先住民族関連ニュース

先住民族関連のニュース

苦難の歴史説明改善へ アイヌ民族文化財団 常本照樹 理事長

2020-10-11 | アイヌ民族関連
北海道新聞 10/11 05:00
 ――3カ月の手応えは。
 「来場者アンケートを見ると、開業当初は新しい施設だから来たという理由が目立ちましたが、8月以降はアイヌの歴史や文化に関心があるという人が最も多く、3分の1を占めます」
 ――全編アイヌ語で上演する舞踊劇「イノミ」は好評ですね。
 「イノミは若手職員が昔の資料を見たり、古老の話を聞いたりして、伝統儀式のイオマンテ(クマの霊送り)を再現したものです。感動したという声の一方、何を話しているのか分からないという感想も聞きます。日本にも自分が分からない言語で語られる文化がある、そういう言語を話す人がいると気が付くきっかけになってほしいです」
 ――イノミは感染対策ガイドラインの改定で3日から上演中止となりました。
 「残念です。出演者間の感染リスクの低減を求められたためですが、どういった形なら上演できるか方法を考えています」
 ――国立アイヌ民族博物館の展示の評価は。
 「差別や苦難の歴史について説明が不十分だという意見はよく聞きます。気が付いていなかった点もあるので、指摘を前向きに捉え、改善していきます」
 ――財団理事長と国立博物館長は和人です。アイヌ民族が主体となった運営と言えるのでしょうか。
 「アイヌがトップに就いていないのにアイヌの施設と言えるのか、という指摘は当然です。ただ、財団の役員にも現場の職員にも中心的な役割を担っているアイヌの人はいます。財団アドバイザーに迎えるなどより多くのアイヌが関わる体制を構築していきます。一方、アイヌ民族の職員が差別的な攻撃にさらされる事例も起きています。いかに職員を守り、中傷に立ち向かっていくか、考える必要があります」

つねもと・てるき 1955年、旧空知管内栗沢町(現岩見沢市)出身。専門は憲法学。北大アイヌ・先住民研究センターの初代センター長を務め、今年6月から現職。北大名誉教授。
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/469502

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民族の権利回復が大切 二風谷アイヌ資料館 萱野志朗 館長

2020-10-11 | アイヌ民族関連
北海道新聞 10/11 05:00
「近代国家成立に際して被支配的な立場に置かれた先住民族の歴史も知ってほしい」と語る萱野志朗さん(伊丹恒撮影)
 ――ウポポイに行った感想を教えてください。
 「9月、平取町内のアイヌ語教室のメンバー約20人と行きました。アイヌ語が園内の第1言語で、どこでも見聞きすることができて良かったです。舞踊劇『イノミ』の出演者はみんなアイヌ語が上手で、平取出身の若手が頑張っている姿も見られました。職員がアイヌ語であだ名を付けていることも興味深かったです。こうした一つ一つの動きが言語復興につながると感じました」
 ――国立アイヌ民族博物館の展示の評価は。
 「解説文が『私たち』とアイヌ民族を主語とし、民族自身が発信する形なのは評価できます。一方、現在の『私たち』の伝え方には課題があると感じました。父は生前、チセ(伝統的家屋)の前で写真を撮られるのを何度も拒否しました。今でもチセで生活しているという誤解を与えたくなかったからです。平取の資料館にも『民族衣装を着ていないのか』と、昔ながらの生活をしているアイヌが今もいると勘違いして来る来館者がいます。今のアイヌに興味がないから、アイヌは今も教科書に載っているような明治時代の写真のままだという誤解が生じるのです。アイヌの歴史はもちろん知ってほしいですが、今のアイヌは普通にパソコンも使い、車も乗ります。そういうこともきちんと理解してほしいですね」
 ――今後の課題は。
 「文化や言語の復興だけでなく、民族の権利回復が進むかが大切です。昨年5月に施行されたアイヌ施策推進法は、アイヌを先住民族と位置付けましたが、その権利には触れていません。(訴訟などで)サケ漁の権利を回復させようという動きも出ており、先住権の議論が進んでほしいです」

かやの・しろう 1958年、平取町出身。亜細亜大卒。アイヌ民族初の国会議員となった故萱野茂さんの次男で、カナダの先住民族との交流を契機にアイヌ語の普及を志すようになった。2006年から現職。
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/469501

