円の外へ

20070121開設/中学高校国語授業指導案/中学校学級経営案/発達症対応/生活指導/行事委員会指導

優れた人物に会う幸運

2012-07-17 17:30:58 | blog映画Diving
2012/09/14up
帰りに卒業生と会った。
すれ違いざまに、傭兵先生ですか、と彼女は言った。
そうですが僕は分かりません、とすぐに答えた。
M崎です、と彼女は言った。

賢い人は自ら名乗る。
揺らがず目をまっすぐに見る。
身体をまっすぐ相手に向ける。
M崎さんが中学1年生だったとき、学年は8クラスあったが、学年主任は、
学級委員長はM崎しかいないだろう、目がぜんぜん違うよ、
と言った。
僕は学級委員会指導で三年間一緒に彼女と仕事をした。

そういう人物だから、会うのは十五年ぶり前後だがすぐ思い出した。
色はますます白く、すっと細身の大人の女性になって美しかった。
お勤めですか。
そうですか。
ご結婚は。
それはおめでとうございます。
失礼でなければお勤め先は。
ああ。
社長になったら雇って下さい。

そんな風に丁寧に懐かしく冗談をいうと彼女は、社長なんてすぐそこです、と答えた。
自然に。
僕の地元ならだれでも知っている百貨店の経営企画室に彼女はいた。
会社は銀行の管理下に入っている。
今、立て直し中だ。
そう彼女は言った。

話す間、彼女はまっすぐに僕に向かって立ち続けた。
五分かそこらだが、目を一瞬もそらさなかった。
こういう人物は滅多にいない。

中学校の卒業生は大抵、センセイに会うのを鬱陶しく思うものだ。
そんなことはとっくの昔に知っているので、僕は二度、三度話を切り上げようとした。
彼女は名刺を探し、僕に渡そうとしたがそれは手元になかった。
「では、また」
と彼女は言った。
「もう、会わないよ。そういうもんだ」
と僕は言った。

いつものことだが、別れたあとで記憶をたどった。
M崎さんは僕の担任クラスになったことは一度もなかった。
しかし、中学卒業後、何度もはがきをくれた。
しかも、林望氏の著書に憧れて、M崎さんは英国に留学した。
今また思い出したが、アジア圏にバックパッカーのような旅行もしたはずだ。
それを便りにして伝えてくれた。
僕は返事も書いた。

僕は、話している五、六分の間にそれを全く思い出さなかった。
M崎さんは僕に声をかけた瞬間、そのすべてを頭に描いたはずだ。

謝りたい。
なぜ。なぜ俺はこんな馬鹿なんだ。馬鹿野郎。
でも、無理だよなあ。
十年、二十年ぶりに会ったとたん数千人から記憶をたどるんだからなあ。

で、まあ、考えなおした。
優れた人物が、きちんと育ち、日本を支える仕事に就く。
そうでなくちゃなあ。

追記)
書き忘れましたけど、教員より、今目の前にいる生徒のほうがずっと優秀。
あたり前。
教員は中途半端な坊ちゃん嬢ちゃん。
でも、ほとんどの教員は、授業中の生徒は自分よりバカだと思ってる。
一応、資格の取れる大学出てるから。
職員室に帰ると、あのクラスはバカばっか、とか言う。
笑える。
バカにされてるのは下手な授業で飽き飽きされてる教員のほう。
生徒は全部見抜いてる。
馬鹿な僕も幸い、M崎さんが自分よりはるかに優秀なのは自覚していました。
授業中、教員にとって重要なことです。

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 国語指導案・指書きなぞり書... | トップ | 高校国語指導案・2012年版永... »

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

blog映画Diving」カテゴリの最新記事