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核ごみ文献調査応募表明 異論顧みぬ前進は危うい

2020-10-09 | アイヌ民族関連
北海道新聞 10/09 05:00
 高レベル放射性廃棄物(核のごみ)の最終処分場選定を巡り、後志管内寿都町の片岡春雄町長と神恵内村の高橋昌幸村長がきのう、それぞれ第1段階となる文献調査に応じる方針を表明した。
 両町村では文献調査に向け、地域の合意は十分得られていない。処分場設置につながる文献調査の実施や核ごみの危険性に関し、住民の不安や疑問は残ったままだ。
 両首長は議会の賛成などを根拠にしている。だが、反対する住民の声を丁寧に聞く姿勢に欠けており、このままでは地域の分断が一層深まるだろう。
 応募の検討が表面化してから、寿都町では約2カ月、神恵内村では約1カ月で、首長が表明するに至った。反対の声を顧みない性急な応募方針の表明は、禍根を残す。撤回するのが筋だ。
■議論の広がり見えぬ
 片岡町長は記者会見で「私の判断として文献調査の応募を決意した」と述べた。
 高橋村長は、村議会が調査受け入れを求める地元商工会の請願を採択したことを受けて、「議会の結果を尊重する」と述べ、文献調査に応じる考えを明らかにした。
 両町村は住民説明会を開いてきたが、応募ありきの姿勢も見られ賛否の議論がかみ合わなかった。
 町長は「一石を投じ、議論の輪を国内に広げたい。文献調査への応募は全国で最低でも10(自治体)はあがってほしい」と述べた。
 しかし、町長の狙い通り、各地で文献調査応募に向けた論議が起きるかは分からない。
 実際、高知県東洋町が2007年に文献調査に応募後、住民の反対で撤回した。それ以降、応募する自治体は出てこなかった。
 東京電力福島第1原発の事故以降、原子力施設について、国民の不信感は根強い。
 北海道で文献調査に応じる2町村が現れたことで、両自治体を対象に処分地選定が進めば、道外で最終処分場設置への関心が薄れることも考えられる。
 町長は以前から水面下で応募を検討してきたと示唆している。どのような経緯があったか、説明する責任があるだろう。
■処分場設置の一里塚
 実務主体の原子力発電環境整備機構(NUMO)は、文献調査について、最終処分場の選定のために行うと資料に明記している。
 文献調査は処分場設置への一里塚との考えだ。町長のいう「(調査と設置を)分けて考える」ことは困難になると予想される。
 NUMOによると、文献調査は第2段階のボーリングを行う概要調査と事実上一体で、「明らかに適切でない場所を除外し概要調査地区を検討する」と説明する。
 また文献調査と並行して地域住民らとの「対話」も行う。これは推進派による「説得」であろう。
 核のごみは安全な状態になるには約10万年かかる。その間、地震多発国である日本に安定した地層があるのか明確でない。設置後に危険を察知しても手遅れとなる。
 梶山弘志経済産業相は、概要調査に進む際、地元首長と知事の反対があれば先の調査には進まないと述べている。法律でも知事意見を尊重すべきだと定めている。
 だが地域の意向が優先される確実な保証があるわけではない。
 宗谷管内幌延町では、核のごみの地層処分技術の研究が期間を延長して続いている。処分場設置までずるずると形を変えて続く可能性も考えられる。
 両首長は、調査がいったん始まれば後戻りすることは難しいと分かっているようには見えない。
 文献調査に応じると20億円、概要調査は70億円が国から地元自治体に交付される。
 交付金に依存した財政運営を始めると、処分場に関する調査から抜け出せなくなるのは目に見えている。原発設置でも使われた、地域をからめ捕る巧妙な手法だ。
 鈴木直道知事が言う通り「札束で頬をたたく」やり方だ。知事は菅義偉首相らと接触を重ねている。地方の弱みにつけ込む国のやり方を改めるよう促すべきだ。
■原子力政策見直しを
 すでにある核のごみをどうするかという議論は常にある。国民皆で考えるべきだとの意見もある。それにはまず、国が最終処分の安全性を確立する必要がある。処分地や調査地の選定はそれからだ。
 その段階がないから、地域住民が不安を抱く。周辺自治体や1次産業団体から風評被害の懸念が出るのももっともだ。
 アイヌ民族の団体からも、処分場選定手続きを進める場合、先住民族アイヌの同意を求めるべきだと声明が出ている。
 そもそも原発を稼働し続ける限り、核のごみは発生する。この問題の解決には国のエネルギー政策を根本から見直し、脱原発への取り組みを加速させる必要がある。
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/468802

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釧路市長選 立候補予定者公開討論会詳報(下)

