先住民族関連ニュース

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<社説>杉田氏人権侵犯 自民党は容認するのか

2023-10-27 | アイヌ民族関連

北海道新聞2023年10月27日 05:00

 自民党の杉田水脈衆院議員がブログに投稿したアイヌ民族などへの差別発言を、大阪法務局が「人権侵犯」と認定した。札幌法務局に続く2例目で、異例の事態だ。

 杉田氏は投稿が差別だったといまだに認めていない。それどころか、法務局に救済を申し立てた被害者に不快感を示した。

 ネットには杉田氏を支持してアイヌ民族などを中傷する投稿が今も続く。杉田氏は差別を助長しているに等しく、もはや国会議員の適性がないと言わざるを得ない。

 自民党は、その杉田氏を環境部会長代理に起用した。人権侵犯を容認したと見られても仕方あるまい。アイヌ民族政策に取り組む姿勢が疑われよう。

 党総裁の岸田文雄首相は事態を重く受け止めて、杉田氏に毅然(きぜん)とした態度を示すべきだ。

 杉田氏は2016年、国連女性差別撤廃委員会に参加したアイヌ民族や在日コリアンの女性を「品格に問題がある」「日本国の恥さらし」と侮蔑する投稿をした。

 どちらも民族の尊厳を著しくおとしめる内容で、看過できない。

 アイヌ民族の女性は札幌法務局に、在日コリアンの女性は大阪法務局に救済を求めた。法務局は訴えを認め、杉田氏に人権尊重の理解を深めるよう「啓発」をした。

 杉田氏は差別の認識が「全くない」と話すが、言われた側が差別だと訴え、公の機関も認定した。

 謙虚に受け止めねばならないが、認定後も「投稿は既に削除し謝罪している。(認定に対する)コメントは何もない」などと繰り返すのみである。

 一方、ネット上に「申し立てた方々がマスコミに説明しているのも解せませんが」と投稿した。非公表の人権侵犯調査を申立人が口外したとみて不満を示した形だ。

 事の発端は自身がブログで世間に広めた書き込みである。被害者がいわれなき中傷からの名誉回復を訴える行為を、差別した側が批判するとは筋違いも甚だしい。

 ・・・・・・

https://www.hokkaido-np.co.jp/article/931800/


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郷土色豊かな舞踊楽しんで 恵庭で29日に「民俗芸能大会」

2023-10-27 | アイヌ民族関連

会員限定記事

北海道新聞2023年10月26日 22:43

恵庭では初開催となる「北海道・東北ブロック民俗芸能大会」のポスター

 【恵庭】各地の風土や人々の営みから生まれた民俗芸能を披露する「第65回北海道・東北ブロック民俗芸能大会」が29日、恵庭市民会館(新町)で開かれる。道内と東北の8団体が集まり、郷土に伝わる舞踊などを披露する。

 1959年から北海道と東北6県で持ち回りで開催しており、今年は道教委などでつくる実行委が主催する。道内は9年ぶり、恵庭では初めての開催となる。

 道内2団体と東北6団体の計約100人が出演する。北海道からは恵庭すずらん踊り(恵庭すずらん踊り保存会)と、アイヌ古式舞踊(千歳アイヌ文化伝承保存会)が披露される。

・・・・・・

 午前9時半開会式、同10時開演、午後3時終演。入場無料。問い合わせは同課、電話011・204・5749へ。(伊藤凱)

 その他の演目は次の通り。

 ▽嘉瀬奴踊(青森)▽八木巻神楽(岩手)▽崎浜大漁唄込(宮城)▽鍋倉ばやし(秋田)▽鮭川歌舞伎(山形)▽柳津の大神楽(福島)

https://www.hokkaido-np.co.jp/article/931811/


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アイヌ文化研究や人材育成へ 白老・国立博物館と室工大が連携協定

2023-10-27 | アイヌ民族関連

会員限定記事

北海道新聞2023年10月26日 21:04

協定書を交わす佐々木館長(左)と空閑学長

 【白老】胆振管内白老町の「民族共生象徴空間(ウポポイ)」の中核施設である国立アイヌ民族博物館と、室蘭工業大は26日、アイヌ文化の研究や人材育成に共同で取り組むため、包括連携協定を結んだ。

 博物館が協定を結ぶのは3例目。アイヌ民族が利用した植物の機能性の解析など理工学の知見を生かした研究を進める。研究者の相互交流や授業の実施、博物館での研究成果の展示も検討する。

・・・・・・

(小林彩乃)

https://www.hokkaido-np.co.jp/article/931706/


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アイヌ題材、無意識の差別描く 帯広出身八鍬さん舞台

2023-10-27 | アイヌ民族関連

十勝毎日新聞2023/10/26 13:29

 八鍬さんが代表を務める舞台制作団体「wonder×works」の公演。京助は明治から昭和にかけて言語学や国語学の発展に尽力、アイヌ叙事詩(ユーカラ)の発見と研究は民俗学にも影響を与えた。24歳で先...

