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先住民族関連ニュース

先住民族関連のニュース

<国の指針に基づく初めての返還例>東京大学が明治時代に研究目的で発掘したアイヌ民族の遺骨を返還(動画)

2020-10-06 | アイヌ民族関連
STV 10/5(月) 6:59

北海道新ひだか町の三石アイヌ協会に、東京大学が保管するアイヌ民族の遺骨が返還されました。身元不明の遺骨でも返還できる手順を定めた政府指針に基づく初めての返還例となります。
新ひだか町の三石アイヌ協会に返還されたのは、東京大学が明治時代に研究目的で発掘した男性の遺骨1体です。遺骨はアイヌの伝統儀式で供養されていました。今回の返還は身元不明の遺骨でも返還できる手順を定めた2018年の国の指針に基づく初の返還例となります。
(三石アイヌ協会 幌村司会長)
「明治以来の帰郷なので、本人にとっても良かったし、我々も本当にうれしい」
遺骨はその後、地元の納骨堂に収められていました。
https://news.yahoo.co.jp/articles/c47e9cbfcf81a870d5a672bde9a45e0dcefec737

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強制移住 迫害の歴史語り継ぐ

2020-10-06 | アイヌ民族関連
北海道新聞 10/05 16:00

下雪裡の地図を手に、会員たちに強制移住の歴史を説明する高橋素子さん(右端)と佐藤寿子さん(左端)(加藤哲朗撮影)
鶴居の跡地 釧路アイヌ文化懇話会視察
 【鶴居】明治時代、現在の釧路市に住んでいたアイヌ民族は鶴居村への移住を強いられた。和人の増加に伴う市街地の形成が主な理由とされる。釧路アイヌ文化懇話会は9月中旬、鶴居村の強制移住跡地を視察する初のフィールドワーク(現地視察)を行い、アイヌ民族の歴史をたどりながら、民族差別について理解を深めた。同会は「アイヌの人たちが歩んだ歴史を後世に語り継いでいきたい」としている。(熊谷知喜)
過酷な開墾 禁漁で餓死も
 フィールドワークには釧路アイヌ文化懇話会の会員11人が参加。強制移住跡地で鶴居村発祥の地となった雪裡川上流に位置する同村下雪裡を訪れた。
 「当時の下雪裡はうっそうとした森林が生い茂り、荒れ地だった」「アイヌの人たちは住む場所を追われ、不便な土地に移住させられた」。講師を務めた会員の高橋素子(69)=鶴居村=さんと佐藤寿子さん(71)=釧路市=は、下雪裡の地図を手に説明した。
 鶴居村史などによると、1885年(明治18年)に、現在の釧路市の幣舞橋周辺から27戸138人が同村下雪裡に強制移住させられた。高齢者や女性、子どもは川舟に乗り、男性は川伝いの陸地を歩いて向かった。同村史は「原野一面に茂った大木を切り倒し、根を掘り起こし、火入れをして畑をつくり、原野を拓(ひら)いた」と、過酷な状況を伝える。
 佐藤さんは強制移住後の生活について、雪裡川が93年(明治26年)にサケの天然ふ化場に指定され、川でのサケ漁が5月から11月まで禁止となったことに触れ、「食料を確保できずに餓死した家が2戸あった」と指摘。生活が困窮し、現在の釧路市春採に出稼ぎに行き定住する人もいるなど、98年(明治31年)には約半数の14戸に減少した。
石碑にも「書くべきだ」
 下雪裡には、「下雪裡連合会」が1979年に建立した石碑「雪裡発祥の地」が設置されており、次の碑文が刻まれている。
 「鶴居村は昭和12年(1937年)4月、旧舌辛村より分村したが、本村開拓の歴史は明治18年(1885年)7月3日、根室県令によって許可された移住者のうち27戸がこの地(雪裡)に入地したのに始まる(略)」
 碑文を読んだ会員から「アイヌ民族の記述がない」「強制移住の言葉がない」「どこから来たのかも書くべきだ」「和人の視点で書かれている」と憤りの声が相次いだ。高橋さんは「アイヌの人たちの強制移住が鶴居や阿寒をつくる一歩になったのに…」と首をかしげる。小川正人著「近代アイヌ教育制度史研究」(北大図書刊行会)によると、アイヌ民族の主な強制移住は1870~90年代に道内20地域で行われ、釧路・根室管内では鶴居村のほか、弟子屈町内でもあった。
 7月中旬に胆振管内白老町でアイヌ文化復興拠点「民族共生象徴空間(ウポポイ)」が開業し、アイヌ文化について理解を深める機会は増えたが、釧路アイヌ文化懇話会の山本悦也会長(64)は「アイヌの人たちが歩んだ歴史についても知ってほしい」と強調。同会会員の高橋さんも「歴史は聞いて伝え、形に残さなければ消えてしまう」と訴える。
 同じく同会会員の京大フィールド科学教育研究センター北海道研究林職員の佐藤修一さん(64)=標茶町=は「実際に現地を訪れると、いかに過酷な場所に追いやられ、迫害を受けていたかが伝わってきた」と話した。
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/467390

