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【書評】「二つの台湾」が「一つの台湾」になった日:陳耀昌著、下村作次郎訳「フォルモサの涙 獅頭社戦役」

2023-10-10 | 先住民族関連

nippon.com2023.10.09

野嶋 剛 【Profile】

1874年、琉球民殺害をきっかけに台湾へ明治日本が攻め入った「台湾出兵」。日本は台湾から撤兵したものの、漢人と先住民族(原住民族)との間で崩れた力関係のバランスは元には戻らず、清朝政府の全面介入を招くことになる。その転換点となった戦役「獅頭社戦役」を描き出した歴史小説の大著が日本で出版となった。

本書「フォルモサの涙 獅頭社戦役」はすでに日本語に翻訳・刊行されている著者・陳耀昌氏の「フォルモサに咲く花(原題:傀儡花)」に続く作品で、日本統治前の台湾を取り上げる「花シリーズ3部作」の第2部に当たる。

この小説では、1875年の清朝による「開山撫番」政策の下、台湾南部・屏東の原住民(先住民)と清朝政府軍による戦争、その影響を大きく受けた原住民と漢人の関係が、フィクションである細やかな人間関係を加えて生き生きと描かれている。開山撫番とは、それまでは沿岸部の漢人居住地域のみ統治の対象とした清朝が、山岳地域を含めた台湾の全土を統治対象とみなす政策を指す。

その「開山撫番」政策のなかで起きた「獅頭社戦役」は、もともと台湾でも注目度は低かった。しかし、著者はその歴史が台湾史の転換点にあたると喝破した。過去に「中国史」的な観点から忘れられていた先住民族の支配に対する漢人政権の支配が、この「獅頭社戦役」で確定したからだ。

さらに、巷間(こうかん)思われているような楽勝ではなく、清朝がパイワン族らの勢力にさんざん手を焼いた激戦の末の勝利であった。その戦闘の激しさは、物語後半で「彼らは退却を知らない番人を心の中で罵った。清国兵は、自由自在に変化する番人への攻撃を続けるしかなかった」と語られる通りである。

本書の前半では、牡丹社事件をきっかけに3000人規模の軍隊を派遣し、現地に駐留する日本軍と先住民族、漢人の間のコミュニケーションも描かれているところが面白い。

日本軍は、台湾の各先住民族から「帰順」を獲得しようとした。当然、先住民族は日本語が話せない。通訳となったのは、平地に暮らし、先住民族とも交流がある漢人たちだ。本書のなかで、が、のちに戦場になった大亀文の先住民族地区の頭目の息子と、日本軍の横田という軍人が宴席を設けることになる。日本軍は、大亀文の人々にも帰順を求めていた。それは、当時の日本軍が「文明の輝きによって次々と先住民族たちが自分たちの軍の威光に従った」という軍派遣の成果としたかった。しかし、誇り高い先住民族たちが「帰順」に帰順に応じるか、という疑問があった。

筆者は、この疑問について「物語」として、見事な解決を提示している。日本の軍人が「告諭」を先住民族の人々に読み上げるとき、当然「帰順」を求める内容になっている。これを漢人の通訳は「日本人は大亀文と友好で平和な関係を希望している」と訳して先住民族に聞かせる。一方、先住民族が「友好的で平和な関係を我々も望む」と答えると「帰順したい」と訳して日本人に聞かせる。日本人、漢人、先住民族の三角関係が、このように維持されていたことは十分にあり得る想定であり、想像力をこらせる小説だからこそ可能な「推理」になっている。

いずれにせよ、歴史に埋もれていた「獅頭社戦役」へ脚光を当てたこと自体が本作の価値とも言えるだろう。

この「獅頭社戦役」の意味をさらに詳しく知るには、台湾の「近代の幕開け」ともいえる外国勢力との接触から説き起こさないとならない。1876年に「ローバー号事件」が起きた。座礁した米国船の乗組員が先住民族に殺害され、清朝が軍を派遣することになる。次に1871年に琉球船が座礁し、今度は54名が殺害されることになる。これが「牡丹車事件」と呼ばれる。どちらの発生場所も、台湾最南端でバシー海峡に面した恒春半島。当時台湾で「瑯嶠」と呼ばれた地域だ。

