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青森駅発行 おおぞら1号 特急券

1980(昭和55)年1月に青森駅で発行された、函館から札幌までのおおぞら1号特急券です。


   

若草色こくてつ地紋のD型大人・小児用券で、仙台印刷場で調製されたものです。
列車名・乗車区間・発車時刻などがすべて予め印刷されている券で、国鉄部内では「常備特急券」と呼ばれていましたが、蒐集家の間では「完全常備券」として大変人気があります。


当時の青森駅は関東や関西からの優等列車が発着し、また、青函連絡船の桟橋がある本州の玄関駅でありますので、当然ながらすでに券売機や指定券端末の類は揃っていましたが、この券は硬券で発券されています。

これは、当時のマルス端末はメンテナンスなどができるよう、夜の22時頃からシステムが停止していたのですが、この券が発券されたのが深夜帯であったため、予めマルス端末で座席を抜いておいて台帳を作成し、発券の都度消しこみをしながら硬券で発売していたためです。
通常の駅であればみどりの窓口は夜間営業していないため、マルス端末を夜間停止していても問題ないのですが、青森駅は夜間でも列車が運転されて青函連絡船との接続をしていたため、夜間でも指定券購入の需要があったわけです。

この券もそのような事情の中で発売されたものですが、正月3が日の列車でありましたが、元日の夜に里帰りする旅客は年内に比べればはるかに少なく、辛うじて「飛び込み」でも特急券を購入することが可能でした。しかしながら、窓側の席はなく、通路側の「C席」になってしまっています。


   

実際、時刻表を見てみますと、おおぞら1号は函館駅を04時45分に発車し、札幌を経由して14時55分に釧路駅に到着しますが、この列車に乗車するには青森駅を深夜の00時35分に出航する第1便か、00時10分に出航する第11便に乗船するのがスタンダードであり、それらの旅客がおおぞら1号の特急券を購入していなければ、青森駅に着いてから、乗船までの待ち時間に購入する需要があったため、このような措置が取られていたものです。
ちなみに、11便は「桧山丸」という、俗に言う「津軽丸型」の一般的な船型の船舶ではなく、航送専用船を改造したグリーン船室や寝台設備の無い船舶が充当され、普通船室以外の設備を希望する旅客から敬遠されていました。


   

函館駅を04時45分に発車したおおぞら1号は、定刻通りであれば札幌駅に08時55分に到着することになっており、時間的にそれなりの需要がある列車でした。

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