JR直営の印刷場名は国鉄時代の印刷場名を使用します。
10年以上前に御紹介した券も再度御紹介しようかと思います。
古紙蒐集雑記帖
関ケ原駅発行 柏原/垂井・新垂井ゆき乗車券 ~その2
前回エントリーで東海道本線関ケ原駅で発行された、柏原、垂井・新垂井ゆき片道乗車券を御紹介いたしました。
現行の時刻表などの路線図で東海道本線の大垣~関ケ原間を見ると、線路が二股に分かれてまた合流する形になっており、海側を走るルートの途中に、この券の東京方面の着駅である垂井駅が存在することが確認できますが、もう一つの着駅である新垂井駅という駅は確認できません。
新垂井駅は二股に分かれた山側を走るルートの途中に存在した駅でしたが、国鉄末期の昭和61年11月のダイヤ改正時に廃止となり、現在の鉄道路線図には掲載されていません。しかし、駅が廃止された現在でも、新垂井駅跡には東海道本線のレールが敷かれ、定期列車が運転されています。
新垂井駅廃止前の昭和59年に日本交通公社で発行された時刻表の、巻頭の路線図の当該区間部分を引用しました。海側に垂井駅が、そして山側に新垂井駅があることが分かります。
山側ルートは垂井駅を経由せずに関ヶ原まで行くルートで、現在は下りの特急列車と貨物列車しか走らない単線の「別線」のような区間になっています。定期普通列車は走っていません。
一方、海側区間である垂井駅経由の複線の「本線」にはすべての上り列車と、下り普通列車が運転されています。
山側の「別線」は戦時中に急勾配緩和策として建設されたルートで、新垂井駅が営業していた頃の同区間は、上り列車はすべて垂井駅を経由する海側の「本線」で運転されましたので新垂井駅には停車しませんでしたが、下り定期普通列車だけは途中の南荒尾信号場で海側「本線」と山側「別線」の双方に分けられていましたので、垂井駅だけではなく、新垂井駅に停車する列車もありました。下りの特急列車や貨物列車は海側「本線」に入ることなく新垂井駅経由の山側「別線」に入ります。
この山側「別線」は、本当は別線という支線的な存在ではなく、運転取扱上正式な「東海道下り本線」なのです。海側「本線」である垂井駅を通るルートは「東海道上り本線」と、「東海道下り本線」であるように見える「垂井線(通称)」という線になります。
垂井駅を通らない方の下りの山側「別線」が支線だと誤解されている方もいらっしゃるかもしれませんが、東海道本線の上下線が海側と山側に離れた区間にあり、海側の「東海道上り本線」に並行して、「垂井線」という別の支線があると言ったほうが正しく、「垂井線」は東海道本線の支線という位置付けになっています。
新垂井駅が営業していた末期の垂井線は1日数本の下り定期普通列車しか運転されていませんでした。下りの特急列車と貨物列車は山側の「東海道下り本線」を走りますし、定期普通列車を含む上り列車はすべて海側の「東海道上り本線」で運転されますので、「垂井線」には上り列車が1本も存在しないことになっていました。
戦時中、山側に新垂井駅経由の「東海道下り本線」が開業すると、これまで「東海道下り本線」であった旧下り線は撤去され、垂井駅は上り列車のみの停車となり、駅利用者は上り東京方面に向かう際には垂井駅を、下り大阪方面に向かう際には新垂井駅と使い分ける必要が生じるようになったようです。両駅の距離は約3km程です。
しかし、それでは不便だということで、戦後になって垂井経由の海側の下り線が復活されましたが、新垂井駅は存続したため、国鉄バスによる駅間連絡便があったものの、下り列車を利用して垂井駅もしくは新垂井駅に向かう旅客は街中に位置する便利な垂井駅を通る列車に集中し、また、大阪方面に向かう利用者は、列車の時間に合わせて海側の垂井駅か山側の新垂井駅を使い分ける必要が新たに生じてきてしまいます。
そうなると下り列車しか来ない街の外れにある新垂井駅より、街中にある垂井駅の方が便利だということになり、次第に垂井駅経由の列車の方が多くなっていったようです。そして、昭和61年11月のダイヤ改正時、新垂井駅は廃止されてしまっています。
国鉄が発行した同区間の東海道本線の駅一覧には、新垂井駅は別記されており、あくまでも別扱いになっているようです。
新垂井駅は近隣の駅とは別扱いになっており、東海道本線の大垣~関ケ原間の別線(通称・垂井線)として記載されています。
新垂井駅の備考欄には「(下り列車による旅客及び手荷物に限る。)」という注意書きがあります。
(同駅は「〇客=貨物の取扱いをしない駅」であったので、貨物についての記載はありません。)
この区間は上り線が右側の山線を、下り線が左側の海線と逆になっているので、頭の中がこんがらがってしまうような内容です。
もしかすると、こんがらがったままのおかしな文章になってしまっているかもしれません。その時はご容赦を。
ところで、新垂井駅から大阪方面に行く場合および関ケ原駅以西から新垂井駅に行く場合ですが、大阪方面に行く場合には列車の本数が半減されてしまっているので本数が少なく、関ケ原駅以西から新垂井駅に行く場合には、新垂井駅には上り普通列車が停車しないため、列車で行くことが不可能になります。
しかし、国鉄にはすべての駅間を列車で結ぶという使命がありますから、この問題をクリアにしなければなりません。
次回のエントリーで、この問題の解決策について御紹介したいと思います。