日本は清朝政府に抗議したが、恒春半島の先住民族地区が清朝の統治が及んでいないと説明。日本側は台湾の西半分以外はどの国の領土ともなっていない無主の地だと判断し、日本領有を視野に、3000人規模の軍を派遣することになる。これが台湾出兵であり、明治政府にとっても最初の海外派兵となった。

日本軍は現地の先住民族と戦闘を続け、恒春半島の駐留の構えを見せるが、清朝も大軍を派遣し、日本を威嚇する。そこで明治政府は清朝側と事態収拾のための協定を締結し、台湾領有をあきらめて見舞金を得ることで日本に軍を戻した。

日本はその過程で、琉球に清朝の主権が及ばないことを確認したとして、のちの琉球の併合に邁進することになる。これまでは歴史学で、その日本のメリットばかりが強調されていたが、著者は、台湾の「後山」と呼ばれる先住民地域が、それまでの「統治の及ばない化外(けがい)の地」から、「台湾」として統合されるようになったと指摘する。こうした歴史の「発見」が、小説の底流には流れている。

著者はこのように語っている。
「台湾史小説を書く目標は二つ。台湾のために歴史を残し、台湾を歴史に残す」

本書の主軸は、日本の台湾出兵を収束させるために派遣された清朝軍と、パイワンの人々との戦いだ。メンツのために清軍が戦いに走り、共に多数の犠牲者を生む過程を追うものだ。そしてこの間、「化外の地」とされた先住民族が住む山にまで清朝の手が及ぶようになる。本書は、台湾史上の大きな転換点のなか、生き生きと躍動する先住民族、漢人、清朝の兵士たちの活劇である。

『フォルモサの涙 獅頭社戦役』

陳耀昌(著)下村作次郎(訳)
発行:東方書店
発行日:2023年6月19日
A5判352ページ
価格:2400円+税
ISBN:978-4-497-22314-2

https://www.nippon.com/ja/japan-topics/bg900499/


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民博、民族と国家との相克を究明

2023-10-10 | 先住民族関連

日本経済新聞2023年10月10日 5:00 [会員限定記事]

竹内 義治

民族は国家とは別の自立性を持ち、両者の利害が食い違えば衝突や抑圧が生じる。現代におけるその関係性の研究を通じて、多様な民族が共存し尊重しあう国のあり方を探るプロジェクトを国立民族学博物館(大阪府吹田市)が進めている。

民博は2022〜28年度の特別研究「ポスト国民国家時代における民族」の一環として展開。館内外の研究者が参加し、多文化国家における民族意識や文化・経済政策、国家イデオロギーと民族との...

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残り447文字

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCD281WT0Y3A920C2000000/


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ディカプリオ×スコセッシ監督が描いた壮絶な悲劇…『キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン』特別映像が公開

2023-10-10 | 先住民族関連

シネマトゥデイ2023年10月9日 12時16分

 オスカー俳優レオナルド・ディカプリオと巨匠マーティン・スコセッシ監督が6度目のタッグを組んだ映画『キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン』の特別映像が公開された。デイヴィッド・グランの犯罪ノンフィクションを基にした同作では、石油利権によって世界有数の富を手にしたアメリカ先住民族・オセージ族の財産に目をつけ、彼らを巧みに操り、脅し、奪える限りの財産を強奪し、殺人にすら簡単に手を染める白人たちの姿が映し出される。

【動画】『キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン』特別映像

 特別映像の中でスコセッシ監督は「語られてこなかった悲劇を伝えたいと思った」といい、重要なのは「友情や愛に生きる人々の身に搾取や殺人が起きたことだ」と語る。レオも「彼らの歴史は語るべきテーマだ」と力を込め、「誠実に描くことを監督は常に意識していた」とスコセッシ監督が並々ならぬ意気込みで挑んでいたことを明かしている。

 レオが演じたのは、叔父である地元の有力者ウィリアム・ヘイル(ロバート・デ・ニーロ)を訪ね、オクラホマへとやって来たアーネスト。ヘイルはアーネストとオセージ族の女性モリー(リリー・グラッドストーン)との結婚を勧めるが、それは石油利権を得るためだった。恋に落ち結婚に至ったアーネストとモリーだが、モリーの家族は次々と不審な死を遂げていき……。スコセッシ監督は、オセージ族の人々に起きた悲劇を「彼らを正当に描くことで壮絶さを伝えたかった」と振り返っている。(編集部・市川遥)

