昨日は勤務終了後、一旦帰宅して手抜きの夕食を作って夫と一緒に夕食。その後、近頃動きが全然遅くなって使い勝手が悪くなってきたノートパソコンを新調するため、駅前の家電量販店へ。値段交渉であれこれ時間がかかって、ひとまず満足のいく買い物が出来た。
そのまま病院最寄り駅に近いホテルに向かった。チェックイン後は少し休んでから部屋のお風呂へ。安眠ピロースプレーのおかげか、あっという間に眠気が襲い、そのまま寝てしまった。
夜中に2回もお手洗いに起きたが、その都度すぐに寝直して、今朝は目覚ましで起こされる。気づくと夫から「起きています」のLINEが入っていた。
焼きたてのデニッシュや野菜ジュースの朝食を新聞片手に頂き、部屋に戻って朝の連続テレビ小説を視てから病院へ向かった。
街はすっかり秋の風情になった。それでも日中の最高気温は26度と高めの予報だ。病院に到着し、IDカードを通すと切りの良い60番。続いて採血の受付番号は50番。幸先がいいと思うことにする。電光掲示板には10分待ちとあったが、それほど待たずに、大荷物を整理しながら態勢を立て直してほどなくして順番になった。今日も3週間前と同じ臨床検査技師の男性Kさん。今月は月末にもう一度通院予定なので、3本のみ。刺針、抜針は前回よりちょっとピリリと痛んだ。
止血しながら2階の口腔外科へ移動。前回4月から6か月後のランマーク長期既往による経過観察だ。まだ早いのでそれほどの待ち人数ではない。朝一番の診察予約時間の30分も早い。保険証チェックを終えて読書開始。
今日のお伴は、村田沙耶香さんの「コンビニ人間」(新潮文庫)。
言わずと知れた第155回芥川賞受賞作だ。世界各国でベストセラー、18か国語に翻訳決定、だそうだ。「授乳」・「ギンイロノウタ」・「タダイマトビラ」ときて今回4冊目。相変わらずぶっ飛んでいるけれど、ノンストップで読み進めた。あまりにリアルなコンビニの描写、聴覚が研ぎ澄まされた感じ。うーん、どこまで実体験でどこまでフィクションなのか分からなくなる。コンビニバイト歴が人生の半分の36歳の主人公。帯には「普通」と何か?を問う衝撃作、とあるが、いやはや本当にそうだった。
予約時間になっても担当医のK先生の電光掲示板が全く出ない。結局1時間以上待ってようやく「中待合へどうぞ」と番号が出た。それから15分ほどで番号を呼ばれ、診察室へどうぞ、とアナウンスがあった。先生とお目にかかるのは4月以来の2回目。既に予約時間を小一時間過ぎている。「お待たせしてすみません。半年ぶりですね。申し訳ないことに来年の4月にまた異動になってしまいました。」とのこと。2年のつもりだったので想定外だったそう。いやはや、口腔外科の異動ペースの速いこと速いこと。腫瘍内科と違って診察のスパンが長いこともあるが、これまで何人の先生に診て頂いたことか。
今日は治療用のリクライニング椅子には座らず、そのまま先生と対面でその場で視触診。一通り口腔内をチェックしてから奥歯を叩いて痛むかどうか訊かれたが、右はちょっと響く感じはあったけれど、痛みはなし。顎のあたりを触れて痛むかと訊かれたが、それもなし。先月、地元のクリニックで定期検診をして頂いてひとまず無事だったことを報告し、口内炎はこのところ落ち着いているが、口蓋隆起が多いので気になると言ったところ、よくケアされており、綺麗だから今のところ問題なし、とのことだった。
「先日、患者仲間が顎骨壊死から骨髄炎になり手術をした話もあり、不安で・・・」と言うと、「そこまで酷くしてしまうとなかなか大変だけれど、もし今後痛みが出たり何かあれば異動前に診ますので、遠慮なく連絡してください。」と言ってくださった。「腫瘍内科としてはこちらがOKと言ったらランマーク再開だと考えているのですかねぇ。」と問われ、「まだA先生に確認したわけではないですが、(ゾメタもランマークも)長く使ってきているので出来ればお休みの方向で、と仰っていました」とお応えする。
