アエラ10/8(日) 11:32配信

山崎賢人
代表作ともいえる「キングダム」第3作目がシリーズ最高のロケットスタートを記録し、すでに第4作の制作も決まるなど、今や飛ぶ鳥を落とす勢いの俳優・山崎賢人(29)。さらに8月には、歴史エンターテインメント大作「ゴールデンカムイ」実写化への主演も発表され、世界的ヒットを記録したNetflix「今際の国のアリス」のシーズン3の制作も決まり、主役続投となった。
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まさに“実写化請負人”の名をほしいままにしている山崎だが、映画評論家はこう語る。
「山崎さんは童顔で、年齢のわりに少年っぽさの残る顔立ちながら、178cmという長身。これは、少女漫画の登場人物にありがちな、シュっとした顔にスタイル抜群の主人公のイメージにピッタリのビジュアルです。そのため、キャリア初期は少女漫画における“王子様ポジション”を演じることが多かった。年齢とキャリアを重ねてからも漫画原作作品への出演は変わらず多いですが、より難易度の高い少年漫画の実写化が増えてきました。山崎さん本人の演技力は素晴らしいのですが、『実写化に出すぎ』『全然似てない』など、賛否が分かれる作品も目立つようになってきています」
10代~20代前半は『L・DK』(2014年)や『ヒロイン失格』(15年)、『オオカミ少女と黒王子』(16年)といった少女漫画の実写化映画でヒロインの相手役を数多く務めてきた。近年、ドラマや映画業界では漫画原作の映像化が増えているが、その流れに乗るように山崎はコスプレ色の強い『斉木楠雄のΨ難』『ジョジョの奇妙な冒険 ダイヤモンドは砕けない 第一章』(ともに17年)といった少年漫画の実写化にも続々と出演し、役柄の幅を広げていった。
そんな中、山崎はこれまでの代表作ともいえる「キングダム」(第1作、19年)に出会う。
「発表当初は、ビジュアルに関して批判があったのも事実です。しかし作を重ねるごとにファンが増え、興行収入も更新し続けて大ヒットシリーズとなりました。もちろん、山崎さんの作品に対する思い入れもひとしおで、本人はインタビューで『信(キングダムの主人公)は人生そのもの』とまで言っています。一方、『今際の国のアリス』も、20年12月に世界同時配信されたシーズン1は、世界70カ国以上でTOP10入りする大ヒットを記録。シーズン2も90カ国以上でTOP10に入っています。山崎さんは今、一番脂がのっている時期ではないでしょうか」(前出の映画評論家)
■「ジョジョ」も最初はファンが騒いだが…
そして「キングダム」以上に、熱心な原作ファンがいると言われる「ゴールデンカムイ」に挑む山崎。同作は、屈強な肉体の元兵士や囚人、軍人などが入り乱れ、アイヌ民族の隠し財宝を巡って壮大な争いを繰り広げる歴史エンターテインメントだ。しかし、山崎が主人公である“不死身の元陸軍兵”杉元佐一を演じることが報じられると、「またか」と辟易する声や「ミスキャスト」などの拒否反応がネットを席巻した。
「『ゴールデンカムイ』は、単なるエンターテインメント作品にとどまらず、アイヌ文化や開拓史に向き合う硬派な面もあり、コアな原作ファンが多い作品。『ジョジョ~』と同じく、思い入れの強い読者が多いだけに、山崎さん演じる主人公と壮絶な金塊争奪バトルを繰り広げる鶴見中尉役の玉木宏、新選組の生き残り・土方歳三を演じる舘ひろしなど、再現度の高さに期待が高まります。これまで山崎さんは、人間の持つ強さと弱さをうまく表現し、ナイーブな役も勇躍な役もしっかりと演じ分け、数多くのキャラクターを再現してきました。きっと『ゴールデンカムイ』でも、原作ファンが納得する演技を見せてくれるはずです」(民放ドラマ制作スタッフ)
作品の実写化にあたって、山崎は「ファンになるくらい原作を読み込む」「好きになれば、作品をつくっていく過程もすべてが楽しくなる」(「クランクイン!」16年9月10日)と語っており、真摯な姿勢で取り組むことでも知られる。最初は評価が分かれた「ジョジョ~」についても、「山崎賢人からジョジョになっていく過程がすごい」とアンチすら認めざるを得ない情熱があった。
「週刊SPA!」元副編集長・芸能デスクの田辺健二氏は山崎の魅力をこう解説する。
「山崎さんは単に二枚目というだけでなく、目力があり色気もある上にスタイルもいいので、いわゆる“主人公顔”の筆頭株として活躍してきました。映画主演作が多いため、たまに連続ドラマで主演するとそれだけで話題になるのも、“映画俳優”というブランディングが功を奏していると言えます。演技力も申し分ないので、人気漫画原作の映画であればまずキャスティング会議で名前が挙がるのもうなずけます。しかし、一方で人気漫画原作であるがゆえに『キングダムやジョジョもやって、金カムまでやるなよ』と否定的に見るファン心理も理解できます。ただ、山崎さんは“プロ主人公”なので、今までの作品とはまた違ったキャラクターをしっかり仕上げてくれるはず。『キングダム』と比較されるのは間違いないので、相当なプレッシャーがかかっているでしょう。そんな上がり切ったハードルを山崎さんがどう飛び越えていくのか、期待せずにはいられません」
難役を乗り越えて、さらなる高みを目指す山崎の役者魂好きになれば、作品をつくっていく過程もすべてが楽しくなるに期待したい。
(雛里美和)
https://news.yahoo.co.jp/articles/9ea33dc3741398dd826f491a3e189a936c66acc9?page=1