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シラベルカ/アイヌ語の名前は?(動画)

2020-10-06 | アイヌ民族関連
NHK 10月05日 18時46分
みなさんからいただいた疑問に答える「シラベルカ」。
今回は名前についての疑問です。投稿はこちら。
「アイヌの人々にはアイヌ語の名前があると聞きましたが、アイヌ語の名前の方にお会いしたことはありません。アイヌ語の名前について調べて下さい」。
投稿して下さったペンネームおかちゃんは、東京出身で、北海道に来たころから疑問に思っていたそうです。
苫小牧支局の中尾記者が調べました。
https://www3.nhk.or.jp/sapporo-news/20201005/7000025385.html

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「ゴールデンカムイ」第3期本日スタート、初回のあらすじ&場面カット公開

2020-10-06 | アイヌ民族関連
コミックナタリー 10/5(月) 21:52

野田サトル原作によるTVアニメ「ゴールデンカムイ」第3期の初回話のあらすじと場面カットが到着した。
初回はアシリパを連れ去ったキロランケたちを追い、杉元ら先遣隊一行が樺太にたどり着くところから始まる。アシリパらしき女の子の情報を得た一行は、少女が向かったという森を訪れるが、そこにいたのは樺太アイヌの女の子だった。そんな中、イタチ科最大級の猛獣・クズリが杉元たちに襲いかかり……。また第3期の放送を記念し、アニメの公式サイトではキャラクターたちの名言を紹介するコンテンツ「『今日を生き抜く名言』診断」が展開された。
「ゴールデンカムイ」はゴールドラッシュに湧いた明治後期の北海道を舞台に、アイヌが遺した莫大な埋蔵金を狙う、元軍人の“不死身の杉元”と、アイヌの少女・アシリパを軸に描く冒険活劇。TVアニメ第3期は本日10月5日よりTOKYO MX、読売テレビ、札幌テレビ、BS11、時代劇専門チャンネルで順次放送され、FODで配信される。
■ TVアニメ「ゴールデンカムイ」第3期
□ 放送情報
TOKYO MX:2020年10月5日(月)より毎週月曜23:00~
読売テレビ:2020年10月5日(月)より毎週月曜25:59~
札幌テレビ:2020年10月5日(月)より毎週月曜25:44~
BS11:2020年10月5日(月)より毎週月曜23:00~
時代劇専門チャンネル:2020年10月10日(土)より毎週土曜25:00~
□ 配信情報
FOD:2020年10月5日(月)より毎週月曜23:00~独占配信
□ スタッフ
原作:野田サトル(集英社「週刊ヤングジャンプ」連載)
監督:難波日登志
シリーズ構成:高木登
キャラクターデザイン:大貫健一
音楽:末廣健一郎
アニメーション制作:ジェノスタジオ
□ キャスト
杉元佐一:小林親弘
アシリパ:白石晴香
白石由竹:伊藤健太郎
鶴見中尉:大塚芳忠
土方歳三:中田譲治
尾形百之助:津田健次郎
谷垣源次郎:細谷佳正
牛山辰馬:乃村健次
永倉新八:菅生隆之
家永カノ:大原さやか
キロランケ:てらそままさき
インカラマッ:能登麻美子
二階堂浩平:杉田智和
月島軍曹:竹本英史
鯉登少尉:小西克幸
※アシリパのリは小文字が正式表記。
※インカラマッのラは小文字が正式表記。
(c)野田サトル/集英社・ゴールデンカムイ製作委員会
https://news.yahoo.co.jp/articles/62c7ed1d88e94609954310cb42f0498fcdc8b96f