映画『キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン』は10月20日より全国公開

https://www.cinematoday.jp/news/N0139398


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和船山車「安濃津丸」が出発 一日船長に須田亜香里さん 津まつり最終日 三重

2023-10-10 | 先住民族関連

伊勢新聞10/9(月) 8:00配信

【雨の中「安濃津丸」から手を振る須田さん=津市内で】

 【津】三重県、津の新旧の芸能が一堂に会する「津まつり」(同実行委員会主催)が8日、最終日を迎えた。大パレードにはタレントの須田亜香里さん(31)が一日船長を務める和船山車「安濃津丸」が4年ぶりに登場。午後は雨模様となったが、6日の前夜祭を含め3日間で規模を縮小した昨年より3万人増の21万人(主催者発表)が来場した。

 裁判所前から国道23号を練る大パレードでは小中学生のマーチングバンドや安濃津よさこいの演舞、台湾の華岡芸術学校による先住民族の踊りなどが繰り広げられた。郷土芸能の山車が集結する予定の「安濃津芸能絵巻」は雨で中止した。

 「安濃津丸」ではタレントの須田さんが前葉泰幸市長から櫂を受け取り「出発!」と掛け声。沿道の「亜香里ちゃん」の呼びかけににこやかに手を振った。

 須田さんは昨年末に番組のロケで市内各地を訪れたとして「津の天むすはふんわり握ってあってめちゃくちゃおいしかった。津は都会と緑があるすてきな所」と印象を話した。

https://news.yahoo.co.jp/articles/0f1a4e04fe4fd6b5c8f65ca0be81d0d6a35377ec


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コロンブスデー、先住民族の日 – NBC シカゴの営業時間と休業日のリスト

2023-10-10 | 先住民族関連

classicnews 10月 9, 2023 Arzu

10月9日月曜日はコロンブスデーの連邦祝日であり、現在では多くの州や都市がこの日を先住民族の日として認識している。

ジョー・バイデン大統領、先住民族の日を正式に記念 2021年に。 これを認める州、市、学区が増えています。

2019年、シカゴ教育委員会は、10月の第2月曜日であるコロンブスデーを先住民族の日として学校行事の予定に組み込むことを決議した。

したがって、CPSは月曜日に授業を行いません。 シカゴ市によると、コロンブスデーは祝日として定められており、この祝日の名前を先住民族の日に変更する法案は中止されている。

2017年に先住民族の日を定める法律が可決され、イリノイ州は現在、先住民族の日を9月の最終月曜日と認めている。 2020年、イリノイ州の議員はコロンブスデーの政府の祝日を先住民族の日に変更するよう改めて主張した。

シカゴでは、第 71 回コロンバス デー パレードが正午にワッカー ドライブのステート ストリートで始まります。

休暇が始まるコロンブスデーの営業日と休業日をご紹介します。

銀行

コロンバスデーは連邦準備理事会の祝日とみなされているため、多くの銀行や信用組合は休業となります。 彼らが選択すれば、銀行は連邦準備理事会の休日でも営業することになる。

ほとんどの主要銀行は休業していますが、モバイル サービスやオンライン サービスは引き続きご利用いただけます。 一方、株式市場は終日開いています。 ただし、債券市場は引き続き閉鎖されています。

米国郵便公社

米国郵便公社は月曜日が祝日のため休業となります。 郵便局員も休みのため郵便物の配達もできません。

政府の建物

イリノイ州の州政府施設はこの日閉鎖され、全国の連邦政府の建物も閉鎖される。

図書館は引き続き開館する予定です。

スターバックス、ターゲットなど

ほとんどの小売店、食料品店、レストランは通常通り営業しています。 ただし、出かける前に事前に電話するか、オンラインで時間を確認するのは悪いことではありません。

DMK

イリノイ州国務長官事務所が運営する運転手サービス施設は、祝日のため閉鎖されると同局は発表した。 Webサイト。

学校

一部の学区では授業が行われている場合もあれば、そうでない学区もあります。 シカゴの公立学校はコロンブスデーを祝っていませんが、先住民族の日を認めています。

2019年、シカゴ教育委員会は、学校のカレンダーにコロンブスデー(10月の第2月曜日)を先住民族の日と置き換えることを投票で決定した。

したがって、CPSは月曜日に授業を行いません。 シカゴ市によると、コロンブスデーは祝日として定められており、この祝日の名前を先住民族の日に変更する法案は中止されている。

https://classicnews.jp/コロンブスデー、先住民族の日-nbc-シカゴの営業時/


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逮捕者続出のコロンブス・デーは歴史的根拠ナシ?米紙も指摘する問題

