東京急行電鉄 渋谷駅発行の臨発用往復乗車券

昭和60年2月、東急東横線渋谷駅で発行された、日吉駅までの往復乗車券です。


   


緑色JPRてつどう地紋のA型硬券で大人専用の、山口証券印刷調製と思われる往復券です。

これは東横線日吉にある慶應義塾大学入試時の混雑対応のために設備されており、入学試験等特別の時にのみ臨発されました。渋谷駅では往路用のパンチが予め入れられており、入場時は改札係員に提示するだけで入場し、日吉駅でも改札係員に提示するのみで出場しますが、復路乗車の入場の際は日吉駅で入鋏を受けます。


   


臨発用の往復券は、新玉川線側にもありました。

券売機券同様の青色JPRてつどう地紋のA型大人用往復券で、こちらも山口証券印刷調製のようです。新玉川線駒沢大学駅にある駒澤大学の入学試験等の混雑時に発売されたものでした。
よく、矢印が二つとも駒沢大学の方を向いているミス券はいろいろなきっぷ系のブログなどで紹介されていますが、これが正当の券となります。

前回エントリーで、新玉川線側で発売される乗車券には新玉川線を示す「〇新」の符号が付いていると御紹介いたしましたが、こちらの券も発駅および着駅・発売箇所共に「〇新」の符号が付けられています。

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東京急行電鉄 渋谷駅発行の券売機券

今月16日、東急東横線の渋谷駅が地下化され、永年親しまれた蒲鉾屋根の地上駅が姿を消します。


    (東横線渋谷駅)


では、それに因んで、本日より数回に亘り、東横線渋谷駅関連の記事をエントリーして参りたいと思います。


第1回目は東急東横線で発売されていた、スミインク式時代の券売機券を御紹介いたしましょう。


   


昭和60年2月に発行された、東横線渋谷駅発行の券売機券です。

黄色PJRてつどう地紋のA型券で、80円区間ゆきの金額式券です。渋谷駅南口の券売機で購入したもので、発駅である「渋谷」の前に「〇南」という符号がついています。
(これはあくまでも「南口」という符号であり、国鉄南鉄道管理局の委託発売の符号ではありません。)


当時の東急線の券売機券は社線完結券は一部例外を除いて黄色地紋で、国鉄や他社線連絡券は桃色地紋となっており、券売機そのものが社線専用機と連絡券発券可能機に分かれておりました。連絡券発券可能機は自社完結券も発券できますので、そちらで発券された自社完結券については桃色地紋となっていました。


東急渋谷駅は、東横線渋谷駅の他に新玉川線渋谷駅(現・田園都市線渋谷駅)も存在します。

新玉川線渋谷駅は将来の営団(現・東京メトロ)半蔵門線渋谷駅開業のために営団が建設した駅です。昭和52年4月に開業した際には東急新玉川線しか発着していなかったために東急に移管されて管理する駅となっていましたが、昭和53年8月に営団半蔵門線の渋谷~青山一丁目間が開通すると、営団に再移管されています。しかし、平成20年の東京メトロ副都心線開業時、東急に再々移管されて現在に至っています。


   


こちらは東横線の券と同じ昭和60年2月に新玉川線渋谷駅で発行された券売機券です。時期から営団管理時代の券となります。新玉川線渋谷駅発行の券は、発行駅の前に「〇新」の符号が付けられ、東横線渋谷駅のものと区別されていました。

新玉川線渋谷駅の他、新玉川線各駅で発行された券は青色PJRてつどう地紋の券紙が使用され、他の東急各線のものとは区別されていました。
これは、東急線は乗車経路によって運賃の異なる区間があり、改札現場にて新玉川線経由と東横線経由を視認しやすいようにしたものと思われます(地下化によって改札が一元化されるために解消されます)が、実のところはわかりません。

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東京急行電鉄 桜木町⇔横浜間の選択乗車に於ける乗車券

前回エントリーでは国鉄発行の乗車券を御紹介いたしましたので、今回は当該区間の東京急行(東急)発行分を御紹介いたしましょう。


   


昭和32年8月に東急桜木町駅で発行された、桜木町から横浜ゆきの片道乗車券です。

緑色PJRてつどう地紋の矢印式大人・小児用券で、井口印刷場調製と思われます。やはり国鉄の券同様に「(裏面注意)」として裏面に注意書きが印刷されています。


   


裏面です。

「国鉄線東横線いずれにも乗車出来ます」と記載されています。
国鉄券が「国鉄線・東横線いずれにも…」となっていましたので、東急券は「東横線・国鉄線いずれにも…」と東横線が先に記載されているのではと思いきや、こちらも国鉄線が先に記載されています。それだけ国鉄の力は強大であったのでしょうか?


当時の桜木町駅の構造が良く分かりませんが、発行箇所名の表記が「〇東 〇A 桜木町駅発行」となっており、国鉄と東急の窓口が一元化されていて、国鉄が東急の乗車券の発売を受託していたと考えられます。


   

   


昭和37年当時の桜木町駅発行の東急券を見ても、発行箇所名の頭に「〇東」の符号が付いています。

もしそうであったとすると、横浜までの乗車券を購入する旅客は、自身がこれから国鉄に乗車するのか東急にするのかを窓口に申告のうえ、横浜までの乗車券を購入したのでしょうか?

