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【北海道 東川町】アイヌ文化を伝える映画「カムイのなげき(仮)」の製作を発表

2021-12-16 | アイヌ民族関連
産経新聞 2021.12.15 13:34
 北海道東川町は、1903年に生まれ19歳の若さで亡くなったアイヌ文化伝承者、知里幸恵(ちり・ゆきえ)さんをモデルにした映画、「カムイのなげき(仮)」の製作を決定しました。東川町が企画し、「写真甲子園0・5秒の夏」の菅原浩志氏が監督します。本映画は、アイヌ文化と共に、大雪山国立公園を有する東川町が「大雪山文化」を次世代に伝えることを目的にしています。来年からロケをスタートし、2023年秋の公開を目指しています。

 古くから、神(カムイ)か?宿る厳しくも美しい大自然と共存してきたアイヌ?族の人々。彼らは明治以降の北海道開拓に大いに貢献し、差別・迫害と戦い続けて来ました。アイヌの血を引く知里幸恵さんは失われつつあったアイヌの伝統文化(口承叙事詩“ユカ?”)を 日本語に訳した「アイヌ神謡集」を書き上け?、わす?か 19 歳て?夭逝しました。彼女の業績はアイヌ?族の人々に大きな自信と誇りを与えました。映画「カムイのなけ?き」は、彼女の生きた姿を元に、明治・大正期、土地や生活を奪われ衰亡の危機に瀕していたアイヌ?族の生活や伝統・文化を、雄大な北海道の自然の中に描き出す創作物語て?す。
 本作は、菅原浩志監督の前作、「写真甲子園 0.5 秒の夏」(2017 公開)に続き、北海道東川町か? さまさ?まな機関・団体と連携して“オール北海道”て?作り上け?ていく映画として、製作を進めます。撮影は来年2022年7月からスタートし、旭岳を中心とした東川町内だけではなく、北海道各地でも行う予定です。現在、製作費2億5千万円を集めることを目標に、東川町がふるさと納税、企業版ふるさと納税で寄付を募っています。
知里幸恵さんについて
 知里 幸恵(ちり・ゆきえ)は、1903年(明治36年)に生まれ、1922年(大正11年)に亡くなった、北海道登別市出身のアイヌ女性です。19年という短い生涯の中で、言語学者金田一京助の協力のもと『アイヌ神謡集』を完成させ、口語伝承のアイヌの言葉を日本語に翻訳し、文字に残しました。消滅の危機に追い込まれていた、アイヌ伝統文化の復権復活へ重大な転機をもたらしたことで知られています。
スタッフ
 監督・脚本:菅原 浩志(「ぼくらの七?間戦争」「写真甲子園0・5秒の夏」「早咲きの花」「ほたるの星」「北の残照」「ヌプリコロカムイノミ」)
 プロデューサー:作間 清子
 撮影:上野 彰吾
 美術:長 寿恵
 編集:時任 賢三
 助監督:桑原 昌英
 企画協?:写真?化?都「写真の町」北海道東川町
みなさまからのご支援、お願いいたします。
 「カムイのなげき(仮)」の映画製作にあたり、多くの個人及び企業様の協賛をお願いいたします。本事業へのご支援につきましては、個人版ふるさと納税、企業版ふるさと納税にてご支援をお願いいたします。詳しくは、各サイトよりご参照ください。
ご支援への特典
 映画『カムイのなげき』にご?援いただいた皆様には特典をご?意いたしております。
 ■1,000 万円以上
 特設サイト:ロゴ(?)、映画内エンドロール:ロゴ(?)、ポスター:社名(?)、フライヤー:社名(?)、無料上映会放映権:10 回、DVD:100 枚(映画完成から約1年後)
 ■500 万円以上
 特設サイト:ロゴ(?)、映画内エンドロール:ロゴ(?)、無料上映会放映権:3回、DVD:50 枚(映画完成から約1年後)
 ■100 万円以上
 特設サイト:社名(中)、映画内エンドロール:社名(中)、無料上映会放映権:1回
 ■30 万円以上
 特設サイト:社名(?)、映画内エンドロール:社名(?)
法人のみなさま
 ひがしかわ株主制度 | 東川町のまちづくりに参加しませんか : https://higashikawa-town.jp/kabunushi/for-companies/tax
個人のみなさま
 ひがしかわ株主制度 | 東川町のまちづくりに参加しませんか : https://higashikawa-town.jp/kabunushi/project/company_detail/10
https://www.sankeibiz.jp/business/news/211215/prl2112151334128-n1.htm