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ウポポイ開業3カ月、課題は

2020-10-11 | アイヌ民族関連
北海道新聞 10/11 05:00
 胆振管内白老町のアイヌ文化復興拠点「民族共生象徴空間(ウポポイ)」が開業から3カ月を迎える。ウポポイを運営するアイヌ民族文化財団(札幌)の常本照樹理事長(65)と、日高管内平取町の萱野茂二風谷アイヌ資料館の萱野志朗館長(62)にウポポイ開業3カ月の受け止めと今後の課題を聞いた。(聞き手・田鍋里奈)

 ウポポイ開業3カ月の成果と今後の課題をまとめた企画を近く連載します。
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/469500

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基地問題、問われる手腕 官房長官、初の沖縄訪問

2020-10-11 | ウチナー・沖縄
北海道新聞 10/11 05:00
 加藤勝信官房長官は10日、就任後初めて沖縄県を訪れ、在日米軍普天間飛行場(同県宜野湾市)などを視察した。同飛行場の名護市辺野古移設を巡る対立が続く中、加藤氏は玉城デニー知事との会談で、従来の政府方針通り移設計画を進める考えを強調。沖縄に寄り添う姿勢もアピールしたが、基地問題と沖縄振興予算を絡めた「アメとムチ」で移設受け入れを迫る菅政権への県側の反発は根強く、「調整型」とされる加藤氏の手腕が問われる。
 10日、沖縄県庁で行われた加藤氏と玉城氏の会談。就任祝いの花束が贈呈され、和やかなムードで始まったが、「県民の理解が得られない」と移設断念を求める玉城氏に、加藤氏は「唯一の解決策は辺野古移設と考えている」と強調した。
 加藤氏の前任の菅義偉首相は、安倍政権下で約6年沖縄基地負担軽減担当相を務めたが、辺野古への移設反対を唱える玉城氏や故・翁長雄志前知事と対立。政府は辺野古への土砂投入を強行し、対立を深めた。
 基地負担と沖縄振興について菅氏は、9月の自民党総裁選の出馬会見で「結果的にリンク(関連)している」と改めて明言。2014年度に3520億円あった沖縄振興予算は、20年度は3010億円まで減少した。菅氏は21年度も3千億円台を確保する考えを示したが、県には「将来的に3千億円を切る」との不安もある。
 加藤氏は豪腕型の菅氏と異なり、調整型とされる。所属する自民党竹下派の先輩議員は沖縄に足しげく通い、基地問題に尽力した歴史もある。加藤氏は9日の記者会見で、普天間飛行場の全面返還を表明した橋本龍太郎元首相と00年の沖縄サミット開催を決めた小渕恵三元首相の名を挙げ「流れを引き継ぎながら務めを果たしたい」と強調した。
 加藤氏はこの日、辺野古基地の建設予定地などを上空から視察したほか、普天間飛行場を抱える松川正則宜野湾市長らとも会談。日程終了後、記者団に「聞かせていただいたことをしっかり受け止め、できることはすべて行う」と述べた。
 ただ、市民団体ヘリ基地反対協議会(名護市)の仲本興真事務局長は「菅政権は安倍政権を継承し、辺野古の埋め立て作業を継続しており、加藤氏には期待できない」と指摘。沖縄国際大の佐藤学教授(政治学)は「辺野古の埋め立ては技術的な問題が指摘されており、唯一の解決策であるはずがない。10年以上かけて工事をやる必要があるのかを検証すべきだ」と話している。(石井努)
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/469492

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開業3カ月 ウポポイ、コロナで試練 来場11万人超、目玉演目変更

