JR直営の印刷場名は国鉄時代の印刷場名を使用します。
10年以上前に御紹介した券も再度御紹介しようかと思います。
古紙蒐集雑記帖
京王帝都電鉄の硬券券売機券
このたび、MV999様のブログ「叩け!マルス 2」とリンクを張らせていただきました。副題には「初心者」と謳われていますが、結構マニアックな内容で面白いです。
さて、京王帝都電鉄(現・京王電鉄)の面白い券売機券が出てまいりましたのでご紹介いたします。
これは、昭和43年に調布駅で発行された硬券の券売機券です。予め京王帝都電鉄の自社地紋を印刷した硬券の券紙に、発行都度券売機内臓のゴム印と日付印およびナンバーリングを捺印して発券するものです。
なぜだかわかりませんが、「30円区間」の表記が左側にレイアウトされており、右側にレイアウトされた「調布から」の文字との調和がとれていない券面です。また、日付と券番の向きがお互いに内側(?)を向いていて、現在の券売機のレイアウトと異なります。
それと、券紙が微妙に歪んでカットされていて、ちょっと薄くて見づらいかもしれませんが、地紋のラインが斜めになってしまっています。
京王帝都電鉄は私鉄としては日本で初めて券売機を導入した鉄道で、昭和28(1953)年に手動式券売機が導入されています。
硬券の券売機券は券売機史上比較的初期に見られた方式で、当初は窓口で発売するものと同じ硬券にダッチングで予め日付を入れておいたものをセットしておいて発売した程度のもので、単能式(1種類の券しか発行できないもの)でした。
今回ご紹介しましたものは、予めカットされた硬券券紙を機械にセットしておき、発売都度印刷して発券するもので、多能式(いくつかの種類の口座を1台で発売することができるもの)の初期型です。
ただ、軟券のものと違い、どの金額で発売しても券面のゴム印は共通で、金額部分だけが必要に応じて変換されている方式が採られていました。
しかし、ゴム印に対して券紙が硬すぎたために印判の磨耗が大変早く、軟券ロール紙の券売機へ発展していったようです。
京王帝都では、昭和33(1958)年ころから、単能式ですが、軟券式の券売機も存在していたようです。これは新宿駅のもので、予め地紋の他に券面表示事項がすべて印刷されたロール紙が機械にセットされていて、発売時に日付のみ印字されてカットされて出てきます。
四隅に丸い穴が開いていますが、これは機械が紙送りをするための穴で、ストックフォームの穴と同じような役割をします。
これと同じような四つ穴の券売機券は、京王の他、東急や営団地下鉄にも設置されていたようです。