JR直営の印刷場名は国鉄時代の印刷場名を使用します。
10年以上前に御紹介した券も再度御紹介しようかと思います。
古紙蒐集雑記帖
日本交通公社 吉祥寺営業所発行 北海道周遊券
連日「GO TO トラベル」で話題になる国内旅行ですが、かつて国鉄が全国に網目状に路線を持っていた時代であれば「旅行は鉄道で」ということになりますが、国鉄が「民間会社」のJRとなって合理化されると、「利用が無いから廃止」という理由で次々と赤字路線が廃止され、特に北海道については鉄道旅行がかなり困難な地域があります。
以前御紹介したと思いますが、改めて国鉄時代に発行された北海道周遊券を御紹介致しましょう。
1986(昭和61)年8月に日本交通公社(現・JTB)吉祥寺営業所で発行された北海道周遊券のA片(ゆき券)になります。青色こくてつ地紋の常備軟券で、俗に「周遊券サイズ」と言われる券になります。
正式には「北海道均一周遊乗車券」というようですが、国鉄部内では「道均」と呼ばれていたようです。
北海道周遊券は「北海道ワイド周遊券」とも呼ばれ、自由周遊区間と呼ばれる北海道全域内の国鉄線と国鉄バスが乗り放題となるきっぷで、出発地から自由周遊区間までのA片と、乗り放題兼帰り用のきっぷであるB片の2枚セットで発売されていました。
JRとなってから周遊券制度が廃止される直前の1998(平成10)年時点では、北海道周遊券の他、道南・東北・南東北・信州・南近畿・北近畿・山陰・四国・九州・北九州の11種類(方面)の周遊券が発売されていましたが、自由周遊区間を乗り降りできる「ゾーン券」と自由周遊区間へのゆき券とかえり券である「アプローチ券」の3枚から成る「周遊きっぷ」に制度が変更になったものの、利益が少なかったのでしょうか、今では発売されておりません。
ワイド周遊券は自由周遊区間の広さと汎用性の高さが人気で、全線乗車した人を国鉄が認定する「いい旅チャレンジ20,000km」というキャンペーンに参加するため、全線完乗を目指す「乗りつぶし派」の殆どが利用していました。北海道全線、九州全線など広い範囲をいくらでも乗り降りできるワイド周遊券は、行き帰りの経路では急行列車が利用でき、自由周遊区間内では特急・急行の普通車自由席に乗り放題で最大20日間という長い有効期間が魅力でした。
自由周遊区間内ではほぼすべての列車に乗車できる「最強」のワイド周遊券でしたが、価格はかなり低く抑えられていました。例えば、東京都区内発の「北海道ワイド周遊券」は、当時で大人が36,800円、学割は29,500円くらいでしたので、東京都区内~稚内間の往復割引運賃は大人25,000円、学割は20,000円くらいでしたから、約3週間北海道のすべての列車に自由に乗車できることを考えれば、極めてコストパフォーマンスの高いきっぷでした。
⇒ クリックすると大きくハッキリ見られるかも知れません!
こちらがB片になります。なぜか周遊券は下車の際に途中下車印の捺印を受けることになっており、長期間様々な駅で降りる毎に「年季」が入ってきました。いろいろな駅で捺印を受けた途中下車印があり、いまではもうとっくに無くなってしまった駅や、無人化されてしまっている駅もたくさんあります。小さくて見づらい方は、下のサムネイルをクリックすると大きく見えるかも知れませんのでやってみてください。
これらA片とB片は発売前は横に繋がった1枚のシートになっており、駅によっては長いまま渡されるところもありましたし、A片とB片を切り離して渡されるところもありました。
イメージとしてこのような感じです。