2020-10-11 | アイヌ民族関連
北海道新聞 10/11 05:00
 国が胆振管内白老町に整備したアイヌ文化復興拠点「民族共生象徴空間(ウポポイ)」が12日で開業3カ月を迎える。新型コロナウイルスの感染対策で当初から入場を制限してきたが、来場者は11万人を超えた。日本博物館協会の感染対策ガイドラインの改定を受け、3日から中核施設の国立アイヌ民族博物館は入場制限を緩和した。一方、改定で追加された対策もあり、体験交流ホールの演目変更を余儀なくされるなど影響は続いている。
 ウポポイは7月12日の開業当初から感染対策のため、入場は事前予約制で、1日の入場者数は平日2千人、土日祝日2500人程度に制限している。感染拡大前に設けられた年間目標100万人に対し、8日現在の実績は11万4500人だが、7月は沖縄を除く46都道府県、8月には全47都道府県から旅行客が訪れ、8月下旬以降は道内を中心に修学旅行も本格化しているという。
 現在も全体の入場制限は維持しているが、ガイドライン改定を受け、3日から国立アイヌ民族博物館は1時間当たりの入場者を110人から200人、体験交流ホールも同132人から272人に増やした。ウポポイに来たのに博物館を見学できなかったといった来場者の不満は減りそうだ。
 ただ、改定版ガイドラインには新たに「出演者間の感染リスクの低減」が盛り込まれた。これにより、アイヌ民族の伝統儀礼「イヨマンテ」(クマの霊送り)を題材にした同ホールの目玉演目、舞踊劇「イノミ」は儀式を再現する演出上、出演者同士の距離の確保が困難なため3日から中止を余儀なくされた。今は演目を日本語で解説しながら古式舞踊を披露する「シノッ」に変更している。
 ウポポイを運営するアイヌ民族文化財団(札幌)の常本照樹理事長は「入場を制限する中でも大勢が来てくれている。引き続き感染対策に努め、来場者がアイヌ民族への理解を深められるよう尽力したい」と話している。(田鍋里奈)
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/469491

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アイヌのサケ漁業「先住民族の権利」 初弁論に文献提出

2020-10-11 | アイヌ民族関連
朝日新聞 10/10(土) 12:55

 アイヌ民族が地元の川でサケを捕獲するのは先住民族の権利だとして、北海道浦幌町のアイヌ団体が国と道を相手取り漁業権を認めるよう求めた訴訟の第1回口頭弁論が9日、札幌地裁(高木勝己裁判長)であり、国と道側は請求の棄却を求めた。
 提訴したのは「ラポロアイヌネイション」(旧浦幌アイヌ協会、長根弘喜会長)。原告代理人の市川守弘弁護士によると、この日の弁論で、明治時代以前にアイヌ民族がサケ漁をしていたことを示す文献などを証拠として提出した。予定していた意見陳述は、原告の多くが漁業を営み、台風14号の接近の影響で定置網の移動などの作業で来られなかったため、次回に行う。
 訴状によると、原告のほとんどは江戸時代に浦幌十勝川周辺で生活していたアイヌ民族の子孫で、明治初頭に国がサケ漁を禁じるまで交易品としてサケの刺し網漁をしていた。禁漁に合法的な根拠はなく、同川河口部から4キロの範囲で刺し網漁をする権利があると主張している。
 道内の河川では現在、アイヌの文化的伝承・保存目的に限り、道知事の許可を受ければ例外的にサケ漁が認められているが、原告側は経済活動として漁業を営む権利を求めている。(榧場勇太)
https://news.yahoo.co.jp/articles/42c1b6658414f980460ccc838b697faeafe16685

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カナダの先住民患者、看護師らから侮辱 FBに動画投稿 直後に死亡