2023-10-10 | 先住民族関連

武将ジャパン2023/10/09

アメリカの祝日に「コロンブス・デー」(10月の第2月曜日)というのがあります。

世界史の教科書に出てくる、クリストファー・コロンブスがアメリカ大陸を発見した事を祝う日なのですが、先住民族からしたら「それって白人中心の歴史観じゃないか」と目の敵にされるなど、一向にめでたくない日になっていたりします。

そんな中で、名門紙のワシントン・ポスト(→link)でも「なんでこの日が休日になっているのか、意味分からん」と問題提起をしています。

そもそも、歴史的な根拠が無いというのですから、少しばかり穏やかではありませんね。

祝日への抗議で逮捕者が

ウィキペディア日本語版によると、この祝日は不祝日とでも言い直した方が良いのかも(→link)。

1911年、オナイダ族インディアンのローラ・コーネリアスや、オマハ族のラ・フレスカ姉妹ら、インディアン女性運動家たちは「アメリカインディアン協会(Society of American Indians)」を設立し、「全米インディアン・デー」を提唱した。

彼女らは「コロンブス・デー」と同日にオハイオ州コロンバスで第一回決起大会を開き、「インディアンが白人のアメリカを発見した日!」とのスローガンを掲げ、この日に抗議した。

現在も反「コロンブス・デー」運動は「アメリカインディアン運動(AIM)」 などに引き継がれ、毎年この日になると全米各地で抗議行進やデモが行われていて、この際多数のインディアンが逮捕されている。

また、この休日の名称そのも のの変更を要求するインディアン団体「コロンブス・デー変更同盟」(The Transform Columbus Day Alliance)も運動を強めている。

つまり、100年も前からずっと物議を醸し、逮捕者も続出している訳です。穏やかで無いですね〜。

そんな中で、当事国の首都で発行されている新聞として座視出来なかったのか、次のような問題提起をしています。

「クリストファー・コロンブスが1492年にアメリカを発見し、ニーニャ、ピンタ、そしてサンタ・マリアの3隻の船は地球が平らではないと最初に証明した…と学校で習った方もおられよう。

ところがだ、実際は違うのだ。

コロンブスはアメリカを発見した訳でも無く、大地が平らではないと証明した訳でも無い。

その上、船の名前だって疑いが持たれているのだ」

と、このように読者の関心を引くような書き出し。

確かに西インド諸島には到達したものの、大陸じゃあ無いでしょと言われれば、そうですよねとなりましょうか。

でも、船の名前が違っているのは初耳だったぞ(汗)。

スペインから大西洋を渡っての遠征は、都合4回行われました。

世界史で習う1492年と、翌年の1493年。そして1498年と1502年です。

歴史的な意義は、大きなものがありました。

ワシントン・ポストでもアメリカ大陸から旧大陸にもたらされた動物や疾病、文化やテクノロジーはコロンビアン・エクスチェンジ(Columbian Exchange=コロンブス交換)などと呼ばれています。

例えば、アメリカ大陸から全世界に広まったのがチョコレートだったりします。

逆にアメリカ大陸にもたらされたのが小麦。有り難くないものが腺ペスト水疱瘡、コレラやマラリアや麻疹や腸チフスなどなど。

こうした病原菌により、それまで住んでいた人達は次々と倒れ、人口は激減してしまいました。

そもそも、北米大陸には寄ってないし

同紙では、コロンブス自身は中央アメリカと南アメリカの海岸には立ち寄ったが、北米に上陸した事は1度も無いと指摘しています。

何よりも、本人は死ぬまで自分はアジアを発見したと思い込んでいた事も見逃していません。

また、US-History.comという歴史サイトを引き合いに出しながら、スペインの副王としてカリブ諸島を残忍な統治をしていたと論じ

「コロンブスを熱心に崇拝する人たちですら、自己中心的かつ残忍かつ強欲で、その上レイシスト(人種差別主義者)だったと認めているぞ」

と畳みかけます。

要するに、「こういう人間的に問題がある人物の名前を付けた祝日ってどうよ?」と言いたいらしい。うーむ。

 

そもそもイタリア人ではないかも?

