北海道新聞 10/11 05:00
――3カ月の手応えは。
「来場者アンケートを見ると、開業当初は新しい施設だから来たという理由が目立ちましたが、8月以降はアイヌの歴史や文化に関心があるという人が最も多く、3分の1を占めます」
――全編アイヌ語で上演する舞踊劇「イノミ」は好評ですね。
「イノミは若手職員が昔の資料を見たり、古老の話を聞いたりして、伝統儀式のイオマンテ(クマの霊送り)を再現したものです。感動したという声の一方、何を話しているのか分からないという感想も聞きます。日本にも自分が分からない言語で語られる文化がある、そういう言語を話す人がいると気が付くきっかけになってほしいです」
――イノミは感染対策ガイドラインの改定で3日から上演中止となりました。
「残念です。出演者間の感染リスクの低減を求められたためですが、どういった形なら上演できるか方法を考えています」
――国立アイヌ民族博物館の展示の評価は。
「差別や苦難の歴史について説明が不十分だという意見はよく聞きます。気が付いていなかった点もあるので、指摘を前向きに捉え、改善していきます」
――財団理事長と国立博物館長は和人です。アイヌ民族が主体となった運営と言えるのでしょうか。
「アイヌがトップに就いていないのにアイヌの施設と言えるのか、という指摘は当然です。ただ、財団の役員にも現場の職員にも中心的な役割を担っているアイヌの人はいます。財団アドバイザーに迎えるなどより多くのアイヌが関わる体制を構築していきます。一方、アイヌ民族の職員が差別的な攻撃にさらされる事例も起きています。いかに職員を守り、中傷に立ち向かっていくか、考える必要があります」
◇
つねもと・てるき 1955年、旧空知管内栗沢町(現岩見沢市)出身。専門は憲法学。北大アイヌ・先住民研究センターの初代センター長を務め、今年6月から現職。北大名誉教授。
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/469502
――3カ月の手応えは。
「来場者アンケートを見ると、開業当初は新しい施設だから来たという理由が目立ちましたが、8月以降はアイヌの歴史や文化に関心があるという人が最も多く、3分の1を占めます」
――全編アイヌ語で上演する舞踊劇「イノミ」は好評ですね。
「イノミは若手職員が昔の資料を見たり、古老の話を聞いたりして、伝統儀式のイオマンテ(クマの霊送り)を再現したものです。感動したという声の一方、何を話しているのか分からないという感想も聞きます。日本にも自分が分からない言語で語られる文化がある、そういう言語を話す人がいると気が付くきっかけになってほしいです」
――イノミは感染対策ガイドラインの改定で3日から上演中止となりました。
「残念です。出演者間の感染リスクの低減を求められたためですが、どういった形なら上演できるか方法を考えています」
――国立アイヌ民族博物館の展示の評価は。
「差別や苦難の歴史について説明が不十分だという意見はよく聞きます。気が付いていなかった点もあるので、指摘を前向きに捉え、改善していきます」
――財団理事長と国立博物館長は和人です。アイヌ民族が主体となった運営と言えるのでしょうか。
「アイヌがトップに就いていないのにアイヌの施設と言えるのか、という指摘は当然です。ただ、財団の役員にも現場の職員にも中心的な役割を担っているアイヌの人はいます。財団アドバイザーに迎えるなどより多くのアイヌが関わる体制を構築していきます。一方、アイヌ民族の職員が差別的な攻撃にさらされる事例も起きています。いかに職員を守り、中傷に立ち向かっていくか、考える必要があります」
◇
つねもと・てるき 1955年、旧空知管内栗沢町(現岩見沢市)出身。専門は憲法学。北大アイヌ・先住民研究センターの初代センター長を務め、今年6月から現職。北大名誉教授。
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/469502