趣味で蒐集した「きっぷ」を見て考えたこと、とか…
JR直営の印刷場名は国鉄時代の印刷場名を使用します。
古紙蒐集雑記帖
運輸省 天王寺から森ノ宮ゆき 片道乗車券
本日は終戦の日です。いまから74年前の1945(昭和20)年8月15日の正午、昭和天皇の肉声(玉音)によって現在のNHK第一放送によって終戦詔書が放送され、日本が戦争を終結させた日とされています。
朝日新聞に掲載された玉音放送の告知
平和で「パリピ」な現在の日本では考えられないことですが、今から74年前の日本の現実は悲惨なものであったことは、日本史で教わった通りであったわけです。
さて、今回は終戦の日に因み、戦争にちょっと関係するきっぷを御紹介致しましょう。
終戦から3年近く経過した、1948(昭和23)年4月に天王寺駅で発行された、森ノ宮ゆきの片道乗車券です。戦時中に考案された、簡易型「工地紋」の矢印式大人専用券で、千切り式軟券となっています。印刷場は不明ですが、発行されたエリアから、大阪印刷場で調製されたものではないかと思われます。
工地紋は戦時中の混乱期の1944(昭和19)年に広島鉄道局で考案された印刷工程を簡素化するための省略地紋で、広島局の他に大鉄局・門鉄局・名鉄局で使用され、戦後になって仙鉄局でも使用されていたと言われています。
この券は、戦中・戦後の物資難に伴ってペラペラのわら半紙のような券紙や、サイズも通常の乗車券よりも若干小さ目の節約タイプ、戦争への出征などによって印刷場の職員が減少してしまったことによる人手不足対策として誕生した簡易地紋等、戦争の影響が色濃く出ている券であるかと思います。
この券は拙ブログ2013年2月3日エントリーの「鉄道省 天王寺駅発行 工地紋乗車券」で御紹介いたしましたものの再掲になります。
前回は「鉄道省」と記載させていただきましたが、これは鉄道省時代の地紋として御紹介するためにこのような表記にしておりましたが、発行年から運輸省時代になりますので、今回は「運輸省」として御紹介させていただきました。