内山興正老師は生前、年賀状に人生詩を書いておられました。
私も昭和57年以後、その年賀状をいただいておりました。死に向かい合い老境を深められる老師の心境の変化が年毎に読み取れます。
私も私自身のこととして受け止めざるを得ない年にもなってきたし、若い人にも老境とはいかなるものか知っていただく縁になるかと思い紹介します。
S57年
きずついてもそれに耐え
光に向かう草木のように
自己純粋の
生命力を拝みつつ
ただここ今を生きぬこう
S58年
なにものかいんもにきたる
刻刻に色も姿も変化して
二度同じことなく
二つ同じものなし
いずこともなくあらわれ
いずこともなく消えゆき
雲 さながらに
虚空に浮ぶ
(注) いんも:恁麼 このように、そのように。禅門では悟りを表す。