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愛称は「ヌプル」 登別市情報発信拠点施設 安藤さん考案投票で決定

2021-12-16 | アイヌ民族関連
北海道新聞 12/16 05:00
 【登別】JR登別駅に隣接して2022年度に開業予定の複合施設「登別市情報発信拠点施設」(仮称)の愛称が、安藤麻衣さん(35)=登別市=の考案した「ヌプル」に決まった。15日には記念品の贈呈式が市役所で行われた。
 「ヌプル」はアイヌ語で「色の濃い」などを意味する。安藤さんは2014年、結婚して夫の地元の登別へ移住。登別の地名がヌプルに由来することを知って、愛称公募に応じた。「響きの良い言葉。愛称を考える時に、すぐヌプルにしようとひらめいた。新しい施設で色の濃い時間を過ごしてもらいたい」と話した。
 安藤さんは長男翼ちゃん(4)と贈呈式に出席。小笠原春一市長から賞金3万円の目録と、のぼりべつ牛乳プリン、わさび漬けなど登別ブランド推奨品の詰め合わせを贈られた。
 愛称公募には384件が寄せられ、10月下旬、「ウヌカル」「ヌプル」「みなミナ」の3候補に絞って「決選投票」を行った。「ヌプル」は320票中132票を獲得した。(渡辺愛梨)
◆「ヌプル」と「ウヌカル」の「ル」は小さい「ル」
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/623477

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藤岡弘、ひぐま料理食べながら『ゴールデンカムイ』語る 連載300話記念で作者のルポ漫画掲載

2021-12-16 | アイヌ民族関連
北海道新聞 12/16 00:00
 人気漫画『ゴールデンカムイ』が、16日発売の『週刊ヤングジャンプ』新年3号をもって連載300話を迎えた。
 これを記念して、作者・野田サトル氏と俳優・藤岡弘、が羆(ひぐま)料理を食しながら作品について語るSP企画記事と、当日の様子を著者自ら描き下ろしたルポ漫画を掲載。また、特別付録として「ゴールデンカムイ2021SPカレンダー」のおまけ付きとなっている。
 同作は、明治時代の北海道を舞台に、アイヌが遺したという大金を手に入れるため、日露戦争の死線を潜り抜けた元軍人の杉元佐一が、アイヌの美少女・アシリパと行動をともにし、一攫千金を夢みる物語。
 『週刊ヤングジャンプ』で連載中の同名漫画が原作で、シリーズ累計1700万部を突破。これまでテレビアニメが3度放送(1期2018年4月~6月、2期同年10月~12月、3期2020年10月~12月)され、第4期の制作も決まっている人気作品。
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/623533

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『ゴールデンカムイ』展覧会、来年4月に開催決定 120点超イラストやアイヌ民族の資料など多数展示

2021-12-16 | アイヌ民族関連
北海道新聞 12/16 00:00
 人気漫画『ゴールデンカムイ』の大規模展覧会が、来年4月28日~6月26日にかけて東京ドームシティ Gallery AaMoで開催されることが決定した。
 同展は、120点を超えるイラストのほか、作中に登場したアイヌ民族の民具資料をはじめ関連資料を多数展示。金塊争奪戦を発端とした元軍人の杉元佐一やアイヌの少女・アシリパらの躍動を体感、2人がたどった旅路を追体験できる空間となっている。
 開催を記念して作者・野田サトル氏は「2022年春まで、どうかお楽しみに。」とコメントを寄せた。
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/623531

