京のおさんぽ

京の宿、石長松菊園・お宿いしちょうに働く個性豊かなスタッフが、四季おりおりに京の街を歩いて綴る徒然草。

一つ 人より力持ち

2010-12-19 | インポート

 一之船入、といえば、京都の名所の一つ。

 当館から徒歩五分ほどのところで、訪れる人も多いですね。

 高瀬川の船運の始終点。

 川には清酒の樽を載せた船が係留されており、風情があります。

 こと、桜が満開の季節となれば、絵になる光景で、絶好の撮影スポットです。

 さて、一之船入があるのだから、二之船入もあるだろう。

 そんなことを思いながら、高瀬川沿いを下っていくと、果たしてあります、二之船入。

 二之船入もあるなら、ひょっとして三之船入も?

 と、またまた南へ下っていけば、ありますあります三之船入。

 三条通の少し北あたりです。

 さすがにここまでか?いやいやまだまだ?

 と、期待半ばに歩いていくと、なんとあります、四之船入。

 四之船入が……いや、もういいか。

 船入の石碑は、こうして高瀬川沿いを下っていくと、九之船入まで見つけることができます。

 ちょうど四条通の少し北のあたりが、九之船入。

 三条通と四条通の間の高瀬川沿いは、京都でも屈指の繁華街。

 風情とは程遠い景観で、決して「京都らしい」とはいえないところ。

 しかし、幕末という時代において、このあたりが京都の中心であったのは事実。

 東から陸路で京都へ来るものは三条大橋へ。

 西から海路をで京都へ来るものは、大坂、伏見を経て、木屋町へ。

 交通の便宜上、三条木屋町周辺は、物と人の集積地だったということです。

 たとえば一之船入のすぐ西側には長州藩の屋敷が。

 たとえば三之船入のあたりには池田屋が。

 五之船入に面しては、海援隊の本部、酢屋があったり。

 幕末の偉人達がこのあたりを闊歩していたわけです。

 そんな時代のことを思いながら、高瀬川沿いの散策に興じてみてはいかがでしょうか。

”あいらんど”