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世界各地の「先住民」の仮面、神像、生活道具など740点が、大阪に集結

2020-10-06 | 先住民族関連
Lmaga.jp 10/5(月) 16:15

新型コロナの影響で、延期となっていた展覧会『先住民の宝』が、「国立民族学博物館」(大阪府吹田市)で、10月1日よりおこなわれている。
本展は、世界各地の「先住民」にスポットを当てた企画。現在、世界には70以上の国々に約3億7000万人もの先住民が暮らしており、民族の数は少なくとも5000と言われている。
今回取り上げるのは、オーストラリアのアボリジニ、マレーシアのオラン・アスリ、北欧のサーミなど9つの国や地域に暮らす先住民たち。彼らが使用する仮面、神像、衣服、装身具、絵画、生活道具など約740点を通して、先住民の生活や文化、精神世界を紹介する。
また、多数の講座、ワークショップ、映画上映会が予定されており、最新の研究成果を学べるという。
先住民は西欧列強の植民地化や国家にのみ込まれてきた歴史を持ち、現在も困難に直面しているケースが見受けられる。彼らをとりまく現状や、大切にしてきた「宝」(人間関係、自然環境、生活用具、祭礼、芸能、精霊、祖霊など)を知ることで、先住民が継承してきた文化の魅力と、彼らが未来へ抱く希望を感じ取りたい。
また、明治後期の北海道を舞台とする野田サトルの人気漫画『ゴールデンカムイ』のデジタル原画をアイヌの民具とともに展示。
期間は12月15日まで、料金は一般880円。
文/小吹隆文(美術ライター)
https://news.yahoo.co.jp/articles/839df6172e72d1e5136280daeacacc70c9fb69c7