それとも、プール制であればどちらの券を発売しても一定の運賃は回収できますので、旅客からの申告が特段なければ国鉄の費用で印刷された国鉄券を出さずに、東急の費用で印刷された東急券を発行することでコストを削減(?)をしていたのでしょうか?


東急東横線の桜木町~横浜間は平成16年2月、横浜高速鉄道みなとみらい線との直通運転によって区間廃止されてしまっており、プール制はおろか、路線そのものも過去のものとなってしまっています。さらには、桜木町駅跡の解体工事が開始され、東横線が桜木町まで伸びていたことさえも忘れ去られようとしています。


今月16日には東京メトロ副都心線との直通運転が開始され、渋谷~代官山間の地上区間が廃止され、地下線化されます。

今、東急東横線から目が離せませんね。

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桜木町⇔横浜間の選択乗車に於ける乗車券

昭和28年10月に桜木町駅で発行された、横浜駅ゆきの片道乗車券です。


   


桃色こくてつ地紋のB型相互式大人・小児用券で、東京印刷場で調製された券となっています。まだ時代が時代でしたので、「木町」や「横」など、旧字体が残る様式です。


   


裏面です。

鉄線、東横線、いづれにも乗車できます」という注意書きがあります。


これは当時戦時中の「運賃プール制」という事情から開始された連絡運輸会社線相互間の選択乗車制が行われていたために書かれていたものです。


運賃プール制は、並行する営業区間をもつ連絡運輸機関相互間で、原則としてその区間の運賃が同額であり、かつ両端駅が共同使用駅の場合に旅客運賃をプール制にし、共通乗車券制または旅客の選択に任せ、関係運輸機関は特別の実績調査を行い、その運輸量に応じた割合で運賃を収受するというものでした。これは旅客の利便性を向上すると同時に運輸機関当事者も取扱いが能率化される効果を期待したものと言われ、戦時体制化の輸送能率向上または交通調整の目的で各運輸機関相互間に推進されたようです。

桜木町⇔横浜間については昭和17年から開始され、根岸線桜木町~大船間が開業する前の昭和37年10月に制度が廃止されたようです。


   


昭和36年8月、国鉄は不正乗車を防止するために最低区間のみを赤刷券として発行することを受け、東京印刷場では東京および千葉局用の最短区間用の券を赤刷りとすることとし、当該区間についても赤刷券として登場しています。

地紋が見づらいですが、桃色こくてつ地紋のB型券相互式大人・小児用券で、東京印刷場調製の券です。


   


裏面の注意書き部分です。

裏面についてもすべて赤刷となっています。面白いことに、昭和29年当時の券では「いづれにも…」という表記になっていましたが、この券は「いずれにも…」という表記に改められています。昭和34年の券を見ると既に「いずれにも…」に改められていますので、昭和30年代初頭に修正されたものと思われます。

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JR西日本 宮島口駅券売機発行 往復乗車券

前回エントリーに引き続き、宮島航路の券売機券の話題です。



   


宮島口駅の券売機には往復乗車券専用の券売機がありました。

桃色JRW地紋のキレート券紙が使用されていて、左右に「かえり券」と「ゆき」券が繋がっている体裁は硬券の往復乗車券の様式を踏襲していますが、一般式が繋がっているのではなく、矢印式券となっています。


宮島口駅でフェリーの乗車券を購入する旅客は日帰りの観光客が多いせいか、帰路の乗車券を購入する必要のない往復乗車券はかなり需要があったようです。そのため、券紙に捺印印字される印板は激しく摩耗しており、記載事項がほとんど分かりません。


記載事項が鮮明ではありませんが、左側の「かえり」券には発駅である「宮島」が縦書きの四角囲みで表記され、三角矢印の右側に着駅である宮島口と横書きで記載されています。その下には大人往復運賃である320円と記載され、そにの下には小さく「小児160円」と小児運賃が記載されています。

右側の「ゆき」券には発駅である「宮島口」が縦書きの四角囲みで表記され、三角矢印の右側に着駅である宮島と横書きで記載されています。

もともとはあったものが磨耗してしまったのかもしれませんが、「発売日共2日間有効」の表記はありません。


特筆すべきは「かえり」券と「ゆき」券の間で、よくよく見るとミシン線のようなものが見られます。



   


裏面から見てみましょう。

あまりはっきりしませんが、縦にミシン線が入っていることが分かります。


宮島航路では宮島口から乗船する旅客は改札を通らず乗船し、宮島駅で下船時に乗車券が回収されます。逆に、宮島駅で乗船する旅客は乗船時に改札を受けて乗車券が回収される方法が採られており、往復乗車券を所持した旅客は宮島で下船する際、右半分の「ゆき」券をもがれて回収されたものと思われます。



   


ミシン線部分を拡大して見ます。はっきりと、ミシン線があることが分かります。


当初この券を購入するまでは、この券売機がなぜ往復乗車券専用なのか理解できませんでしたが、この券を手にした時にその謎は解けました。券紙は片道券のものと同じものですので、印字されて発券される間に、ミシン線を入れる工程がひとつ入れられている特殊な券売機であったものと思われます。

現在でも券売機による往復乗車券は宮島航路だけでなく全国各地のJR線の駅で発売されていますが、現行では「ゆき」券と「かえり」券が別々に発券されて2枚一組となっているのが通例であり、発売時にミシン線を入れるような発券方法は全国的にも珍しいものであったものと思われます。

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