また、世界史で習う「ジェノバ生まれのイタリア人」というのも、疑問視されているのだそうです。

「えっ?」って感じですよね。

本当はスペインのカタロニア地方の生まれだろうと推定する歴史家もいるからです。

実際、遺骸が埋葬されたのはスペインだったりします。

イタリア生まれなら、故郷のジェノバ当たりに埋葬されてもおかしくない……と、怪しさ満載な人物なのですが、知ってか知らいでか、御輿として担ぎ出したのはイタリア系アメリカ人。

コロンブスがカリブ海の島に最初に上陸した1492年10月12日から300周年を迎えた1792年の10月12日に、こうした人たちが記念日として祝うようになったのが、コロンブス・デーの原型とあいなりました。

更に100年後の1892年、当時のベンジャミン・ハリソン大統領が、コロンブスの航海は勇敢だったとして、10月12日を愛国的な祝祭として奨励する旨の布告を出したそうです(History.comによる)。

そこから45年と、ちょいとばかり半端な年月が経ってから、決定的な機会が訪れます。

当時のフランクリン・デラノ・ルーズベルト大統領が、社会的に大きな影響力を持っていたカトリック団体のナイツ・オブ・コロンブスによる熱心なロビー活動に根負けします。

この団体は、コロンブスはカトリックの英雄であり、10月12日は全国的な祝日とするべきだと猛烈なアタックをかけたのです。そして、とうとう祝日になってしまった訳です。

その後、1971年からは10月の第二月曜日がコロンブス・デーとなります。必ず連休になるようにとの計らいなのでしょう。

同紙でも、ウィキペディアの日本語版以上に、この祝日がめでたくないという状況を把握しています。どうやらウンザリしているらしい。

ポストでは、幾つかの対策例を挙げています。

例えば、サウスダコタ州では先住民族の日と呼ぶようニーニャっていますし、カリフォルニア州のバークレイでは、1992年から土着民の日(→link)とし、カリブ海に上陸した際にいた先住民族を偲ぶ日としています。

この他、アラバマ州では「コロンブス・デーならびにインディアン・ヘリテージ・デー」と折衷的な名称にしています。双方の対立を煽らない為の措置なのでしょう。

ちなみに、オバマ大統領の生まれ育ったハワイでは「ディスカバリー・デー」としているのですって。

地球が丸いと証明した訳では無いし

米国の小学校では、コロンブスは1492年に東インド諸島(今で言う東南アジア)への新しいルートを発見するために船出したと、長年に渡って教えられてきたそうです。

その当時、地球は平らだと考えていた船乗りらは、自分達がどこかに落ちてしまうのではないかと恐れていたとも教えられるとの事。

それが上手く行ったのだから、地球が丸いと証明したのがコロンブスなのだという風に話が行き着いているらしい。

ワシントン・ポストでは、これにも異議を唱えます。

紀元前6世紀にギリシャのピタゴラスが地球は丸いと提唱し、後にはアリストテレスやユークリッドが賛同します。

実際、コロンブスは航海に当たりプトレマイオスの「ゲオグラフィア」という地理についての著作を持っていたそうです。プトレマイオスはローマ時代の地理学者で、地球は丸いと唱えていました。

この他にも、13世紀から16世紀にかけて、地球が球体であるとの議論は欧州であったのですって。

従って、コロンブスも地球が平らなどとは露とも思っていなかったものの、その大きさについては考え違いをしていた(だから西回りでの方がアジアに早く到達出来ると信じ込んでしまった)としています。

同紙では、白人の北米大陸発見者第一号では無いとも指摘しています。

「白人で北米大陸を最初に発見したのはコロンブスより500年前のバイキングだったんだぞ」と書いているからです。

レイフ・エリクソンという名前のバイキングでして、今日のカナダに到達していたとされています。

また、白人と見なすべきかどうかは微妙ですが、フェニキア人が大西洋を遙か昔に渡っていた可能性も指摘されています。

https://bushoojapan.com/world/america/2023/10/09/61073


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コロンブス・デーから先住民の日へ 侵略者たちは何千万人を殺した?