次回4月にK先生の枠で一応予約が入ったが、別の先生になるとのこと。「お世話になりました。お元気でご活躍を」と言って診察室を後にした。
1階に降りて、腫瘍内科受付へ。呼吸を整えてから血圧測定。120-69、脈拍は66。私としては高めなのは口腔外科でちょっとドキドキしたからか。既に来院してから2時間以上。採血の結果は既に出ている筈だけれど、と読書して待っていると、ほどなくして中待合へどうぞ、に番号が出た。
化学療法室のOkさんが「お待たせしていてすみませんね、体調はどうですか。」とヒアリングに見える。「ちょっと忙しくて疲れていますが、ゼローダが全て飲み切れました。抗生剤を止めたので副作用の下痢もそれほどではありません。ただ季節のせいか手足の赤み、テカテカ感、ビリビリジリジリする感じは強まっています。」と手のひら、足の裏をお見せしながらお伝えする。「確かにこれからは切れやすくなるし、綺麗にケアは出来ているけれど、ちょっと赤みが濃くなって皮膚が薄くなってきていますね」と言われる。手袋はやはり手放せない。
本は順調に2冊目に突入。桐野夏生さんの「抱く女」(新潮文庫)である。
これもまたご本人と重なるところがあると思しき主人公。吉祥寺にあるS大に通う大学生、恵子の1972年9月から12月までの物語だ。ジャズ喫茶でアルバイトをし、出てくる地名は吉祥寺だの西荻だの土地勘のあるところばかりで、リアルに状況が迫ってきた。
私より10歳年上の桐野さん世代の大学生は、学生運動も新左翼もウーマンリブも本当に激しかったんだなあと改めて思う。
裏表紙には「女は男の従属物じゃないー。」とあるが、閉塞感は当時も相当のものだったのだろう。10年後に私が送った、地味で真面目に授業に出て合唱に勤しんでいた大学生活とは全く毛色の違うものだったけれど、なんだかあちこちから血が流れている感じで、読みながらずっと心がヒリヒリと痛みっぱなしだった。そして、奇しくも解説は最初に読んだコンビニ人間の作者、村田沙耶香さん。これも何かのご縁かもしれない。
それにしても、活字に飢えていたのだなと思う。普段通勤電車に乗らない私にとって、たまに電車に乗る時間は大事な読書時間だけれど、それが全部楽譜読み等に費やされていたこの1か月余りだったからか。
中待合で待つこと小一時間してようやく先生がお顔を出された。
ご挨拶して椅子に座る。さて、3週間ですが・・・と話を切り出される。
「おかげさまでゼローダは飲み終えました。下痢もそれほどではなかったですし、痛みが酷くてということもなく、ロキソニンだけでコデインを飲むことはありませんでした。ただ手足がちょっと酷くなってきて、赤身とテカテカ、皮むけ等があります。また時折気持ち悪さがありドンペリドンのお世話になりました。」とご報告。「うーん、ゼローダそのものの副作用ですね」と先生。「はい、半分しか飲んでいないのですが」と応ずる。
口腔外科のご報告もして、「先生から腫瘍内科の先生はランマークを今後どうしようと思っているのでしょうか。」と訊かれたと言うと、「骨転移が増悪してどうしても再開しないと、という待ったなしの状況になるまではなるべく休みたい。」と仰る。確かに患者仲間の顎骨壊死もそうだし、顎骨壊死だけでなく大腿骨骨折のケースもあるようだ。樹木希林さんのお話も話題に出た。これまで骨転移がありながらここまで長期生存をする患者の数は多くなかったから、どんなタイミングでどんな副作用が出るのかなかなか予測がつかないから難しいのだ。「わかりました。それでは当分お休みで」とほっとする。