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重文保存へ薫蒸入念に 旧下ヨイチ運上家

2021-12-16 | アイヌ民族関連
北海道新聞 12/15 19:31 更新
 【余市】まとまった降雪を心待ちにしていた人がいる。「ようやく薫蒸ができます」と町教委の小川康和さんは、国指定史跡で重要文化財の「旧下ヨイチ運上家」の屋根を見上げる。
 「運上家」は江戸時代、松前藩が行っていたアイヌ民族との交易を請け負った商人の経営拠点。1853年(嘉永6年)に建てられた当時の図面を基に、1980年に復元された。
 木造2階建ての建物を守るため、害虫駆除として行う薫蒸は、年末の恒例行事。今年も13日から3日間かけて行われた。
 板ぶきの屋根には、くぎを使っていない。板を敷き、その上を別の板で押さえ、そこに人の頭ほどの大きさの石約2千個を乗せ屋根が飛ぶのを防ぐ。年月がたち板が細ると屋根に隙間ができるため、煙が建物から逃げないよう、薫蒸は屋根に雪が積もってから行う。
 建物内では職員4人が2人ずつ、30分交代で二つの炉に火をくべる。炎に水をかけると、煙がもくもくとたち、建物がいぶされる。最後に掃き清めて、新年を迎える準備がようやく整う。(松嶋加奈)
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/623386

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<標津 根室北部 実りの大地に>中 酪農のまちで野菜自給

2021-12-16 | アイヌ民族関連
北海道新聞 12/15 10:39
 トマト、ネギ、ホウレンソウ、セロリ―。根室管内別海町内の入浴施設「町ふるさと交流館」で10月24日、野菜販売会が開かれた。農薬なしで作られた鮮やかな野菜。いずれも、酪農のまち別海で実ったものだ。
■作り手の工夫
 主催したのは町民のグループ「別海農産物組合 betsukai lovege(べつかいらーべじ)」。野菜作りの愛好家6人で活動し、7月の発足から月1回、販売会を開いてきた。発起人で町の地域おこし協力隊員、高橋秀明さん(37)は「『別海は野菜が育たない』と聞いていたが、作り手の工夫で豊かに育つことに驚いた」と話す。
 別海は、根釧パイロットファームや新酪農村建設事業など、日本の酪農史の舞台となった町だ。農林水産省のまとめによると、別海町の2019年農業生産額(推計)は約668億円で道内1位、全国3位。金額の99・7%は牛乳生産を中心とする酪農、畜産関連だ。
 その一方で畑作の歴史も古く、記録では幕末の安政年間(1854~60年)までさかのぼる。野付半島先端部にある「野付通行屋跡遺跡」の裏には、約2千平方メートルの畑の跡があり、現在も畝の跡がわずかに残る。
 野付半島などでアイヌ語通訳として活躍した加賀伝蔵(1804~74年)が残した手記にも、半島で開墾が行われ、麦や大豆、ダイコンなど27種類の栽培が試みられたことが記されている。町郷土資料館の石渡一人学芸員は「和人とアイヌが共に畑作に取り組んでいたことが、文献と遺構の両方から分かる」と指摘する。
■「育てる気概」
 加賀らは土地改良のため土を運び入れ、当初は収穫を上げることができていたという。ただ、明治以降の開拓民による麦や豆類、雑穀などの畑作は、昭和初期に冷害・凶作が相次ぎ、断念する開拓者が続出した。やり方次第で実りは得られるが、安定的な収穫を求めた結果として、根釧の農業の主軸は酪農に移行した。
 「昔は牛だけでは食べていけず、イモや豆類を育てていた」。そう話すのは、べつかいらーべじの元酪農家井上英樹さん(81)だ。牧草地だった4ヘクタールで20年前からタマネギや豆類など十数種類を育て、ビニールハウスで果樹栽培も行う。今の生活は、ほぼ自給自足。根室北部について「作物の生産地から遠く、自分で食べるものは自分で育てる気概が強い」と語る。
 別海町に住む野菜ソムリエプロの松本真実さん(51)は、根室北部の農業についてこう話す。「商用作物を作る他地域と比べ、気候面などでは勝てない。でも、地元で食べる物を地元で作るという、畑作本来の大切な考え方が支えになる。それがこの地域の力です」
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/623126

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ピーカンナッツ 米・メキシコとも減産 干ばつ影響、高騰見込み