2023-10-10 | 先住民族関連

武将ジャパン2023/10/09

本日10月9日は、アメリカの祝日「コロンブス・デー」です。

1492年10月12日にコロンブスがアメリカ大陸を発見した日だから祝おうという祝日で、米国では毎年10月の第二月曜日に行われています。

しかしこれには疑義が噴出して、議論になっているのをご存知でしょうか。

豊臣秀頼が秀吉の実子でなければ誰の子なの?僧侶かそれとも陰陽師か

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2017年、アメリカ第二の都市ロサンゼルスでも、ついにこの日は「先住民の日」となりました。

この年は南軍の英雄銅像撤去で揉めた年として歴史と記憶に残ることでしょう。

銅像事件にせよ、祝日の変更にせよ、アメリカが歴史的な事件の意義に向き合っている証拠とも言えそうです。

「いくら何でも変更しなくてもいいんじゃない?」

そういう意見もあるでしょうが、ここは冷静に一体コロンブスたちは何をしたのか、考えてみたいと思います。

大陸発見、それは地獄の始まりだった

結局コロンブスの乗ってきた船は何という名前だったのか?

そもそも第一発見者なのか?

そういう話はもはやいろいろあってわからなくなっている、というのはその通りです。

ただ、確かな点はあります。

彼らが原住民にとっては恐ろしい殺人者であり、略奪者であったということ。

鈍器のような石斧や弓矢しかない原住民にとって、鋼鉄の剣とマスケット銃で武装した彼らは恐怖そのものでした。

マスケット銃の命中率は悪く、威力はさほどではありませんでした。

しかし、雷鳴のような音を立てたと思った刹那に人が負傷して倒れるという銃の性能は、それを持たない者にとっては悪魔のような武器であります。

長い航海を経て、原住民の元にたどり着いた欧州人たちがどう考えてふるまったか?

何ヶ月も男だけの船で過ごしてきて、裸同然の原住民女性を見てどうなったか?

想像に難くないことでしょう。

冒険を求めて旅にでた。

たどりついた先には女性、貴金属、簡単に奴隷にできる人々がいた。

彼らにとっての天国は、先住民にとって地獄でした。

真の脅威は病原菌 抵抗なき人たちは次々と……

しかし実のところ、剣も銃も決定的な人口減をもたらしたわけではありません。

アメリカ大陸に持ち込まれたもので原住民にとってもっとも危険であったもの。

それは目に見えない病原菌でした。

・天然痘
・はしか
・かぜ

アメリカ大陸の人々はヨーロッパから持ち込まれた細菌に抵抗がありませんでした。

病は集落を襲い、全滅させるほどの猛威をふるいます。

天然痘患者が使っていた毛布をイギリス人がわざと原住民に渡した、という逸話もあります。

確かにそういう記述が手紙に残されているそうです。

ただし、既に毛布を使った天然痘患者がいたという時点で、原住民は遅かれ早かれ感染したことでしょう。

毛布がそれを早めたであろうことは言うまでもなく、この行為自体は邪悪なものではありますが。

バタバタと斃れ死んでゆく原住民を見て、ヨーロッパ人は納得しました。

「彼らが倒れる病に、我々は抵抗できている。つまり我々は彼らより上位の存在だ」

「これはきっと神の意志である。野蛮な先住民が死に絶えたあと、我々がここを支配しろということだ」

「この地を支配する権利は、神によって与えられたものである」

なんと野蛮な神様もあったものだと嫌味のひとつも言いたくなるのは、私が現代人だからでしょう。

黒人奴隷には同情を示したリンカーン大統領すら、原住民には極めて酷薄な態度を取っています。

そうした背景には「劣る原住民を支配することは神によって証明された権利だから」という考えもあったのでしょう。

犠牲者は最小で200万人 最大で1億人!?

はたして、アメリカ大陸の原住民は、一体何人が犠牲になったのでしょうか?