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ヨコトリから内藤礼展まで、9月のレビューをプレイバック

2020-10-06 | アイヌ民族関連
美術手帳10/5(月) 8:22
檜山真有評 中川裕貴『アウト、セーフ、フレーム』(ロームシアター京都)
 チェロや電気、適当な録音を使用した演奏と演出を行う中川裕貴。ロームシアター京都で上演された『アウト、セーフ、フレーム』は、チェロという楽器の中に潜む「声」を様々な演奏手法で引き出した作曲作品だ。本作を、キュレーターの檜山真有がレビューする。
中村史子評 「式場隆三郎:脳室反射鏡」展(広島市現代美術館)
 民藝運動、ゴッホ論、精神病理学入門、性教育など、広範にわたる分野で活動し健筆をふるった精神科医・式場隆三郎。彼の多分野にわたる啓蒙の軌跡を、約200点の作品と資料でたどる展覧会が広島市現代美術館で開催された。式場が横断した境界線、またその活動の内奥を、愛知県美術館・学芸員の中村史子が考察する。
大下裕司評 大阪人権博物館(リバティおおさか)「35年展」
 1985年に大阪人権歴史資料館として開館し、被差別問題、在日コリアン、ウチナーンチュ、アイヌ、公害被害者、ハンセン病患者、薬害被害者、LGBTQ、いじめなど様々な人権問題を紹介してきた大阪人権博物館(リバティおおさか)。同館は、2015年の大阪市による提訴と今年3月の和解を受け、5月31日に閉館した。35年の節目として、そして現施設での最後の展覧会として行われた「35年展」を、大阪中之島美術館準備室学芸員の大下裕司がレビューする。
中村佑子評 「内藤礼 うつしあう創造」展(金沢21世紀美術館)
 金沢21世紀美術館で開催された内藤礼の個展は、大小様々な展示室や光庭、通路といった空間と呼応するように構成された。コロナ禍のただなかに開催された本展における作家の変化について、ドキュメンタリー映画『あえかなる部屋 内藤礼と、光たち』(2015)を監督した中村佑子が論じる。
飯岡陸評 「ヨコハマトリエンナーレ2020 AFTERGLOW-光の破片をつかまえる」
「AFTERGLOW-光の破片をつかまえる」をタイトルに掲げたヨコハマトリエンナーレ2020。新型コロナウイルスの影響を受けながらも、世界でもいちはやく開幕に踏み切った国際展は何を伝えるのか。キュレーターの飯岡陸がレビューする。
中島水緒評 qp「明るさ」(Alt_Medium)
 2019年に7年ぶりとなる個展「セルヴェ」をパープルームギャラリーにて開催し、デジタル移行前のアニメのセル画にヒントを得た手法を用いた作品を発表したqp。1年後の開催となった本展では、約4ヶ月という短期間で集中的に制作された作品を発表した。SNSでの発信もマイペースに行うなかで、リアルな展示から浮かび上がるものは何か。美術批評家の中島水緒がレビューする。
佐原しおり評 「Emergency Call」
 コロナ禍で様々な分野のオンラインコンテンツが配信されている。評論家としても注目を集めるアーティストの大岩雄典は、展覧会「Emergency
Call」をキュレーション。それは指定の番号に電話をかけることで美術家、音楽家、博士、SF作家、俳人、歌人など17組による音声を自動再生で聴く、40分05秒の「電話展示」であった。日本国内の緊急事態宣言解除まで続いたこの試みを、埼玉県立近代美術館学芸員の佐原しおりがレビューする。
飯岡陸評 Ryu Ika展「The Second Seeing」(ガーディアン・ガーデン)
 現実世界を舞台に見立て、空虚に感じるその理由に迫ろうとした「Big Brother is Watching
you」で「1_WALL」のグランプリを獲得したRyu
Ika(劉怡嘉)の受賞展がガーディアン・ガーデンにて開催された。内モンゴルで生まれ育ったRyuの作品世界で表される、イメージのなかで生きる私たちについて、キュレーターの飯岡陸がレビューする。
永瀬恭一評 「バウハウス100年映画祭」
 建築、デザイン、写真など様々な分野を横断する造形学校としてドイツに誕生し、その後ナチスの迫害を受けてわずか14年で閉校したバウハウス。その創設100年を記念して、2019年から全国で「バウハウス100年映画祭」が開催されている。ラースロー・モホイ=ナジの生涯を追った上映作品『ニュー・バウハウス』を中心に、バウハウスにおける芸術教育のあり方から見えるものを画家・永瀬恭一が論じる。
AKI INOMATA評「廣瀬智央 地球はレモンのように青い」展(アーツ前橋)
 イタリア・ミラノを拠点に活動する廣瀬智央の個展がアーツ前橋にて開催された。1997年に発表した、約3万個のレモンを用いる《レモンプロジェクト
03》のほか、イタリア渡航以後に発表した初期作品や国内未発表作品、そして新作を含めた約100点でこれまでの廣瀬の活動を展覧。本展を、アーティストのAKI
INOMATAがレビューする。
小金沢智評 「もうひとつの日本美術史 近現代版画の名作2020」展(福島県立美術館)
 明治から平成にかけての版画の名作約300点により、日本の近現代を振り返る展覧会が福島県立美術館にて開催された。これまで日本の美術の歴史を語るうえであまり光が当てられることのなかった「版画」を文脈として、地方から見えるもうひとつの近現代日本美術史を編み直す。版画表現の歴史を振り返りながら、キュレーターの小金沢智が本展をレビューする。
https://news.yahoo.co.jp/articles/cafded3bc9ccf41bd0c7523d958ab51b9bbc53fd

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作家・寺地はるなの創作の秘密に迫る 現役書店員と語る新作『彼女が天使でなくなる日』の魅力

