授業開始日。
四校時が終わり職員室に戻ると、中2の男子が一人立っていた。
「おお」
「あ」
彼は口下手だ。
魯迅ではないが、彼の口からは次から次へ数珠つなぎのように言葉があふれそうに見えた。
「どうした」
「あ、あの、いるかなと思って来たら、いなくて」
彼が言えたのはそれだけだった。
なぜ。なぜ。なぜ。なぜ……。
口のうまい生徒なら彼は多くのことを尋ねたはずだ。
だが、二人で顔を見合わせたまま、少しの時間が過ぎた。
「また、いつでもおいで」
「はい。じゃあ」
そして、彼は教室へ戻って行った。
四校時が終わり職員室に戻ると、中2の男子が一人立っていた。
「おお」
「あ」
彼は口下手だ。
魯迅ではないが、彼の口からは次から次へ数珠つなぎのように言葉があふれそうに見えた。
「どうした」
「あ、あの、いるかなと思って来たら、いなくて」
彼が言えたのはそれだけだった。
なぜ。なぜ。なぜ。なぜ……。
口のうまい生徒なら彼は多くのことを尋ねたはずだ。
だが、二人で顔を見合わせたまま、少しの時間が過ぎた。
「また、いつでもおいで」
「はい。じゃあ」
そして、彼は教室へ戻って行った。