諸説あわせると最小200万人、最大1億人とされているそうです。

数字の幅が広すぎるがため「信憑性ないじゃん」というのもまた違います。

この算出が、なかなか難しいのです。

というのも、ヨーロッパ人が来る前に一体人口がどれほどであったか。

それが把握しづらいからで、おおよそ4000万人程度、というのが現在最も支持される数値です。

これが減少し続け、500万人で底を打ちました。

つまりはマイナス3500万人。

仮に元の人口が1000万人だったら500万人、1億人だったら9500万人の減少ですね。

いずれにせよ途方もない数の死者が出たのは間違いないでしょう。

「原住民が死に絶えると言うことは、神がこの土地を支配する権利を与えたのだ」

そんな当時の欧州人の考え方は、どう見たって許されたものじゃありません。

ゆえに「コロンブス・デー」の変更は妥当ではないか。個人的にはそう思います。

https://bushoojapan.com/world/america/2023/10/09/104986


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大阪万博のオーストラリア館「年内にも建設申請」

2023-10-10 | 先住民族関連

日本経済新聞2023年10月9日 13:14 [会員限定記事]

【メルボルン=今橋瑠璃華】2025年国際博覧会(大阪・関西万博)のオーストラリア館政府代表を務めるナンシー・ゴードン氏は9日、日本経済新聞の取材に応じ「年内にパビリオン建設の申請書類提出を目指す」と述べた。出展を再生可能エネルギーの導入促進などの機会につなげる考えだ。

海外パビリオン建設を巡っては、8月末時点で着工に必要な申請書類を提出したのは韓国とチェコ、モナコの3カ国にとどまる。豪州は202...

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残り464文字

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGM090CO0Z01C23A0000000/


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核心を突いた『ウルトラセブン』の名言4選 50年超前の作品から学ぶ“生きる教訓”

2023-10-10 | ウチナー・沖縄

エンカウント2023.10.09

2022年に放送開始55周年を迎えた『ウルトラセブン』は、自らが異星人でありながらも、地球を守るために異星人たちと戦うヒーローだ。セブンの戦闘シーンや葛藤を描いたエピソードは、多くのファンに影響を与えているだろう。今回は『ウルトラセブン』のエピソードから、今でも考えさせられる名言を紹介しよう。

多くのファンに影響を与えた言葉たち

 2022年に放送開始55周年を迎えた『ウルトラセブン』は、自らが異星人でありながらも、地球を守るために異星人たちと戦うヒーローだ。セブンの戦闘シーンや葛藤を描いたエピソードは、多くのファンに影響を与えているだろう。今回は『ウルトラセブン』のエピソードから、今でも考えさせられる名言を紹介しよう。

○「皆、何を疑ってるんだ。まず、相手を信じることです」

 第15話「ウルトラ警備隊西へ(後編)」にて、主人公のモロボシ・ダンが仲間に対し、異星人撃退の研究を中止させるために放った名言だ。ダンは、異星人に地球から退却してもらう条件として、研究の停止を約束していた。しかし、異星人はダンを裏切り攻撃を再開してしまうのだ。ダンの思いは無駄だったのだろうか。この名言は、現代を生きる我々に対して、仲間や社会を「疑って生きているか?」「信じて生きているか?」と問いかけているかのようにも感じる。

○「大きな勇気とたゆまぬ努力が必要だ」

 同セリフは、第28話「700キロを突っ走れ!」での、侵略しようとする異星人から地球を守る「ウルトラ警備隊」の心情が伝わってくる名言だ。爆発に対してトラウマを持つアマギ隊員が、時限爆弾解除に挑み、トラウマを解消するストーリーを総括した言葉といえるだろう。この言葉から、ささやかな力しかなくとも、目的を達成するためには、勇気をもって努力を怠らないことが大切だと教えられた。

○「よし、未知の世界に挑むぞ」

 第31話「悪魔の住む花」でダンが放ったこの発言は、宇宙細菌が侵入した少女を救うために、ウルトラセブンに変身したダンが身体をミクロ化して少女の体内に潜入するシーンで見られた。よく「人間は変化を嫌う生き物」と言われるが、未知の世界に挑むには、変化を嫌うという人間の性質を乗り越えなければならない。宇宙細菌ダリーを倒すため、自身をミクロ化させて戦うという危険な賭けに出たダンの心境がうかがえる言葉だ。目まぐるしく変化の起こる現代において、同セリフから滲み出るダンの勇気ある決断力は、社会で生き抜くために重要な要素ではないだろうか。

