JR直営の印刷場名は国鉄時代の印刷場名を使用します。
10年以上前に御紹介した券も再度御紹介しようかと思います。
古紙蒐集雑記帖
長野・新潟局管内の観光記念入場券
国鉄時代の末期、長野鉄道管理局管内と新潟鉄道管理局管内の観光地を控えた主要駅では、新潟印刷所製のD型硬券の観光記念入場券が発売されました。
表面は民間に印刷させたのでしょうか、新潟印刷所らしからぬ雰囲気を醸し出しています。
しかし、裏を返せば、活字が思いっきり新潟印刷所製であることを主張しています。
私の記憶では、木曽福島駅のほか、長野管内では長野駅や飯山駅、上田駅などに設備されており、上田駅は地紋入りの上田城の絵柄のものと、地紋なしの駅舎の絵柄のものがありました。新潟管内では越後湯沢駅や十日町駅などにあったと思います。
これらは私の記憶している限りであり、もっと他にも設備されていたと思われます。
そして、当時かなりの駅でよく見かけた光景ですが、券箱にはD型券を入れるホルダーが不足していたのか、A型のホルダーに無理やり斜めに入れられていた駅が多かったと記憶しています。
この券が発売された2ヵ月後には国鉄は民営化されてJRになりましたが、これらの観光入場券はJR東日本に引き継がれました。
ですが、木曽福島駅だけはJR東海の駅になってしまいました。
JR東海になった後も、地紋はJRC地紋になったものの、様式そのままで発売が引き継がれました。表面を見る限りでは、国鉄時代の版をそのまま流用しているようです。
しかし、裏を見ますと、印刷場が名古屋印刷場に変更され、こんどは思いっきり名古屋印刷場を主張しています。
木曽福島駅の分だけが他の駅と旅客会社が分かれてしまったわけですが、JR東日本になった駅のものも、JR化後は地紋なしになったものの、やはり表面の版はそのまま引き継がれて発行されました。
やはり、裏を見ますと、印刷場が東京印刷場に変更され、こちらは思いっきり東京印刷場を主張しています。
長野・新潟局管内で発行されていた観光記念入場券はしばらくの間残っていましたが、しばらくすると東京印刷場分は改版され、東京印刷場の活字を組んだカラー写真入りのものにとってかわり、国鉄時代から引き継いだ様式は消滅したようです。
また、木曽福島駅のものも、いつしか消滅した模様です。
Tatsumi様のブログ「切符展示館 ブログ版」12月6日エントリーの「信州観光入場券シリーズ」にトラックバックさせていただきます。