2020-10-09 | アイヌ民族関連
北海道新聞 10/09 05:00
北海道新聞釧路支社が6日に同支社で開いた釧路市長選(11日告示、18日投開票)の立候補予定者による公開討論会。いずれも無所属で、4選を目指す現職蝦名大也氏(61)と、新人の元釧路市議鶴間秀典氏(46)、共産党推薦で新人の元釧路市議松永俊雄氏(71)=立候補表明順=が、1次産業の振興や福祉の充実などについても、自身の政策や思いを訴えた。8日に続き、その詳細を紹介する。
<1次産業振興>
■就農者増へ家賃補助 鶴間氏
■釧路ブランドを発信 松永氏
■安心安全にこだわる 蝦名氏
 ――基幹産業である1次産業をどう振興しますか。
 鶴間氏 水産業は釧路の誇り。中学時代、社会科の教科書に「水揚げ高日本一の釧路」と載っていて誇らしかったです。この誇りを取り戻すため、関係者の皆さんとしっかり話をし、未来の解決策を練っていきます。国や政治家に何度でも頭を下げて、水産を回復させていきたい。農業は、外国人就労者が減って働き手がいない、担い手もいないことが問題になっています。家賃補助などで就農者を増やしていきたいです。
 松永氏 1次産業を守り育てるため、喫緊の課題である担い手確保に力を入れます。新規就業にも市独自の支援策をつくりたい。市水産加工振興センターを建て直し、水産加工品だけではなく、農産物の新たな食品もつくり、本格的に釧路ブランドを道外、海外に売り込みます。市長になったら、出張に行く際、どんな機会でもトップセールスに励みたい。全道一の食品製造のまちづくりを市民と一丸となって取り組みます。
 蝦名氏 今のいろいろな技術を使い、ピークよりも減った釧路の水揚げでどうまちを盛り上げていくかが大切です。業界と連携して、食品加工に取り組んでいきたい。日本は人口減だが、世界は人口増。農業も今後も必ず必要とされる産業です。世界の誰もが安心安全な農産物を確保したいと考えています。安心安全にこだわれば、勝負になります。釧路のベースである足腰が強い1次産業をどう生かしていくかが重要です。
<福祉政策>
■他市に劣らぬ施策を 蝦名氏
■バリアフリー化助成 鶴間氏
■高齢者の暮らし守る 松永氏
 ――高齢化や子育て支援が問題となる中、どのような福祉政策を進めますか。
 蝦名氏 地方自治法は、福祉の向上が(自治体の)義務としていますが、福祉が何か明確に定義されていません。私は「命」と「暮らし」、「生きがい」の三つの向上が福祉だと考えます。本来どの地域でも同じ保障がされるべきで国の対応が重要です。だが自治体でやらないのではありません。他自治体と比較して(政策が)劣っていてはだめです。劣っていると言われないように(他自治体に)合わせることが大切です。
 鶴間氏 まちの中でお年寄りや障害のある方が笑顔で生き生きとして暮らしていることが、まちの活気につながると信じています。地域食堂やフードバンクなどの支援をするほか、各店舗がバリアフリー化に取り組む際の助成制度を設けたい。ブラインドサッカーや車いすバスケットボールなどパラスポーツに必要な器材の整備をしながら、健常者と障害のある方が一緒に楽しめるような機会をつくっていきたいと思います。
 松永氏 子育て支援はもちろん、高齢者が本当に安心して暮らし続けられるまちづくりが求められています。介護保険料も高齢者施設の利用料も値上がりしており、負担の軽減を図ります。国民健康保険料の値下げも思い切って進めます。高齢者の買い物の足の確保のほか、公営住宅に空きが少なく、入居できない問題もあります。公営住宅整備に取り組み、津波の避難場所としても活用できるよう高層化も進めます。
<釧路駅高架化>
■財政負担大きく反対 鶴間氏
■民間投資見通しなく 松永氏
■基盤つくること大切 蝦名氏
 ――JR釧路駅の高架化とそれに伴う中心部再開発についてどう考えますか。
 鶴間氏 高架化に反対する理由は2点。1点目は財政負担が大きい。2点目は、花咲線と釧網線が将来、廃線の恐れがあるからです。もっと未来型のわくわくするようなアイデアを出し合って釧路駅をつくるべきです。大手の自動車会社に声をかけ、長距離の自動運転バスの試験場にするのはどうでしょうか。民間資金も入れ、釧路駅前や北大通、末広に市場をつくり、にぎわいも創出したいです。
 松永氏 高架化はいったん白紙にすべきです。理由は3点。1点目は財政的な問題。2点目は、民間投資を呼び込める見通しが立っていない。3点目に、本当に高架化を実現できるかという課題もあります。駅周辺の整備は、現状のままでいいとは誰も思っていません。空きビルを生かした新しい活性化策を研究するほか、空き地を市が借り上げて憩いの場をつくるなどの取り組みをしたいです。
 蝦名氏 市の財政は公共事業を削減しても別の事業に充てられません。共通認識をまず持った上で、将来どのようなまちにしていくかが重要です。さまざまな基盤作りが大切だと考えます。基盤があれば、そこに民間の知恵が生まれ、住民や次世代の人がいろいろなことを考えてまちづくりを進められます。これが(基盤となる)駅高架化を含めた中心部のまちづくりに対する私の考え方です。
<観光>
■阿寒偏重投資改める 松永氏
■体験型や異文化に力 蝦名氏
■自然生かして差別化 鶴間氏
 ――新型コロナウイルスの影響が続く中、観光振興にどう取り組みますか。
 松永氏 外国人観光客に期待するだけではうまくいきません。阿寒に偏った投資も行われており、旧釧路市も含め、バランスの良い投資が必要です。アイヌ民族文化と釧路の歴史を生かした新しい観光に取り組みます。旧市立図書館があった幣舞町の高台はアイヌ民族と縁が深く、アイヌ文化の発信拠点にします。釧路は、釧路・根室管内の兄貴分のような存在。市長がリーダーシップを発揮し、広域観光にも力を入れます。
 蝦名氏 釧路の豊かな自然、おいしい食は観光にとって大きな魅力があります。来年は日本で初めて(体験型観光の国際イベントの)「アドベンチャー・トラベル・ワールド・サミット(ATWS)」があり、釧路でもツアーが行われます。体験型観光は、コロナ禍でも世界で最も早く需要が回復するだろうと言われている観光分野。釧路の異文化を感じられるものを売り出し、まちの発展につなげていきたいと思います。
 鶴間氏 観光立国ショーケースや体験型観光などの市の取り組みは素晴らしく、この流れを継続します。ただ、カムイルミナなどのデジタルを使ったコンテンツは他地域もまねしており、お金がかかる上に、差別化が難しい。一方、釧路の自然はよそでまねできません。他の自治体や医師と連携し、釧路、阿寒、摩周を結ぶトレッキングに健康的な食事を加えるなど、付加価値を付けて差別化を進めたいです。
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/468707