○「僕は戦わなければならないんだ」

 第42話「ノンマルトの使者」でセブンの放ったこの名言には、正義とは何かを考えさせられた。ダンの前に現れた少年は、「かつて地球には先住民ノンマルトがいて、現在の地球人によって海底に追いやられた」と話す。続けて、ノンマルトが事件を起こすことを示唆する内容も語った。地球人がノンマルトを追いやったかどうかは謎だが、事件を起こしている以上、ダンは戦わなければならない。一方で「戦わなければならない」という部分から、ダンは葛藤を抱きつつも、貫き通さなければならない正義を表現したのではないだろうか。

 今回紹介した4つの名言は、セブンから今を生きる人たちに向けたメッセージかと思えるような内容だ。偉人の言葉から学ぶことができるように、55年以上前の名作『ウルトラセブン』の名言からも学びを得て生かしてみるのもいいだろう。

https://encount.press/archives/521466/


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先住民巡り国論二分 問われる「迫害」「統治」 豪国民投票☆1

2023-10-10 | 先住民族関連

時事通信10/9(月) 7:33配信

弁護士で先住民活動家のティーラ・リード氏(本人提供)

 オーストラリアで14日、先住民の地位を明確にし、代表機関を創設する憲法改正の是非を問う国民投票が行われる。

【写真】イベントで煙を使った儀式を行うオーストラリアの先住民

 先住民迫害の歴史や国の統治の在り方を巡る論争が激化。国論を二分する様相を呈している。賛否両派の法律家に見解を尋ねるとともに、期日前投票所で有権者の思いを探った。

 ◇歴史の過ち正す機会=ティーラ・リード氏

 ―なぜ先住民の地位を憲法で定める必要があるのか。

 オーストラリアは先住民のアボリジニとトレス海峡諸島民を正式に承認するプロセスを経ていない。ニュージーランドやカナダなど他の民主主義国が先住民の存在を認め、条約を結んだのとは異なる。憲法で承認するという考え方は、何十年も議論され、先住民が受け入れ可能なものだ。

 ―先住民の代表機関を置くことは法の下の平等と相いれるか。

 何も先住民に特権を与えるわけではない。英国による植民地支配後、先住民は虐殺され、土地や財産を収奪された。先住民にとって法は正義を実現してこなかった。代表機関を置くことは、先住民にとっても国全体にとってもより良い法律や政策を実現しようとする上で現実的な解決策であり、歴史の過ちを正す機会になる。

 ―代表機関が強大な権力を持つことへの懸念も出ている。

 代表機関の機能を設計する権限は議会にあると改憲案に明記されている。最終的に責任を持つのは国民を代表する議会だ。改憲案は健全で穏健だ。「代表機関は潜水艦から駐車違反まで介入する」という反対派の主張は、議論を混乱させて改憲を頓挫させようとする戦術だ。教育、雇用、水道、住宅など先住民の生活をどう充実させるかが解決すべき問題であり、潜水艦の配備とは何の関係もない。

 ―先住民と非先住民との経済的格差の解消が課題となる。

 代表機関ができれば格差を縮める機会となる。250超の先住民コミュニティーの声に耳を傾けることが重要だ。これまで先住民政策は、ある政権が前向きに取り組みだしても、選挙で政権が代わると後退し、政治的なフットボールのようだった。これでは不安定だから、憲法で明確に位置付け、安定性と一貫性を持たせようとしている。

 ―世論調査では賛成は劣勢だが。

 大多数の豪国民は中庸で、善良かつ公正な心を持った人たちだ。彼らは投票直前か当日に決断を下すだろう。

 ◇ティーラ・リード氏

 弁護士、先住民活動家、著述家。ニューサウスウェールズ大院修了(法学博士)。改憲を建議した2017年の先住民声明の策定に参画。37歳。

(続)。 

https://news.yahoo.co.jp/articles/c206cca698369faddaa5dfec0022e539910a5d97


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