●この記事は会員限定です。

https://kachimai.jp/article/index.php?no=596339


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対ロシア、徳川家康が北方開発進めていれば…オホーツク海は日本の内海に 理解に苦しむ保守派の「鎖国は賢明」

2023-10-27 | アイヌ民族関連

夕刊フジ2023.10/26 11:00

「鎖国」で世界の進歩に後れを取った江戸幕府は火縄銃で黒船に対峙(たいじ)したが、世界情勢や国際法の知識もなく、本州・四国・九州と北海道の一部に閉じ籠もり、欧米の領土獲得競争の埒外(らちがい)にあった。

竹島問題も日本人が住んでいた鬱陵(うつりょう)島を朝鮮に譲ったのが遠因だし、沖縄も島津氏の保護だけに留めたから苦労した。

北方では、平安時代に青森県東南部まで支配下にした。ただ、意識としては平家物語に千島(列島)が出ているし、松前藩はカムチャツカや樺太も所領としていた。アイヌの間接支配で満足し、鎖国で国際情勢も寒冷地での防寒も学ばなかった。

ロシアは16世紀末からシベリアに進み、1648年にオホーツク海に達した。清の康煕帝は89年、ロシアのピョートル1世とのネルチンスク条約で、ロシアを樺太の北端よりさらに北に封じ込めた。

ところが、江戸幕府はロシアの動向すら知らず、1771年にカムチャツカに抑留されていたポーランドの軍人、モーリツ・ベニョヴスキーが脱出して日本に立ち寄ってロシア進出を知った。

江戸中期の老中、田沼意次は蝦夷地開発を進めた。だが、後任の老中、松平定信は林子平の『海国兵談』を発禁にしたり、蝦夷地開発はロシアを誘い込むとして遅らせるなど迷走した。

北方に派遣された松前藩、幕府、東北諸藩の少数の現場の武士は慣れない土地で奮闘したものの、その場しのぎだった。

ペリー来航(1853年)後、日米和親条約(54年)で200年以上続いた鎖国政策は終わる。翌55年、日露和親条約で、択捉島より北はロシア、樺太は雑居地としたがロシアの進出が圧倒的で、樺太・千島交換条約で樺太は放棄した。

古代日本は、朝鮮での「任那復興」をあきらめたのち、北方開発に全力を挙げた。徳川家康が北方開発を進めて鎖国もしなければ、オホーツク海は日本の内海だったのではないか。

このあたり、専守防衛と憲法9条で国が守れるという哲学と通じるが、最近の保守派の多くまでが「鎖国は賢明な政策だった」というのは、理解に苦しむ。 (評論家・八幡和郎)

https://www.zakzak.co.jp/article/20231026-B7ZXVM3BONLRFH2LTDHHLXJWLU/


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オホーツク国際フェスタ

2023-10-27 | アイヌ民族関連

JICA北海道2023.10/26

日時:2023年11月18日(土曜日) 10:00~15:00 

会場:北見市民会館(小ホール、4号室、和室、実習室)
主催:JICA北海道センター(帯広)/JICA北見デスク 協力:
アジアン雑貨みなみな、いろはの会、オホーツク農村漁村活用体験型ツーリズム推進協議会connectrip、(株)管野組、JAきたみらい、青年海外協力協会(JOCA)、竹村茶道教室、Chemchem ya Amani Tanzania 後援:
オホーツク総合振興局、北見市

北見市で異文化体験!

オホーツク地域では多くの外国人材が産業を支えています。多様な方々が共に暮らす「多文化共生社会」の構築に向けて、お互いの文化を知っていただきたいと考えています。
海外の文化、日本の文化、それぞれを体験できるプログラムを用意しています。
併せて、無料映画上映会やJICA海外協力隊募集説明会も実施いたします。
入場無料で入退場も自由です。
ぜひお気軽に足をお運びください!

■□プログラム□■
●海外文化体験
 ・ブラジルのパン「ポンデケージョ」作り
(要事前申込 https://forms.office.com/r/NGLrBW4ZrA ※定員に達し次第〆切)
 ・留学生との交流ブース
 ・海外雑貨販売、NGO活動展示
 ・コーヒーやお菓子の試飲・試食
●日本文化体験
 ・折り紙ワークショップ
 ・茶道体験
(要事前申込 https://forms.office.com/r/VMwQv5ZduF ※11/13(月)〆切)
 ・書道体験
●音楽ライブ
 ・10:15~ アイヌ楽器(トンコリ、ムックリ)×電子音楽 Towa Ainutronica
 ・11:00~ アフリカ楽器バンド
●写真展示
 ・オホーツクで活躍する外国人材写真展
 ・JICA海外協力隊活動写真展
●無料映画上映会 11:00~12:30
 ・「戦火のランナー」
 映画概要はこちら
(席に限り有り、事前申込推奨 https://forms.office.com/r/wLhQGade1w
 ※空きがあれば当日参加も可能です
●JICA海外協力隊募集説明会 13:00~15:00
 ・経験者からの体験談
 ・現地派遣中隊員とのオンライン中継
 ※個別相談はイベントの間いつでも可能です
●その他
 ・スタンプラリー
 ・無料わたあめ配布
 ・電動キックボード体験

  • お問い合わせ:
    独立行政法人国際協力機構(JICA)/北見デスク 電話番号:
    080-9525-1332 Eメール:
    jica_kitami_desk@jica.go.jp

https://www.jica.go.jp/domestic/obihiro/information/event/1518419_23958.html


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【追加発表】 MCにキャスター・ジャーナリストとして活躍中の「安藤優子」氏が決定! 