2021-12-16 | 先住民族関連
食品新聞 2021年12月15日

唯一の北米原産ナッツとして、先住民族の時代から数千年にわたり利用されてきたピーカンナッツ。今シーズンの収穫が最盛期を迎えた米国南部とメキシコに続き、米国西部での収穫も始まった。
今期は米・メキシコ両国とも減産の予想。前期からの繰入在庫量も減っており、総供給量は26%減の6億4千137万9千ポンド(約29万1千t)と11年ぶりの低水準が予想されている。
今シーズンは裏年に当たることに加え、ここ数年の干ばつによる水不足が大きく影響した。
米国でも主産地ジョージアでの減産が著しく、ほかの東部州でも減産となる見込み。一方で、本格シーズンを迎える米国西部の生産量は干ばつが比較的軽微だったため、平年作を確保できそうだ。米国内トータルの生産量は16%減となる予想だ。
また、例年米国を上回る生産量を誇るメキシコだが、今期は減産だった昨年からさらに42%もの大減産となり、米国産を下回るとみられる。
米国内を中心に需要は堅調に推移する中、供給量減少によって原料価格の高騰が進みそうだ。
https://shokuhin.net/50263/2021/12/15/%E8%BE%B2%E6%B0%B4%E7%95%9C%E7%94%A3%E6%A5%AD/%E3%83%8A%E3%83%83%E3%83%84%E3%83%BB%E3%83%89%E3%83%A9%E3%82%A4%E3%83%95%E3%83%AB%E3%83%BC%E3%83%84/

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ミス・ユニバース日本代表「キモノ炎上」から考える、伝統文化の保護と《ハイブリッド表現の自由》