2020-10-11 | 先住民族関連
New Sphere Oct 10 2020

ジョイス・エチャクワンさんの夫、キャロル・デュべさん|Paul Chiasson / The Canadian Press via AP
「移民の国」と呼ばれるカナダでは、毎年約30万人以上の移民を受け入れている。多文化主義を国の方針に掲げ、政策上でもダイバーシティを推し進めてきた。しかしそれは、先住民族の土地を略奪した歴史の上に成り立っているものでもある。先住民族への差別はいまだ根強く残っており、彼らをターゲットにした事件や殺人も発生している。
 9月末、先住民族であるアティカメク族のジョイス・エチャクワンさんがケベック州の病院で亡くなった。死の直前、彼女はフェイスブックにある動画を投稿している。そこに映っていたのは、病院のベッドの上で苦しむエチャクワンさんが、看護師らから侮蔑の言葉を浴びる衝撃的な光景だった。
◆死の直前に動画撮影 「お前は本当にバカだ」
 エチャクワンさんは37歳、7人の子供の母親だった。カナダ公共放送局のCBC(9月29日)によると、エチャクワンさんは動画の2日前に腹痛を訴えてケベック州のジョリエット病院に運ばれた。エチャクワンさんの親族はラジオ・カナダに対して、エチャクワンさんは心臓疾患を抱えており、病院でモルヒネの大量投与をされたことを不安に感じていたと話している。
 動画は、痛みに苦しみ助けを求めて叫ぶエチャクワンさんの姿と、彼女に対して「お前は本当にバカだな」などと言う看護師らの声を捉えている。少なくとも2人の人が「お前は間違った道を選んだんだよ」「お前のこんな姿を見たら、子供たちはどう思うだろうね?」「彼女が得意なのはセックスだけ」などと彼女を侮辱し続ける様子が映っている。エチャクワンさんは動画を投稿した直後に亡くなった。
◆先住民団体、「明確な人種差別である」と発表
 この人種差別的な行為はカナダ中で強い批判を呼び、多くの先住民団体を筆頭に全国各地で抗議活動が開始された。エチャクワンさんが住むマナワン村のアティカメク族評議会は、「先住民族に対する明確な人種差別である」との声明を発表した。また先住民団体ファーストネーションズ・ケベック・ラブラドール会議の長であるジスラン・ピカード氏も、エチャクワンさんの事件と同様の差別が国内で日常的に起こっていることを指摘した。
 カナダのトルドー首相は、この事件は「構造的差別の一例であり、カナダにおいて到底受け入れることはできない」と語り、早急に調査を進めると発表した。ケベック州のルゴー首相も、看護師らの発言について「許容できるものではない」と非難。事件から1週間後には、州の公共サービスに問題があったとしてエチャクワンさんの家族に謝罪した。しかし、構造的人種差別があったかどうかについては否定する姿勢をとった。
◆先住民族の女性が犯罪にあう確率は12倍
 この事件はカナダ国内外で衝撃をもって報道された。CBCは、事件の1年前に発表された、先住民族への虐待に関する調査報告書について言及した。報告書では、ケベック州内の先住民族が病院を含む公共サービス利用時に構造的差別の被害を受けていることは「否定できない」と結論づけられており、あらゆる公共サービスでの改善が求められていたにもかかわらず今回の事件が起きてしまったことを伝えた。
 アメリカの週刊誌ピープル(電子版)はエチャクワンさんの事件を取り上げ、多くの人が「もしエチャクワンさんが動画撮影をしていなかったら、事件に関与した看護師らが処罰を受けることはなかっただろう」と指摘していることを報じた。
 BBCは事件の概要とともにカナダ国内の先住民族差別の背景を伝え、とくに先住民族の女性が犯罪に巻き込まれる割合の驚くべき高さを報じた。2019年に発表された調査結果によると、カナダ国内において先住民族の女性が殺害される、または行方不明になる割合は、先住民族ではない女性と比べて12倍も高い。その原因は、根深い植民地主義思想と国家の怠慢にあると述べられている。
https://newsphere.jp/national/20201010-3/

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俳優・映画監督、斎藤工 キャリア20年、マルチな活動 アンバサダー務める「なら国際映画祭」で新作披露、移動映画館で海外飛び回る

