'85 科学万博 JNR Memorial Ticket ~その2

前回エントリーに続き、国鉄水戸鉄道管理局が発行したJNR Memorial Ticketの台紙の内側について御紹介いたしましょう。


「科学万博」の記念乗車券としてふさわしくすべく、当時としては画期的な素材を使用した乗車券の「目玉」であるホログラムとセラミックスについて、台紙の内側に説明が記載されています。


   


ホログラムは今ではお札やクレジットカードなどに使用されていますので珍しくも何ともありませんが、まだそのような虹色に輝くものを見たことがありませんでしたから、この台紙を手にした時は「科学ってすげーな」と思ったものです。


それより驚いたのは、セラミックスを使用した乗車券です。


   


地紋は食券などで見かけそうな文様が描かれていますが、前売りの記念乗車券として発行される乗車券の様式を踏襲しています。
様式的に、どことなく等級制があった頃の1等車(2等級時代)の乗車券を彷彿させます。


   


その上には従来の厚紙で作成された硬券が付いています。

緑色こくてつ地紋のB型相互式券で、東京印刷場にて調製されています。こちらはセラミックスのものよりも、ますます1等乗車券という感じが出ています。特に「BAMPAKU-CHUO TOKYO」のローマ字は、活字が躍っているところが「まんまそのもの」です。

セラミックスのものと異なる点として、こちらには昔指定券を一緒に購入した乗車券に捺印された、前売りであるという意味の「〇前」の符号が付けられ、発行箇所名の右側には循環番号と思われる「③」の表記があります。


セラミックスという新素材で乗車券を作成した当時の国鉄の企画力は今まででは考えられない斬新さを感じますが、できあがった乗車券が硬券であったり、しかも、その様式が一世代前のものであったりして滑稽さが拭えない「新旧混合作」となってしまったこれらの乗車券は、国鉄の乗車券史の中でも異例の乗車券であったと言えるかもしれません。

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