2021-12-16 | アイヌ民族関連
ヤフーニュース 12/15(水) 12:01
志田陽子武蔵野美術大学教授(憲法、芸術関連法)、日本ペンクラブ会員。
ミス・ユニバース世界大会で日本代表が着用した衣装に、SNS上で「残念」、「せめて左前(死に装束を意味する)はやめて欲しかった」といった批判的な声が上がり、ネットニュースでも取り上げられている。
ミス・ユニバース日本代表の“伝統衣装”に批判続出。「せめて左前はやめて欲しかった」(ハフポスト2021年12月13日掲載)
https://www.huffingtonpost.jp/entry/japan_jp_61b6decae4b0b50268a7e766
「日本人を侮辱」…“死に装束”ミス・ユニバース日本代表衣装へ怒り=韓国報道(Wow!Korea 2021年12月14日Yahoo!ニュース掲載)
https://news.yahoo.co.jp/articles/25d85cd6c8fcb92226a38d45abba5db1574fcbaf
筆者は先日、「文化の盗用」問題と差別表現との関係について考察した論説を「法学館憲法研究所」に寄稿したばかりだった。
リスペクトか盗用か 民族文化と模倣 (法学館憲法研究所 2021年10月18日掲載)
http://www.jicl.jp/hitokoto/backnumber/20211018.html
以下、こちらの記事をもとにしながら、このミス・ユニバース日本代表の衣装への炎上について考察してみる。
世界で起きてきた、「キモノ」炎上
ここ数年、ファッション界や美術館のイベントで、日本の着物をもとにした表現が「文化の盗用」cultural appropriation として炎上する事例が増えている。「ヴァレンティノ」のウェブ広告で、日本の着物の帯に見える布の上をハイヒールを履いたモデルが歩く演出が、「日本の文化を冒涜(ぼうとく)している」との批判を受けた。また、2019年には、人気セレブのキム・カーダシアンが自身の下着ブランドに「KIMONO」というブランド名を付けたところ、批判を招いたため、変更している。美術の世界でも、2015年、ボストン美術館でモネの絵画「ラ・ジャポネーズ」の前で着物を試着し撮影するイベントが、「文化の盗用」「人種差別的」といった抗議を受けて中止になっている。
着物以外の表現としては、ファッション・ショーで白人モデルたちがドレッド・ヘア(黒人のスタイルとされてきた髪型)で登場したことが批判を浴びた。また日本国内でも、アイヌ民族の文様や言葉の商業利用の中に、「文化の盗用」にあたるものがあるとの指摘がある。この問題については、現在、アイヌ民族の知的財産権保護のための社団法人もある(阿寒アイヌコンサルン)。伝統的な文様や刺しゅうなどを模倣して大量生産によって価格を安くした商品が出回ることで、アイヌ文化本来の「ものづくり」の良さが見失われ、アイヌのクリエイターの意欲がそがれてしまうことが懸念されている。ここには文化的価値の保護と、経済的利益の保護の両面の問題が含まれている。
模倣の自由と知的財産
文化は、触発と模倣によって発展してきた。誰かが何か目新しいものや、これまで注目されていなかったものを発見し、触発され、それを自分の表現や生活文化に取り入れようと模倣することは、歴史の中で無数に繰り返されてきた。モネもゴッホも自身の作品の中で日本の伝統美術を模倣しているし、フランスやドイツで発達してきた磁器も、日本・中国の磁器の技術とデザインの模倣から出発しているが、こうした数百年にわたる文化交流と混交を「盗用」として非難する人はいないだろう。
しかし、文化や芸術が複製技術によって大量生産される時代に入ると、模倣による「被害」というものが、放任できない問題となってくる。そこに「知的財産」の制度が生まれた。こうした制度ができてくると、自由にしておくべき模倣と、法によって規制すべき「盗用」との間の線引きが必要になってくる。
しかし伝統文化の盗用の問題は、知的財産権(意匠権や著作権)で保護することが難しい。意匠権も著作権も、創作性があることが必要で、伝統文様を忠実に継承した表現では権利がとれない。しかし権利のために個人的創作を加えることは、文化への冒涜と感じられ、批判の対象となりやすい。それが今回のミス・ユニバースの衣装デザインについても起きた。
一方で、著作権を個人の作品の権利として見るのではなく、集団の権利として保護する考え方も提唱されている。これが法制度にどのように反映されていくのか、今後に注目していきたい。
差別的な社会的文脈への理解
こうした事柄が炎上するときに焦点となっているのは、模倣による経済的被害よりも、冒涜的に扱われている、差別的に扱われている、物笑いにされている、といった情感の問題、あるいは人格的な問題のほうだ。先ほど見た事例の中では、ファッション・ショーで白人モデルがドレッド・ヘアで登場したことが問題視された例がそれに当たる。
アメリカでは、奴隷制度があった時代に「ミンストレル・ショー」というものが流行した。これは、白人が黒人の滑稽さを誇張して演じて面白がるという「お笑いショー」である。これは紛れもない人種差別文化であり、不適切、不見識な表現の代表とされている。アメリカにはこうした表現ジャンルへの明確な反省があるために、白人が顔を黒塗りにして黒人を演じることを、差別表現・侮蔑表現として拒否する感覚が共有されている。法的に規制はされていないが、平等社会を作るという政治的目的を共有する社会にとっては不適切な表現だ、という合意があるのである。ファッション・ショーで白人がドレッド・ヘアで登場する場面などは、そうした背景を考えずにただ見れば、「カッコいいのになぜ?」と思える。表現者の側では「カッコいい」というリスペクト感覚で模倣したのに、模倣された側からは「侮蔑された」「盗用された」という負の感情が起きてくる、ということは、現実にさまざまなところで起きる。
