小面印刷と集中印刷 ~その1

前回エントリーで「集中印刷」ということを申し上げましたが、それについての国鉄東京印刷場が作成した資料がございますので御紹介したいと思います。


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国鉄の印刷場で硬券を印刷する際、「小面印刷」という印刷方法と「集中印刷」という印刷方法がありました。小面印刷は一般的な印刷方法ですが、集中印刷は需要が多く、一度に大量の印刷枚数を必要とするB型券に使用された特殊な印刷方法です。


小面印刷の場合、白い板紙にまず地紋を印刷し、大截機という切断機で、A・B・C型券については「横片」の5.75センチ幅に9本に、D型券については8.8センチ幅6本に切断し、次に小截機という切断機で、A型券は3センチ幅に13枚、B型券は2.5センチ幅に15枚、C型券は6センチ幅に6枚、D型券はA型同様の3センチ幅に13枚に切断し、硬券の形をした原紙を作ります。そして、原紙に表面および裏面を印刷し、最後に券番を入れます。
普通に私たち素人が考える一般的な印刷方法になります。


それに対し、集中印刷の場合、白い板紙にまず地紋を印刷するところまでは小面印刷と同じ工程になりますが、切断することなくB型券(横5.75センチ x 縦2.5センチ)135枚分(9枚 x 15枚)の表面と裏面および券番を先に印刷してしまい、それから大截機で9本に切断し、次に小截機で15枚に切断するという方法が採られます。

集中印刷方法は比較的手の掛からない印刷方法で、印刷作業にかかる製作費は小面印刷の1/3ほどで済むようですが、1回の印刷で1駅(口座)分を5本に割り当て、同時に27駅分(5本 x 27駅分 = 135枚)の版を2,000枚の板紙に印刷するため、1駅(口座)分が10,000枚(5本 x 2,000枚 = 10,000枚)ということになり、10,000枚単位の大口印刷でないと対応ができなくなります。また、印刷するには印刷方法に由来する条件があり、B型券であることと、小児断片の無い券であること、小児用などといった赤い影文字のない大人専用券であることなどの制約がありました。


そのため、1回に印刷する量が10,000枚未満の小口の印刷には小面印刷が適しており、印刷場では印刷する券や枚数に応じて印刷方法を決めていたようです。

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