JR直営の印刷場名は国鉄時代の印刷場名を使用します。
10年以上前に御紹介した券も再度御紹介しようかと思います。
古紙蒐集雑記帖
JR東海 新幹線東京車掌所乗務員発行 第一種車内補充券
昭和63年1月に、東海道新幹線車内で発行された、東京車掌所乗務員発行の第一種車内補充券です。
橙色こくてつ暫定地紋の軟券で、カーボンを挟んで記入する普通紙を券紙とする様式です。
国鉄時代より鉄道管理局によってはノンカーボンの第一種車内補充券が採用されておりましたが、この券はJR化後のものではあっても、ノンカーボンとはなっておらず、発券の際にいちいちカーボン紙を挟んで記入する必要があります。
これは、国鉄時代に前もって調製されたものであることと、国鉄時代の新幹線総局東京車掌所ではカーボンを挟む様式の第一種車内補充券を使用していましたため、そのままの様式でJR仕様のものを調製し、そのまま継承されたことがその理由であるものと思われます。
区間等は一切抹線を引いて発行されています。
これは、自由席特急券で静岡より乗車した時のものなのですが、年始の混雑によって自由席車両が満席でありましたため、指定席に変更(指変)を申し出た際に発行されたものであるため、区間の指定はせず、事由欄の「17指変」に丸印を付け、金額と人数・発行日・列車番号のみを記入して発行されています。
慣れた車掌さんですと、ものの数秒で発券されます。たいてい、発券した直後にすぐにカーボン紙を次のページに挟み替え、次回すぐに発券できるようにしていたようです。
検札する時の車掌氏は指定席券検札すると手元に持っています「指定席整理票」という用紙に席番欄にその旅客の乗車区間を記入して座席の管理をしていますが、この券を発券した車掌氏はそれを記入するために持っていた赤鉛筆でこの補充券を記入していましたので、鉛筆チックな文字で複写されており、ボールペンで記入されたものと明らかに複写された文字の太さが違っています。
近代的な新幹線ではありますが、この当時はまだ国鉄から継承されて間もない頃であり、車内検札についての近代化は進んでいませんでした。