異文化理解の作法
20世紀のうちは、映画の中で欧米人が描く「日本人」にも、安易なステレオタイプと揶揄が込められていたものもあった。「ティファニーで朝食を」の中には、そうした日本人像が出てくる。名作ではあるが、当時の多様性認識の限界というところだろう。しかし、一歩間違えば物議をかもしそうなテーマ・演技を敢えて行いつつ、対象に十分なリスペクトを払っていることが見る者にわかる作品もある。
たとえば映画「レナードの朝」では、ロバート・デ・ニーロが、神経の異常によって痙攣(けいれん)を繰り返す患者を迫真の演技で演じている。見ようによっては、身体障がい者や病人をいたたまれなくさせる模倣表現だと指弾されてもおかしくない。しかしそうした批判によって上映がボイコットされたという話を、筆者は知らない。作品の意図と、演技者の真剣さが、見る者に明確に伝わる作品だからだろう(作品意図が明確すぎて説教臭くなっている、という批評はあると思うが、そういう高度な批評はここでは措くことにする)。
そうした作品には、作る側に相当の覚悟と力量がいる。上の作品の中の俳優の演技のエネルギーは、見る者に、弱者を物笑いにする安易な模倣とは思わせないだけの迫力がある。この覚悟や《伝えるエネルギー》があるかどうかを、法律によって判定することは、とてもできそうにない。炎上した数々のケースと、炎上しなかった作品との間の線引きは、法律に委ねることはできないだろう。「文化的盗用」や「差別的模倣」の問題と根底で結びついている差別感情の問題は、社会全体が取り組むべき体質改善の問題であり、法規制による対症療法にはなじまないと思われるのだ。
したがって、この種の問題は、法の問題としては、法で決着をつけるより受け手が自由に感想や批評を言い合う「言論の自由市場」に委ねるほうがよい、と筆者は思う。しかし文化政策の問題としては、そこで終わりにするのではなく、文化的衝突を険悪化させないための工夫は必要で、現在、いくつかの方策が模索されている。
伝統を保護するなら
伝統文化を大切に思う人々からすれば、伝統文化に新たな解釈やアレンジを加えることは、伝統文化を傷つける表現に見えるかもしれない。おそらく、今回のミス・ユニバースの衣装は、日本社会に現在定着している「着物」の外形とは相当に違うので、そう感じた人が多いのかもしれない。しかし筆者が感じた第一印象は、この衣装を考えたデザイナーは、現在確立している着物スタイルよりもずっと古い、古代の歴史や神話に出てくる女性の装束を参考にしているのではないか、ということだった。それと現在の原宿ファッションを融合させたというのは、ある種の奔放な生命力を核に据える解釈をしたということではないだろうか。
そう考えると、この《型》を壊して肌を見せる力強さは、「歌舞伎の創始者・出雲阿国(いずものおくに)なども、このような雰囲気の女性だったのでは」、と思わせられるものがある。しかし一方で、この衣装のきらびやかさや肌の露出を、日本の着物の表現として冒涜的だと感じる人もいるだろう。かの出雲阿国もそうした理由で睨まれたのか、その後の江戸時代になると女性が舞台でその種の歌舞音曲を演じることが禁じられた(それで現在の歌舞伎はすべて男性が演じるものとなっている)。
こうした新たな展開によって本来あった伝統文化が変形し忘れられてしまうことを心配する人々のその心情は、たしかに無視してはならないものがある。しかしそちらに歩み寄るならば、新たなハイブリッド的展開を封じるよりも、伝統文化に文化財指定などの価値承認をしていくことのほうに、意味があるだろう。これは実際に行われている。
これに加えて、模倣をしようとする表現者に、無神経な模倣、歴史に無理解な模倣を慎んで、真摯な理解を促すガイドラインを策定する、という方策を組み合わせることが良策なのではないか。文部科学省もこの問題への取り組みを行っている。また国際レベルでも「文化享有権」の中でこの問題が議論されている。
ハイブリッド性が象徴するもの
そしてもう一つ、これは何のシンボルなのか、ということが重要である。これは日本イスラエル国交樹立70周年を記念し、イスラエル人デザイナーがデザインしたという。つまり、これは「日本のシンボル」としてよりも、日本とイスラエルの国交のシンボルとして見るほうがよいのである。とすると、厳密に日本の伝統美を体現することよりも、多少の不正確さ・間違い・違和感はあっても、そのハイブリッド感を許容する寛容さを示すことのほうが、国交を記念するシンボルとしてふさわしい姿勢と言えるのではないだろうか。
先に見たような文化政策的な取り組みと、こうした出来事を乗り越える実践例の積み重ねを通じて、異文化理解のプロセスを組み込んだ共存社会づくりが前進することを願っている。
志田陽子
武蔵野美術大学教授(憲法、芸術関連法)、日本ペンクラブ会員。
東京生まれ。専門は憲法。博士(法学・論文・早稲田大学)。2000年より武蔵野美術大学で 表現者のための法学および憲法を担当。「表現の自由」を中心とした法ルール、 文化芸術に関連する法律分野、人格権、文化的衝突が民主過程や人権保障に影響を及ぼす「文化戦争」問題を研究対象にしている。著書に『文化戦争と憲法理論』(博士号取得論文・2006年)、『映画で学ぶ憲法』(編著・2014年)、『表現者のための憲法入門』(2015年)、『合格水準 教職のための憲法』(共著・2017年)、『「表現の自由」の明日へ』(2018年)。
https://news.yahoo.co.jp/byline/shidayoko/20211215-00272676