2020-10-11 | アイヌ民族関連
夕刊フジ 10/10(土) 16:56
 映画の大作やドラマへの出演依頼が殺到する今、最も旬な俳優。一方で監督やプロデューサー、写真家としての顔も持つ。俳優としてのキャリア20年を糧にマルチな才能を全開させている。
 「ただ、映画が好きで、“映画の周辺”をぐるぐると回ってきただけですよ」と照れ笑いを浮かべ、謙虚に語る。
 幼い頃から無類の映画好き。俳優界の中でも、映画についての博覧強記ぶりは随一と言ってもいいだろう。
 新型コロナウイルスによる自粛で開催が危ぶまれる中、アンバサダー(使節)を務める「なら国際映画祭」が9月に開催。映画祭を立ち上げ、2年前、初代アンバサダーに指名してくれた河瀬直美監督を応援するため、また、今回は映画監督として新作を引っ下げ、奈良へ駆け付けた。
 「大勢の人の前に立つのは7カ月ぶり。大きなスクリーンで新作を見てもらえて本当にうれしい」。その情熱は涙となってにじみ出た。
 東京都生まれ。映画製作・配給会社に勤める父の影響で、フィルムの世界に触れながら育ち、もの心ついた頃には映画界への道を志していた。
 「製作者になりたい」と思っていたが、俳優の道へ。2001年のデビュー以来、ジャンルを問わず幅広い役柄に挑み続けた。今年話題をさらったドラマ「BG~身辺警護人~」では、ボディーガード役で木村拓哉とバディを組み、来年公開予定の大作「シン・ウルトラマン」では、令和に蘇るウルトラマン役に抜擢。俳優として第一線を駆け抜けてきた。
 片や12年から映画監督としてコンスタントに作品を発表。「集大成と呼べる過去最高の作品ができた。そんな自信があります」と語るのは、今回の「なら国際-」で披露した新作「フードロア Life in a Box」だ。
 地方電鉄の車内で展開するヒューマンドラマ。実力派俳優の安田顕、元プロレスラー、ザ・グレート・カブキらを起用した意欲作。アジアの気鋭監督8人が「食」をテーマに競うワールドワイドな企画の1本で、日本代表に選ばれた。
 「世界戦に挑むつもりで撮りました。各国の人々の反応が楽しみです」
 日本など世界約100カ国でネット配信されるが、「大スクリーンで見てほしい。劇場公開を目指します」と意気込む。
 ◆途上国へ移動映画館
 俳優、監督のほか、14年から力を入れているのが、「cinema bird(シネマ・バード)」と名付けた移動映画館のプロジェクトだ。映画館で作品を見たことのない地方で暮らす子供たちに、自らの手で機材を運び込み、上映している。
 「初めて大きなスクリーンで作品を見た後の子供たちの目の輝きを見たら、もうやめられないですよ」と目を輝かせて語る。
 近年、マダガスカルやパラグアイなど海外へも出向き、その活動を広げている。
 「実は映画は一部の先進国でしか見られていないのが実情。発展途上国と呼ばれる国の子供たちに魅力を伝えたい」
 オファーが途切れない売れっ子俳優としての仕事。勢いに乗る監督業。マルチな活動はどこへ向かうのか。
 「自分のために出せるエネルギーはたかが知れていますが、他の人のためなら、その何倍ものエネルギーが出せる。今後はそこに自分の力を注いでいければ…」
 コロナの影響で出演作数本が公開待機中。“映画の周辺にいる”と謙遜するが、現在、間違いなく“その中心”にいる。
 「映画は人の心を勇気づける薬。先が見えない時代だからこそ、その可能性に賭けてみたい」
 (ペン・波多野康雅 カメラ・鈴木厚志)
 ■斎藤工(さいとう・たくみ) 俳優、映画監督。1981年8月22日生まれ。39歳。東京都出身。2001年、俳優デビュー。ドラマ、映画化された「海猿」や「昼顔」など出演作多数。17日公開の映画「アイヌモシリ」では写真家として現場スチール写真を撮影。監督作「フードロア Life in a Box」はアマゾンプライムビデオ(スターチャンネルEX)で配信中。
https://news.yahoo.co.jp/articles/98637031dc448dc40a3a0b53bf33140d9d6719ae

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(ひもとく)「アイヌを知る」とは 文化担う人々への抑圧も見よ 北原モコットゥナシ