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「現代生きるアイヌ民族描いた」 米とメキシコの映画祭で受賞「アイヌモシリ」 伊達出身 福永監督が会見

2020-10-09 | アイヌ民族関連
北海道新聞 10/08 23:27 更新
 釧路市の阿寒湖アイヌコタンで生きるアイヌ民族を描いた映画「アイヌモシリ」の福永壮志監督(38)=伊達市出身=が8日、東京都内の日本外国特派員協会で記者会見した。米国とメキシコの映画祭で受賞するなど公開前から注目が集まる同作について「アイヌ民族が演じるアイヌ民族の映画を作りたかった」と制作の狙いを語った。
 映画はアイヌ民族の血を引く14歳の少年の成長を描いた物語。2018年に阿寒湖アイヌコタンで撮影を始め、住民らが出演した。作品は今年、米ニューヨークのトライベッカ映画祭で審査員特別賞、メキシコのグアナフアト国際映画祭で最優秀作品賞を受賞した。
 会見で、伝統儀式「イオマンテ(熊の霊送り)」を映画で取り上げた理由を問われた福永監督は「アイヌの文化や精神世界の集大成。現代を生きるアイヌの皆さんのさまざまな考え方も描きたかった」と説明。出演、監修した阿寒アイヌ工芸協同組合専務理事の秋辺日出男さんが釧路からオンライン会議システムで参加し、「監督の情熱を感じ、この人だったら手伝おうと思った」と振り返った。
 映画は17日から東京・渋谷を皮切りに全国公開。道内は11月14日からシアターキノ(札幌)、同20日から旭川、釧路、室蘭などで上映される。(大沢祥子)
◆アイヌモシリのリは小さい字
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/468800

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アイヌ民族4団体も抗議 核ごみ調査応募

2020-10-09 | アイヌ民族関連
北海道新聞 10/08 05:00
 アイヌ民族や研究者らでつくる「アイヌ政策検討市民会議」など4団体は、後志管内寿都町と神恵内村で核のごみの最終処分場選定に向けた文献調査への応募の動きが進んでいることに抗議する声明を発表した。
 声明は5日付。道内で核のごみの最終処分場の選定手続きを進める場合は先住民族アイヌの同意を求めるべきだと指摘している。さらに寿都町と神恵内村の対応は「先住民族アイヌへの国際人権基準も考慮することなく、交付金だけを目当てにした拙速な意思決定だ」と批判した。(田鍋里奈)
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/468413

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