2020-10-06 | アイヌ民族関連
ブックバン 10/5(月) 7:30
絶大な共感力で、書店員からも多くの注目を集めている寺地はるなさんの、新作『彼女が天使でなくなる日』が刊行されました。人口三百人の小さな島を舞台に、託児所兼民宿を営む女性と、「母子岩」というパワースポットのご利益を求めて訪れるお客さんとの交流を軸に描いた物語。書店員お二方と鼎談していただき、繊細な描写で読者を魅了し続ける寺地さんの創作秘話に迫ります。
小説が悪い影響を与えることも良い影響を与えることもある。
小泉真規子(以下、小泉) 都会で疲れた人が田舎で癒されて元気になって帰っていくという話はよくあると思うんですが、これは違いますよね。島の風景に癒されるわけでもないし、島の人たちとの交流で心が洗われましたというのでもない。ないんやけど、ちゃんとみんな前を向いて帰っていく。寺地さんらしい優しさとユーモアを感じながらとても面白く読ませていただきました。
寺地はるな(以下、寺地) ありがとうございます。
百々典孝(以下、百々) 僕は島の描写にすごくリアリティを感じました。そこで暮らす人たちの日常だけでなく、河童を模した案山子があるなど細部もかなり具体的ですよね。モデルとなった場所があるんですか? 
寺地 いえ、架空の島です。私は佐賀県の唐津市出身ですが、唐津というところにはちっちゃい島が点々としています。その中にこういう島があったらいいなと。見たものしか書けないという性分なので、地元の風景として心に刻まれているものなどをちょっとずつミックスして書き上げています。ちなみに、私が生まれた町は河童の棲む里という伝説が残っています(笑)。
百々 海の匂いというのは実はプランクトンの死骸の匂いなんだとも書かれていますよね。他の人だったら、こういう言葉は出てこないんじゃないかと思います。立体感があって、想像を掻き立てられる描写に唸りました。
寺地 今は取材にも行けないような状況ですから、自分の体験や記憶を総動員しています。潮の香りなんて、それほどいいものじゃないの(笑)。
――その島で主人公の千尋は民宿を営んでいるわけですが、ただの民宿ではなく託児所も兼ねている。とても独創的な設定ですね。
寺地 以前、ベビーシッターの話を依頼されまして、途中まで書いたのですがいまいちで、視点を変えて書き直してみたものの、それも納得できなくて、さらに練り直して。そのとき、託児所もやっているベビーシッターという設定にしたんです。でも、これもまたなんというか……。再々チャレンジみたいな経緯でこの作品があります。
小説に出てくる人物の書き方には気を使います
小泉 そのときも島を舞台にして書かれたんですか。
寺地 街中ですね。ベビーシッターさんがいるのってある程度の街なのかなと思っていたのですが、しっくり来なかったです。島にするのは、まったく別の小説のことを考えているときに思いつきました。何かの折に、パワースポットと呼ばれている場所に対して、その近所で生まれ育ったような人って、日頃どう接しているのかなと考えたことがあって。そのことをふと思い出したら、それまでのいろんなアイデアが結びつきました。
百々 「母子岩」という子宝祈願のパワースポットを目掛けて島外から人は集まるけど、島の人たちはけっこう冷めた目で見ていますよね。ここ、面白かったです。それにしても、民宿と託児所という組み合わせは絶妙です。託児所というだけだったら、大人のどろどろした話になってしまう気がするし。登場人物はみな複雑な事情を抱えていますが、希望の光のようなものを感じることができたのはこの設定だからなんだろうと思います。
寺地 子どもを育てるのは大変というだけで終わりにしたくはなかったんです。子を持つ親だけが出てくるわけではないですし、いろんな人に自分の話だと感じて読んでほしいと思っています。
小泉 私とはまったく立場が違うにもかかわらず、深く共感するところがたくさんありました。千尋の人間的な魅力が大きいんかなと思います。
――千尋は母親を幼い頃に亡くし、父のこともほとんど知らず、民宿の“モライゴ”(貰い子)になって“島のみんなの子ども”として愛されながら育てられ大人になりますが、この人物造形はどのようにして生まれたのでしょうか。
寺地 いつだったか、アイヌ民族は自分の子どもでなくても、同じように育てるという話を聞いたことがあって、いいなぁと。ただ、不幸な生い立ちだからいい人、みたいな感じになると嫌らしいなと思っていたので、どう書けばいいのか悩みましたね。三崎塔子というライターが、不幸な生い立ちのあなたの人生を書きたいと千尋に近づいてきますけど、そういう物語として消費してしまおうとする感じは、自分の中では難しかったです。でも、小説にするということは、そういうことなんだと思います。だから人物の書き方には気を使います、この作品に限らず。
