趣味で蒐集した「きっぷ」を見て考えたこと、とか…
JR直営の印刷場名は国鉄時代の印刷場名を使用します。
古紙蒐集雑記帖
JR東海 東京駅発行 普通入場券
今からちょうど31年前の1989(平成元)年11月11日にJR東海東海道本線(新幹線)の東京駅で発行された普通入場券です。
白色無地紋のB型大人・小児用券で、名古屋印刷場で調製されたものです。
発行箇所は「〇二4東京駅発行」となっておりますので、1955(昭和30)年に国鉄自動車線における駅業務を受託する組織として、国鉄の主導にて設立された法人である日本交通観光社(日交観)に委託された窓口で発売されたものです。
日交観は昭和40年代半ばごろより、国鉄が利用の極めて少ない駅の駅員無配置化を進める中で受け皿となり、鉄道駅の運営にも進出しています。
鉄道駅では自動車駅と同様に運転・営業とも国鉄の直営と変わりなく、最も多い時期には国鉄全局管内にて538駅を受託し、従業員には主には国鉄を退職した地元出身もしくは在住者が充てられていたようです。
同社はこれら国鉄からの業務委託の他、旅行業や広告業、保険代理店業などにも進出していましたが、国鉄の分割・民営化の時に営業区域をJR東日本の管内のみに縮小して同社子会社として存続し、他地域については各旅客鉄道の分割区割に準拠して分社化され、以降は各旅客鉄道会社の関連会社として変化しているようです。
ご紹介の券は東京駅の新幹線中間改札口にある精算窓口で発売されたものですが、当時の窓口はJR東海直営の窓口と日交観が運営する窓口が横並びで並んでいました。JR東海直営の窓口にはマルス端末がありましたが、日交観の窓口には端末は無く、硬券と特別補充券での発券が行われており、入場券の発売の他に運賃の精算と新幹線自由席特急券の発売のみが行われ、新幹線特急券(指定券)の発売はありませんでした。
ただし、同社はJR東日本のエリアを基本としており、この取扱いは国鉄民営化以降の過渡期的なものであり、数年後には日交観の窓口は廃止されています。
JR東日本エリアに残された同社は、ジェイアールバステックというジェイアールバス関東の完全子会社として存続しています。