2020-10-11 | アイヌ民族関連
朝日新聞 2020年10月10日 5時00分

 アイヌ施策推進法はアイヌの誇りの尊重を掲げる。その誇りは、どのように損なわれ、どう回復できるのか。抑圧が常態化した状況では、加害者も被害者も俯瞰(ふかん)的な視点を持ち難い。
 阿寒湖畔アイヌコタン出身の瀧口夕美は、そうした経験を『民族衣装を着なかったアイヌ』に率直に書いている。「アイヌとは?」「あなたはアイヌ?」という気軽な問いは厄介だ。そうだと言えば「では純粋か?」と言葉が続く。反対に「純粋な和人とは」と問われたら答えられるのだろうか。こうした問いを一方的に向けること自体、対等な関係ではない。
 「アイヌらしさ」とは、例えば容姿と生活習慣、血縁などか。だが、容姿も生活習慣も世代を経れば変化することがある。血縁やアイデンティティーは有(あ)っても見えない。すると「いる」と気づかれず、言っても本気にされないこともある。アイヌの認知度が低い土地で育ち、言語も知らなければ、周囲との違いを説明するのは難しい。言えば拒絶や好奇心の対象となる。
 この点は、在日コリアンや、セクシュアルマイノリティーの経験と共通する。ゲイ視点で描いた飯塚モスオの4コマ漫画『モスコミ』(キンドル版・各巻600円)は、こうしたマジョリティーには体感しづらい経験を見事に描く。石純姫の『朝鮮人とアイヌ民族の歴史的つながり』では、両者がともに植民地主義下で国家への包摂と異民族としての排除というダブルバインドを経験してきたことがわかる。
 ■「共生」説明なく
 本年7月に民族共生象徴空間(ウポポイ)が開業した。「共生」とは何か。施設内にもウェブサイトにも説明はない。施設概要には「日本の貴重な文化でありながら存立の危機にあるアイヌ文化」の復興の拠点であり「魅力」に触れられるとある。自文化の維持は、国民としてアイヌに保障される権利である。そこに「魅力」や「貴重」性は関係ないはずだが。
 同施設はアイヌ視点で語ると謳(うた)う。施設の現場で働くアイヌの声は広報に反映されているだろうか。設置の根拠となった「アイヌ政策のあり方に関する有識者懇談会報告書」(2009年)は「存立の危機」の理由を、近代日本の政策がアイヌ文化に「深刻な打撃を与えた」こととし、国には復興に配慮する「強い責任がある」と明言した。これらの文言をすべて落としては、あたかも自然のなりゆきや、アイヌの自発的な変化のようではないか。このような主客をあいまいにする語法を、佐々木昌雄が痛烈に批判したのは50年も前だ(『幻視する〈アイヌ〉』草風館・2750円)。
 ■返還されぬ遺骨
 ウポポイでは、全国の大学の和人研究者が収集し、数十年以上置かれていたアイヌの遺骨も保管する。『痛みのペンリウク』で土橋芳美は、縁者の遺骨が北海道大学にあると知ったときの心境を「自分が裸にされ、十字架に架けられ、札幌の大通街にでもさらされているかのような恥ずかしさ、悔しさに涙した」と記す。突き刺さるような描写は、大学等の関係者の目に触れているだろうか。返還はアイヌの「受入体制」の問題なのか。
 日本篤志献体協会によれば、献体後の遺骨は3年ほどで返還され、大学の公式行事として毎年慰霊祭が行われるという。一方、アイヌ遺骨は遺族が懸命に捜しても情報さえ満足に得られない。両者の差をそのままに、尊重を語ることは不可能だろう。
 文化を知ることは、相手に歩み寄るための一つの手段だ。その文化や担い手を抑圧する構造を見なければ、単なる消費や収奪ともなる。「黒人文化だけでなく黒人も愛してほしい」というBLM運動から発せられた言葉は、アイヌの状況にもそのまま重なっている。
 ◇きたはら・もこっとぅなし 北海道大学アイヌ・先住民研究センター准教授 76年生まれ。著書に『アイヌの祭具 イナウの研究』。
https://digital.asahi.com/articles/DA3S14653239.html?pn=2

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アイヌの書籍1万5000冊 ウポポイ博物館ライブラリ来場者に開放

2020-10-11 | アイヌ民族関連
苫小牧民報 2020/10/10配信
 白老町の民族共生象徴空間(ウポポイ)の中核施設・国立アイヌ民族博物館(佐々木史郎館長)は、アイヌ民族関連書籍が閲覧できるライブラリを来場者に開放している。新型コロナウイルス対策で7月12日の開業以降、閉室にしていたが、9月に解除した。担当…
この続き:728文字
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https://www.tomamin.co.jp/article/news/area2/31098/

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アイヌの生活と植物の関わりテーマに 17日 ウポポイで観察会と講演会

2020-10-11 | アイヌ民族関連
苫小牧民報 2020/10/10配信
 国立公園を管理する公園財団(本部東京)は17日、白老町のウポポイで、アイヌの生活と植物の関わりをテーマにした「公園文化の集い」を開く。  集いではウポポイ園内で樹木の観察を行うほか、国立アイヌ民族博物館の田村将人展示企画室長が「アイ…
この続き:207文字
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https://www.tomamin.co.jp/article/news/area2/31097/

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