JR直営の印刷場名は国鉄時代の印刷場名を使用します。
10年以上前に御紹介した券も再度御紹介しようかと思います。
古紙蒐集雑記帖
上信電鉄 小荷物切符
先日の日比谷でのイベントの際に購入した、上信電鉄の小荷物切符です。
大変薄めの紙の券が3枚と、荷札にもなる厚めの紙の券1枚の4片制になっています。
かつて鉄道小荷物(チッキ)があった時代であればどこの駅にもあったような物なのでしょうが、今となっては大変珍しい存在です。
では、上の片から見て行きましょう。
1枚目の券です。
「丁」片と呼ばれるもので、発行した駅の控え用となります。
上から受託年月日、荷物着駅(あて先)、配達料「〇配」および記事欄、品名・個数・計算重量・運賃・配達料・特殊料金、発行駅名を記載するようになっています。
すべての券片の間にカーボン紙を挟んで記載します。
計算重量とは、実重量(貨物そのものの重さ)もしくは容積換算重量(体積1m3を280kgに換算した重量)のうち、重い方の数字を使用するもので、運送事業者が有利になるように設定された重量換算方法です。
2枚目の券です。
「丙」片と呼ばれるもので、収受した料金と共に審査課へ回付されます。
1枚目からカーボンで複写されますので、特に記載する項目はありません。
3枚目の券です。
「甲」片と呼ばれるもので、荷送人控として、受託した際に発送した客へ渡す片となります。
この片もカーボンで複写されているので特に記載することはありませんが、荷送人の控えのため、荷物託送の証票であるので保存する旨の注意書きがあります。
4枚目の券です。
「乙」片と呼ばれるもので、着駅への連絡用の片となります。また、この片のみ厚紙になっており、上の穴に針金を通して貨物に括りつける荷札兼用となっています。
また、記事欄には発駅名を記載するようになっています。
さらに、半分から下を点線で切り離せるようになっており、その意味は裏面を見ると理解できます。
4枚目の裏面です。
針金を通す穴の周りがちぎれて貨物が不明貨物にならないよう、補強されているのがわかります。
上半分は着駅で荷受人に貨物を引き渡した際の受取書となっており、駅渡の際、着駅にて着駅名、到着列車名、引渡日を記載し、その下に荷受人が受取りのサインを記入する欄があります。この片は駅で引き渡した証拠として保管されます。
駅での荷受人への引渡が行われた際には、これで終了となります。
しかし、駅から荷受人の指定する場所まで配達貨物である場合、着駅で通運会社のトラックに引き渡すこととなります。そのとき、貨物に荷札を付けたままトラック事業者に引き渡すため、引き渡しの際、下半分にトラック事業者から引き渡した旨のサイン(証明)をうけ、切り取って駅で保管することとなります。
このように1枚づつ見ていきますと、記載事項も多くなく単純な切符ではありますが、日本全国連絡運輸も対応できる大変合理的な、よく考えられた様式であることに驚かされます。