中国では、日本のビジネスマンが逮捕され、帰国できなくなるケースがしばしば報道されていた。
それは中国に限った話ではなくて、米国にもある。しかし、3年で31社、46人の摘発は余りにもひどい。さすがに自民党の一部議員もそれを問題視し始めた。【経産省の関係者】
(4)自動車分野における日米の軋轢は今に始まったことではないが、最近でいえば、タカタ製のエアバッグの事故がやり玉に挙げられた。(1)の一覧表にもタカタの社名がある。
「タカタ 課徴金7,130万ドル(86億円)」。決定日:2013年10月9日)。
米司法当局は、1人の米国人を含む5人のタカタ社員を検挙。2013年11月までに、うち4人に禁固刑が科せられた。短くて4か月、長くて19か月も獄につながれたのだ。
タカタ問題の裏には、米フォード・モーターが議会で取り上げるよう、共和党員に働きかけたロビー活動もあった。
特にタカタのエアバッグ問題で打撃を受けるのはホンダ。そこに付け入りたい米国メーカ-の思惑がちらつく。
だが、実は、タカタの事故は日本で起きていない。米国でも限れた地域の事故だ。カルテル摘発を含め、これは実質国有化もされた米自動車メーカーと日本メーカーとの政治的な闘いでもある。
(5)米司法当局に狙われる中でも、自動車部品メーカーが多いのは、米国がTPP交渉を有利に運ぼうとしているせいか。日米の最終交渉で、日本への輸出を増やしたい米国が、日本の安全基準を緩めるように要求し、揉めている。
□森功「カルテル摘発続出--米国で狙い撃ちされる日本の自動車部品メーカー ~ジャーナリストの目 第249回~」(「週刊現代」2015年5月2日号)
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【参考】
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【TPP】の最大の抵抗勢力 ~米国の議会と社会~」
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【TPP】というゾンビに食い荒らされる日本」
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【TPP】というドラキュラの死とTPPのゾンビ化」
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【食】【TPP】原産地表示の抜け道 ~食のグローバル化~」
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【食】「多古町旬の味産直センター」の試み ~農業経営の安定化~」
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【TPP】「限界農業」化の危機 ~農業の持続可能性~」
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【TPP】持続可能な農業を ~いま必要な政策~」
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【TPP】自民党の二枚舌、甘利大臣の無知」
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【TPP】国家主権の放棄 ~国民の知らないところで~」
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【TPP】条件闘争は不可、途中下車も不可 ~韓米FTA~」
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【TPP】1%の1%による1%のための協定 ~医療・食の安全~」
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【TPP】安部首相の二枚舌 ~信じがたい事態~」
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【TPP】医療制度崩壊を招くTPP参加」
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【TPP】その先にあるFTAAP ~国家ビジョンの不在~」
【TPP】米国製薬会社の要求 ~日本医療制度の営利化~
【TPP】蚕食される医療保険制度 ~審査業務という盲点~
【経済】TPP>米韓FTAの「毒素条項」 ~情報を隠す政府~
【経済】TPPは寿命を縮める ~医療と食の安全~
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