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日本とぜんぜん違う! ニュージーランドのタトゥー事情を聞いてみた

2021-12-16 | 先住民族関連
BuzzFeed Japan12/15(水) 18:59配信

さまざまな民族が暮らすオセアニアの島国・ニュージーランド。出身部族を象徴するトライバルタトゥーや、ファッションとしてタトゥーを入れる人が多い。【BuzzFeed Japan / 高橋李佳子】
ニュージーランド・ヘラルド紙によると、2019年に新採用された警察官の95%が、体のどこかにタトゥーを入れていたという。日本よりも比較的広く、そして長い間タトゥー文化が受け入れられていると言えるだろう。
たとえば、ラグビーのニュージーランド代表チーム「オールブラックス」。
マオリの民族舞踊「ハカ」のパフォーマンスが記憶に残っている人も多いだろう。腕や脚にタトゥーを彫っている選手がいるのがわかる。約504万人の人口のうち、16.5%を占めるとされているのが、先住民族マオリ系の人々だ。
ナナイア・マフタ氏。顎に入れるマオリ伝統のタトゥーは「モコ・カウアエ」と呼ばれる。
2020年11月に、ニュージーランドで初めて、先住民女性として外相に起用されたナナイア・マフタ氏も、あごにマオリのタトゥーを入れている。
マオリ族伝統のタトゥーは、「タ・モコ」と総称される。
ニュージーランド政府公認機関で、ニュージーランド留学のプロモーションをはじめニュージーランドの教育を世界に発信するエデュケーション・ニュージーランド本局のチーフ・マオリ・アドバイザー、カール・ウィクソン氏によると、タ・モコが意味するのは「まずいちばんにアイデンティティ」だという。
「ニュージーランドには、100近い数の部族がいる。タトゥーは、自分の部族やルーツを表現するためのもの」とウィクソン氏。
モチーフには、ルーツを表すデザインに加え、自分の職種などの社会的ステータスを加えることもあるという。
「わたしは集団内でヒーラー(治療師)だ、リーダーだ、といったように、役職に応じてデザインを取り入れる。まずは部族。その上に自分の特徴を足したデザインになることが多い」
出身部族のある地域の自然、母なる大地も重要な要素になる。それらを題材とした逸話や神話も、タ・モコに取り入れられる。
ウィクソン氏のタ・モコは、ハイイロミズナギドリがモチーフになっている。ウィクソン氏は、ニュージーランド南島のナイタフという部族の出身だ。南島には、マオリ語で「ティティ」と呼ばれるハイイロミズナギドリが多く生息している。
ハイイロミズナギドリは食用にもなるのだが、ウィクソン氏の親族は、慣習的にハイイロミズナギドリの捕獲に携わっているのだという。そのため、自身のルーツに関わりの深いハイイロミズナギドリをモチーフとして取り入れているそうだ。
伝統的な彫り方では、先祖の土地のものを使う
現代の染料はインクだが、伝統的なタ・モコの彫り方では、材料集めの段階から自分の先祖や土地を敬う形で行われる。自分の先祖や出身部族の土地にある木の枝や土などを染料として使い、石や骨を用いて肌に彫っていくという。
今もごく少数ではあるが、伝統的な方法にこだわり、この方法でタ・モコを入れる人もいるという。
タ・モコのデザインは対話から生まれる
方言があるように、タトゥーのデザインやモチーフも地域や部族によって異なる。ウィクソン氏によると、その中でもタ・モコが特徴的なのは、「トホンガ」と呼ばれるマスターのような人が存在する点だ。トホンガはタ・モコのリーダーとして認められた存在で、国内にも数人ほどしかいないとウィクソン氏は説明する。
先述したように、タ・モコのデザインには部族のモチーフだけではなく本人のアイデンティティも反映されることが多い。
トホンガやタ・モコアーティストは、デザインを考案する前に、相手との「コレロ」が欠かせない。コレロとは、マオリ語で「対話」を意味する言葉だ。相手の人間性、性格、好きなもの、これまで歩んできた道のりを知り、その上でデザインを提供するという。
「いろいろな言葉を拾い、それを物語にするのがトホンガやタ・モコアーティストの仕事。『これを彫ってください』と既存のデザイン見本を渡されて、それを彫ったタトゥーはタ・モコではない」とウィクソン氏は説明する。