診察室での体温は6度8分。採血結果は、「白血球は3,400、好中球も1,400あるので(治療続行)問題なし。LDHが赤い数字だけれど、大きな変動ではない。血糖値は相変わらず低くて60だけれど、特に問題なし。」と言われる。
次回は3週間後に予約が入る。マーカーはその時に測りましょうとのこと。「薬はゼローダを2週分、ロキソニンはどうですか。」と訊かれ、「まだ残っていますので大丈夫です。」と答えてミヤBM錠の2種類のみ。身軽である。先生が仰るには「(少なくなって)いいじゃないですか」。
ご挨拶して診察室を後にした。化学療法室に入ると、それほど混んだ様子はない。3連休明けで月曜日の患者さんが加わっているのでは、と覚悟してきたのだけれど。15分ほどして窓側の一番奥のお気に入りのリクライニング椅子に通された。待ち時間はいつものように夫やお友達に報告LINEしながらやり過ごす。
15分ほどしてKr さんが針刺しに見えた。「体調はいかがですか。頑張っていますね。手足もケアをよくやっていますね。」と言ってくださる。ちょっと痛みに顔をしかめたけれど、だんだん落ち着いてくる。無事逆血も確認。
再び15分ほどしてMさんが薬をセットしにきてくださった。今日もハーセプチンと生理食塩水で1時間半。終了間近に血圧を測って頂くと、112-69、脈拍は55。
Kwさんが抜針。やはり衝撃がある。ひとまず無事終了する。ずっと根を詰めて本を読んでしまったので、ちょっと疲れる。
今回も総合受付で会計。ほどほどの混み方。本が面白かったので待ち時間はあまり気にならず。30分ほど待って病院滞在時間は5時間半。口腔外科、採血と点滴の3割負担の3万円強をカードで支払う。
外は爽やかな風が吹いており陽射しも。秋の気持ち良さを実感する。
薬局は数人が待っていたが、今日もそれなりに待たされる。小一時間で済んだか。ゼローダとミヤBM錠のみで1万円弱をカード払い。
病院と薬局の合計滞在時間は6時間半弱。ちょっとぐったり。そして何気なくスマホを見ると、利用する私鉄が沿線火災のため運転見合わせ。既に1時間くらい経っているが、再開の見込みは立っていないようだった。夫に連絡してこれはゆっくりランチだな、と。
野菜たっぷりのランチと季節の紅茶とスイーツものんびり頂き、本を2冊読み終える。
夕方まで時間調整してJRに乗ると、到着する時間には運転再開の見込みとある。ほっとしたが、到着したところまだ動いていない。夕飯のお弁当等買い物をして改札に行ったが、人が溢れている。窓口に訊くと、情報が降りてこなくて何時になるかわかりません、とのこと。
これはもうだめだ、とタクシー乗り場に移動する。いつも乗る出口は人が並んでいて、タクシーが来ている様子もない。反対の出口に行くと殆ど並んでおらず、3人目。少しして無事乗り込むことが出来た。この駅から最寄り駅までバスもあるにはあるが、何しろ1時間に1,2本でとても時間がかかるし、1本目に乗れる保証もない。遠回りになりそれなりにお金はかかったけれど、荷物も多いし、疲れていたので乗れて良かった。
帰宅は普段仕事をするより遅くなった。夫から電話があったのはちょうど生協からの食品を運び入れていた時。その後1時間ほどで夫は無事帰宅した。電車が動き出したらスムーズだった模様。それにしてもこんなに長時間動かなかったのは初めてかもしれない。
明日は朝から東京横断の出張。あと2日、週末まで無事乗り切りたい。
そして明日からゼローダ14クール再開。今回もちゃんと飲み切れますように。