小説が自分の思いを肯定できるきっかけになれば嬉しい
小泉 私は寺地さんが書かれる女性に心惹かれます。しなやかな強さを感じるし、今回の千尋もそう。ばっさり斬るんだけど、寄り添いながらという感じもあるし。印象的だったのが「なにかの経験をした人が、その経験がない人に『あなたにはわたしの気持ちがわからない』と言う行為、わたしは嫌いです」というセリフです。はっきり主張できる千尋、いいなぁと思います。
寺地 この小説を読んでくれた人が、嫌なことは「嫌」、嫌いなことは「嫌い」と言っていいんだと感じてくれたらいいなと思っています。書かれたものを目にすることが自分の思いを肯定できるきっかけになれば嬉しいです。フィクションの影響って悪いことばかりが言われがちですよね。事件が起これば、あの本の残酷な描写が影響を与えたなどと報道されたり。でも、悪い影響を与えることがあるならば、いい影響を与えることもあるはず。理想を並べるわけでも、これが正解というつもりもないけれど、小説がその役割を果たせたら素敵だなと思っています。
百々 どう思うかは人それぞれ。千尋はこのことを体現するような人物ですね。
寺地 私、カエルが嫌いなんですけど、でも別に絶滅してほしいとは思っていませんから(笑)。嫌いという感情はどうしようもないけれど、それはいけないことではない。そういう考え方になればいいなと思います。
百々 嫌いというか、理解しがたいなと思っているのが、本作のタイトルにもなっている第二章の、いくつになっても娘を溺愛する母親です。娘にはその先の輝きのようなものを感じたのですが、母親は異常な愛情の注ぎ方に気付くのかどうか。幸せになってほしいんだけどなぁ。
寺地 気が付かないと思いますよ。だって、正しいと思ってやっているんだから。島に来ただけであっさりいい風に変わっていくんだとしたら、それはリアルではないような気がします。
小泉 この親子、近すぎるだけに怖いですよね。
寺地 たとえ自分の娘であっても他人だと思うんです。だから、天使呼ばわりして褒めている態で、でも実際は抑圧している感じが私も怖いなと思いながら書いていました。そもそも天使ってどんなイメージを持っていますか? 一般的には純粋で可愛いという意味合いで使われると思うんですが、私は小さな子どもに対する“天使みたい”という表現に違和感があるんです。欧米の映画を見ていると、神様の命令は絶対で、それを遂行するためには手段を選ばない感じがあって、ぜんぜん可愛くないでしょ。
小泉 愛らしい=天使というのは日本ならではかもしれないですね。私はミッションスクールに通っていたので聖書を勉強したことがあるのですが、天使って悪いことを予言しにくるような存在で、キラキラなんてしていません。だから今回の天使という言葉には寺地さんの宗教観みたいなものも少し含まれているのかなと思っていたのですが。
寺地 そんなことはまったくなくて。西洋絵画に「受胎告知」ってあるでしょ。そこに描かれる天使って、だいたい怖い顔してるから。
百々 確かに(笑)。今の話を聞くと、個性的な登場人物たちをどのようにして生み出すのか、その背景も知りたくなりますね。思い入れのある人などいますか? 
寺地 第一章の小さい子どもを持つ理津子さんかな。彼女だけは第一稿から残っているので、長い付き合いなんです(笑)。
小泉 この作品の中で、最も変わったことがわかる人物ですよね。
寺地 島で一晩ぐっすり寝ただけなんですけどね。島の人々に何かしてもらったわけでもないのに前向きになったのは、もともと彼女の中にあったものによると思うんです。それまでは育児を手助けしてくれる人が誰もいないと思い込んで世界を狭くしてしまっていた。でも、千尋たちが子どもをあやす姿を見て預けられるんだと知り、気持ちに余裕ができたんじゃないですかね。だから、本人の中でなにかが変わっていった。人にはそういう力があるのだろうと信じたいですね。
 ***
寺地はるな(てらち・はるな)
1977年佐賀県生まれ。大阪府在住。2014年『ビオレタ』でポプラ社小説新人賞を受賞しデビュー。2020年現在、『夜が暗いとはかぎらない』が山本周五郎賞にノミネートされている。他の著書に『今日のハチミツ、あしたの私』『やわらかい砂のうえ』など多数。
【聞き手】
小泉真規子(こいずみ・まきこ)
紀伊國屋書店梅田本店勤務。入社以来長らく文芸書を担当。
百々典孝(どど・のりたか)
紀伊國屋書店梅田本店勤務。専門書全般を担当。
[文]角川春樹事務所
構成:石井美由貴/写真:福田 拓/寺地はるな×百々典孝(紀伊國屋書店梅田本店)×小泉真規子(紀伊國屋書店梅田本店)
角川春樹事務所 ランティエ 2020年10月号 掲載
角川春樹事務所
https://news.yahoo.co.jp/articles/ee66351b67dc0a8253064e57e77af0bda41385ab?page=1