既存のタ・モコをコピーしたものには「キリトゥーヒ」という別の名がついている。入れるまでのプロセスがタ・モコの伝統と一致していなければ、そのタトゥーはタ・モコとは呼べない。
しかし、必ずしもマオリ出身者のみにタ・モコが許されているわけでない、とウィクソン氏は語る。
「コレロによって生まれたデザインを施すのがタ・モコ。マオリ出身者でなくても、そのプロセスを経てタ・モコを入れられる」
「そういった部分で、タ・モコ関係者はマオリ以外の文化と協業することにオープンな人が多いと思う」
「ただ、キリトゥーヒが文化の盗用になるかという点においては、人によって受け取り方が違う。マオリ文化や伝統を盗まれた・コピーされたと感じる人もいれば、それをマオリ文化への賞賛だと思う人もいるだろう」
「重要なのは、『どんな意図でそのタトゥーを入れたか』」
タトゥーに結びつく人種差別、男女差別
タトゥーに寛容な印象のあるニュージーランドでも、タトゥーに対する偏見はあるとウィクソン氏は語る。
「タトゥーにネガティブな印象を持っている人はいる。ギャングのタトゥーと、伝統的なタトゥーが混同されてしまうケースが多い」
1840年、540人の先住民マオリ首長とイギリス君主との間でワイタンギ条約が締結され、ニュージーランドはイギリス領となった。
イギリス領時代、政府の同化政策のもとマオリ語をはじめとする先住民文化は禁止・抑圧されてきたが、やがて政府内外でマオリ文化を支援する声やマオリの影響力が強まった。1970年代から、マオリ文化を尊重し、再認識するための回帰運動は活発化している。
しかしウィクソン氏によると「それも本当に最近の話」だ。タ・モコの再認識は回帰運動の中でも遅く、本格的に盛り上がり始めたのは1990年代から2000年初頭にかけてだという。
「だから、タ・モコに見慣れていない人もまだ多い。タ・モコを醜いとか、変だとかいう見方をする人もいる。そういった点では、人種差別にも密接に絡んでいる」
タ・モコが理由で職に就けないケースも
たとえばニュージーランド航空は客室乗務員やパイロットなど職員に対し、肌が露出する場所のタトゥーを禁止していた。同社CEOいわく「多様性を認めるため」、タ・モコなど伝統的なタトゥーの露出は認めるという方向性で規則が修正されたが、それもまだこの2年での話だ。
ウィクソン氏は、タトゥーを入れているのが男性か女性かによっても、差別意識に差があると指摘する。
「オールブラックスのように、男性がタトゥーをしていると勇敢で、ヒーロー的なイメージに受け取られる。一方で女性が顔に入れていたら、美の価値観の違いによる批判を受けることがある。その場合、マオリ以外の男性からのことが多い」
増えるタ・モコアーティスト
しかしウィクソン氏によると、タ・モコへの関心はニュージーランドでさらなる高まりを見せており、近年タ・モコを入れる人や施す人が増加しているという。その理由は2つある。
1つは、1987年にマオリ語が国の公用語に認定されるなど、マオリ文化の回帰運動が影響している。マオリの文化的アイデンティティを見直し、その表現の一つとしてタ・モコに関わる人口が増えたという。
もう1つは、タ・モコを含め、タトゥー自体の露出が増え一般的になってきた点にある。
エデュケーション・ニュージーランド駐日代表の北岡美佐子氏は、「ヘアメイクやファッションタトゥーよりも、アイデンティティやルーツに深く通じるという点がミレニアル世代以降に受け入れられ、タ・モコがまた増えているのかもしれません」と語る。
マオリ文化の回帰運動も、「決して表象的なお飾りではない」と北岡氏。
「多文化共生の基盤を築き、観光や留学産業を通じて多大なる経済効果をもたらしています」
「ニュージーランドの学校に留学すると、マオリ語やマオリ文化に触れる機会がたくさんあります。ニュージーランドの授業では、『キ・オラ』(マオリ語でこんにちは)や『カ・パイ』(よくできました!)など、マオリ語のフレーズが飛び交っています。ニュージーランドの教育に、マオリ文化は深く、そして自然に溶け込んでいることを改めて実感します」
「知られざるニュージーランドの魅力や感動を、日本の皆さんにもっと知ってほしいです」
https://news.yahoo.co.jp/articles/b8b42b445cd4b2b6182373deaf3e8f0ff04773f9


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