(1)我々は戦争をしたくない。
(2)しかし敵側が一方的に戦争を望んだ。
(3)敵の指導者は悪魔のような人間だ。
(4)われわれは領土や覇権のためではなく、偉大な使命のために戦う。
(5)われわれも意図せざる犠牲を出すことがある。だが敵はわざと残虐行為におよんでいる。
(6)敵は卑劣な戦略や兵器を用いている。
(7)われわれの受けた被害は小さく、敵に与えた被害は甚大。
(8)芸術家や知識人もこの戦いを支持している。
(9)われわれの大義は神聖なものである。
(10)この正義に疑問を投げかける者は裏切り者である。
以上は、国家による戦争プロパガンダの「法則」だ【注】。
これをまとめたアーサー・ポンソンビーは、英国の貴族出身であり、自由党議員、労働党議員も歴任した。彼は、1871年生まれ。つまり、この10項目は第一次世界大戦における英国の策謀を中心にまとめたものだ。だが、その後のさまざまな戦争にも見事に当てはまる。
異様な雰囲気を醸しだしつつ、「戦争をする国」に向けて暴走する安倍晋三・首相。彼の頭には、すでに「10の法則」が染みついているのではないか。積極的平和主義の名の下、正義を掲げた日本は敢然として卑劣な敵に戦いを挑む・・・・申すまでもなく、「敵」はまだどこにも存在しない。存在しなくても関係ないのであろう。仮想敵国どころか、夢想敵国であっても差し支えない。「偉大な使命のために戦う」のであれば、何でもいい・・・・らしく見える。
集団的自衛権の関連法が整備されたら、安倍政権の戦争プロパガンダはますます勢いを増すだろう。
2015年度の政府広報予算は83億円。対前年度比の、実に3割増だ。ちなみに、野田政権(民主党)時の2012年度は40億円だった。
市民はいかに対抗すべきか。
「権力は必ずウソをつく」という現実を肝に銘じておくことだ。デマの嵐をかいくぐり、真実にたどりつく。この作業を一人ひとりが主体的に行わなければならない。
【注】アンヌ・モレリ(永田千奈・訳)『戦争プロパガンダ10の法則』(草思文庫、2015)
□北村肇「戦争プロパガンダ10の法則 ~風速計~」(「週刊金曜日」2015年3月27日号)
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(2)しかし敵側が一方的に戦争を望んだ。
(3)敵の指導者は悪魔のような人間だ。
(4)われわれは領土や覇権のためではなく、偉大な使命のために戦う。
(5)われわれも意図せざる犠牲を出すことがある。だが敵はわざと残虐行為におよんでいる。
(6)敵は卑劣な戦略や兵器を用いている。
(7)われわれの受けた被害は小さく、敵に与えた被害は甚大。
(8)芸術家や知識人もこの戦いを支持している。
(9)われわれの大義は神聖なものである。
(10)この正義に疑問を投げかける者は裏切り者である。
以上は、国家による戦争プロパガンダの「法則」だ【注】。
これをまとめたアーサー・ポンソンビーは、英国の貴族出身であり、自由党議員、労働党議員も歴任した。彼は、1871年生まれ。つまり、この10項目は第一次世界大戦における英国の策謀を中心にまとめたものだ。だが、その後のさまざまな戦争にも見事に当てはまる。
異様な雰囲気を醸しだしつつ、「戦争をする国」に向けて暴走する安倍晋三・首相。彼の頭には、すでに「10の法則」が染みついているのではないか。積極的平和主義の名の下、正義を掲げた日本は敢然として卑劣な敵に戦いを挑む・・・・申すまでもなく、「敵」はまだどこにも存在しない。存在しなくても関係ないのであろう。仮想敵国どころか、夢想敵国であっても差し支えない。「偉大な使命のために戦う」のであれば、何でもいい・・・・らしく見える。
集団的自衛権の関連法が整備されたら、安倍政権の戦争プロパガンダはますます勢いを増すだろう。
2015年度の政府広報予算は83億円。対前年度比の、実に3割増だ。ちなみに、野田政権(民主党)時の2012年度は40億円だった。
市民はいかに対抗すべきか。
「権力は必ずウソをつく」という現実を肝に銘じておくことだ。デマの嵐をかいくぐり、真実にたどりつく。この作業を一人ひとりが主体的に行わなければならない。
【注】アンヌ・モレリ(永田千奈・訳)『戦争プロパガンダ10の法則』(草思文庫、2015)
□北村肇「戦争プロパガンダ10の法則 ~風速計~」(「週刊金曜日」2015年3月27日号)
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