特定区間用 矢印式片道乗車券

昭和59年7月に新宿駅で発行された、西荻窪・吉祥寺ゆきの片道乗車券です。

 

   


東京印刷場調製の桃色B型券です。


新宿から中央線高尾方面ゆきは京王帝都電鉄との競合区間となっており、区間によっては通常の運賃より割り引かれた特定運賃が適用されているため、硬券での発売の際には金額式ではなく、矢印式が設備されていました。

同区間の営業キロは12.2kmで、現在は電車特定区間の普通運賃が適用されて210円となっており、明大前駅での京王線から井の頭線への乗換が生じることで利便性があまり良くないことから競合区間という位置づけにもなっていのか、特定区間からは除外されています。


特定区間は他にもいくつかありますが、東京近郊区間では硬券で近距離乗車券を発売している駅が限られているため、すべての区間に設備されているわけではありませんでした。

 

   


鎌倉駅発行の横浜ゆき乗車券です。この区間は現在でも特定運賃が設定されています。

同区間の営業キロは22.2kmで現在の運賃は330円ですが、競合する京浜急行電鉄の運賃に対抗するため、電車特定区間の普通運賃の380円を適用せず、50円の割引となっています。

 

   


横浜駅発行の大森・品川間ゆき乗車券です。

横浜~品川間の営業キロは22.0kmで現在の運賃は280円ですが、競合する京浜急行電鉄の運賃に対抗するため、電車特定区間の普通運賃の380円を適用せず、100円の割引となっています。

横浜~大森間の営業キロは17.4kmで現在の運賃は品川と同額の280円ですが、電車特定区間の普通運賃を適用すると290円となりますので、10円ですが割り引かれています。


同区間の京浜急行電鉄の運賃は横浜~品川間が290円と10円高く、横浜~大森(大森海岸)間が270円となっており、京浜急行の方が10円安くなります。


横浜駅では硬券による近距離乗車券の発売は京浜急行が管理している乗換精算口のみとなっており、皮肉にも、京浜急行は自社への対抗措置が採られた運賃の国鉄乗車券を発売しているという結果になっています。

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