仙台駅発行 宮城野原から東京都区内ゆき改札補充券

昭和50年7月に㉝仙台駅で発行された、宮城野原駅から東京都区内ゆきの改札補充券です。


   


青色こくてつ地紋のA型一般式大人・小児用券で、仙台印刷場で調製されたものです。
一見すると他駅発東京都区内ゆきの乗車券のように見えますが、この券は改札補充券になります。


   


裏面です。
上から、「仙台市内 途中下車禁止」「東京都区内 下車前途無効」とあり、その下には「(買替)」と表記され、既収運賃30円と差額運賃1760円という記述があります。そしてその下には「宮城野原ー仙台間使用ずみ」という記載があります。


この券はまだ仙石線が地上駅であったころの仙台駅において、東京都区内まで行く旅客が「とりあえず」仙台駅までの乗車券を購入して仙台まで乗車して買替を申し出た際に発売していたもので、宮城野原駅から東京都区内までの当時の運賃1790円のうち、宮城野原駅から仙台駅まですでに乗車した30円の原券額を差し引いた1760円分の改札補充券で、そこそこ需要があったために硬券式で設備されていたものです。
当時の仙台駅は東北線仙台駅とは分離独立していたため、東北線に乗換えるためには一旦改札口を出る必要があり、ここで仙台までの乗車券しか所持していない旅客は精算をする必要があったわけです。


同じような例として拙ブログ2018年2月にエントリーさせていただきました、「〇T 鶴見駅発行 大川から140円区間ゆき片道乗車券」で御紹介させていただきました鶴見線用特殊金額式券と同じような性格のものと考えられますが、鶴見駅の場合は構内の中間改札という構造であるのに対し、仙台駅は一旦外に出なければならないという構造になっている点が異なります。
仙台印刷場での正式な呼称の文献が見つかりませんでしたので、ここでは改札補充券であろうということで御紹介させていただいています。



当時の仙石線仙台駅が東北線の仙台駅と離れていたことは、仙石線がかつて宮城電気鉄道という私鉄であったことに由来します。
宮城電気鉄道開業当時の仙台駅は現在の仙石線仙台地下駅付近にあった仙台東口駅という仮駅として開業したようですが、同社は仙台の県庁街へ到達させるべく、東北本線の線路を潜る形で、日本初の地下鉄とも言われている単線の地下区間をのちに開業させます。
その後戦時中に同線は国有化されて仙石線となりますが、国鉄は単線で使い勝手の良くなかった仙台地下駅を輸送力増強のために地上に移設しましたが、東北本線の仙台駅に隣接させることなく、かつての仙台東口駅付近に地上駅時代の仙台駅を開業させています。
しかし、歴史は繰り返すと言いますが、民営化後の仙石線地下化によって仙石線仙台駅は再び地下化され、東北本線を潜る形であおば通駅まで路線が延長されています。

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