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動画】新型コロナウイルス:伝統を受け継いでいくために——ブラジル先住民族の健康と文化を守る

2020-10-06 | 先住民族関連
国境なき医師団 2020年10月05日

ブラジルには多くの先住民族が暮らしているが、生活圏が都市部から離れているうえ、政府による予算削減や医師不足などにより十分な医療ケアが行き届いていない。
体調に異変を感じても、すぐに医療機関を受診することができないという状況の中、新型コロナウイルス感染症の世界的大流行(パンデミック)によって、人びとの健康は脅かされている。
固有の文化を受け継ぐ先住民族の人びとにとって、命を守ることは、すなわち伝統を守ることだ。国境なき医師団(MSF)は、マット・グロッソ・ド・スール州の11の村で医療を提供し、彼らの健康を支えている。
https://www.msf.or.jp/news/detail/headline/bra20201005mn.html

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アイヌ民族の農耕学ぶ 白老で小学生ら収穫体験  

2020-10-06 | アイヌ民族関連
苫小牧民報 2020/10/5配信
 一般社団法人白老モシリは9月30日、白老町森野地区で「山のイオル・穀物採取体験」を開いた。町内の小学生や大人30人余りが参加し、アイヌ民族の農耕について学んだ。  アイヌ文化の保存・伝承活動の行事で、体験行事には萩野小の児童や教員、…
この続き:251文字
ここから先の閲覧は有料です。
https://www.tomamin.co.jp/article/news/area2/30602/

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二風谷で謎解き宝探し【平取】

2020-10-06 | アイヌ民族関連
日高報知新聞 2020.10.05
参加を呼び掛ける山口事務局長
【平取】アイヌ民族の少女らが主人公の人気漫画「ゴールデンカムイ」を題材にした謎解き宝探し「二風谷に眠る秘宝」が、3日から二風谷コタン周辺で始まった。町観光協会主催。
 町アイヌ工芸館ウレシパで解答用紙を受け取り、二風谷工芸館、萱野茂二風谷アイヌ資料館など5施設を巡り、展示物から得られるヒントを手がかりに、平取町やアイヌ文化に関わる謎を解いていく。
 参加者全員に記念缶バッジが配布され、全問正解者に記念品が贈られる。仕掛け人の山口雄大観光協会事務局長は「子どもから大人まで楽しめるゲーム。親子揃って参加していただけたらうれしい」と話している。
 申し込み期限は11月1日の午後4時半まで。参加料は無料だが、萱野茂アイヌ資料館のみ入館料(大人400円、小中学生150円)が必要。
 問い合わせは平取町観光協会(☎01457・3・7703)へ。
http://www.hokkaido-nl.jp/article/19113

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