2023-10-27 | 先住民族関連

「SDGsグローバルガバナンスサミット2023」SDGsを達成し、世界平和のルールづくりを考える記念すべきサミットを初開催。

一般社団法人ユナイテッド・ピース・インターナショナル2023年10月26日 22時58分

国境を越えた地球レベルでの新たなグローバルガバナンスの構築を通じて、戦争のない平和な世界の創造を目的とする一般社団法人ユナイテッド・ピース・インターナショナル(UPI)は、この度、6名のノーベル平和賞受賞者に賛同を得て、SDGsを達成し世界平和のルールづくりを考える第一歩となる記念イベント「SDGsグローバルガバナンスサミット2023」(後援:外務省)を以下の通り開催いたします。

*日 時: 2023年11月6日(月)13:00~18:00

*場 所: セルリアンタワー東急ホテル(渋谷区桜ヶ丘町)

*後 援: 外務省

*参加費: 無料

*申込URL:https://eventregist.com/e/globalgovernance2023

 この度、記念すべき本サミットのMCに、バイリンガルで誠実な報道姿勢に定評がある安藤優子氏を起用することが決定いたしましたので、お知らせいたします。

【プロフィール】 初めての報道番組テレビ朝日系の「今、世界は」では主に“連帯”発足当時のポーランド、ソビエト連邦、フィリピンの米軍基地潜入ルポ、アメリカ日系一世の記録などの取材レポートを担当する。 続く「TVスクープ」でも、ロッキード裁判に揺れる越山会を始めとする国内取材、また、民放連賞を受賞した「写真の中のベトナム戦争」(昭和60年)では、レポーターを担当。昭和61年5月には、テレビ朝日系「ニュースステーション」のフィリピン報道で、ギャラクシー賞個人奨励賞を受賞。 その後はフジテレビ報道と契約。1987年から連日のニュース番組の生放送でキャスターとして取材、放送を手掛けてきた。 フジテレビ系では「スーパータイム」「ニュースJAPAN」「スーパーニュース」を経て、平成27年3月30日から同系の「直撃LIVE グッディ!」MCに。(2020年9月にて終了) 2023年より椙山女子学園客員教授に就任。

「SDGsグローバルガバナンスサミット2023」特設サイト

https://www.globalgovernance.io/

●「SDGsグローバルガバナンスサミット2023」開催概要●

 国際情勢が激変する中、戦争や温暖化をはじめ地球規模で直面する人類共通の困難に対し、私たち一人ひとりが世界平和のルールを考えるキックオフイベントとして開催するもので、持続可能な社会の実現に向けた洞察と具体的な戦略について、多くの方と共有して参ります。

 当該ノーベル平和賞受賞者6名が来日し、一堂に会する機会は今回初めてのことであり、貴重な講演とともに、世界平和に向けた重要な提言を行います。

  1. 日 時: 2023 年11 月 6 日(月)13:00~18:00

  2. 主 催: 一般社団法人ユナイテッド・ピース・インターナショナル

  3. 後 援: 外務省 

  4. 協 賛: サニーヘルス株式会社

  5. 会 場: セルリアンタワー東急ホテル ※JR「渋谷」駅 徒歩5分

  6. 登 壇: ジョディ・ウィリアムズ 1997年度ノーベル平和賞受賞

  (順不同)  レイマ・ボウィ 2011年度ノーベル平和賞受賞

        タワックル・カーマン  2011年度ノーベル平和賞受賞

        カイラシュ・サティヤルティ 2014年度ノーベル平和賞受賞

        シリン・エバディ 2003年度ノーベル平和賞受賞

        リゴベルタ・メンチュ・タム 1992年度ノーベル平和賞受賞

        ※ ゲストスピーカーの都合により、予告なく変更される場合があります。

  7. 内 容: ノーベル平和賞受賞者6名とのシンポジウム ※内容は決まり次第、随時更新いたします。

  8. 来場者: 1,000名 ※本イベントの来場は抽選となります。

  9. 参加費: 無料

10. 一般問合せ先: info@upi.or.jp (担当:伊東)

11. 申込URL: https://eventregist.com/e/globalgovernance2023

https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000004.000130238.html


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Cover Story:メキシコのヒトのゲノミクス:バイオバンクによって得られたメキシコの多様な集団の遺伝子に関する知見

2023-10-27 | 先住民族関連

Nature 2023年10月26日 

表紙は、ウイチョル族先住民の絵画に着想を得て描かれた、メキシコの遺伝的多様性を反映したデータに基づくメキシコの地図である。今回A Moreno-Estradaたちは、メキシコバイオバンクプロジェクトの初期の成果を提示している。著者たちは、全国的なデータベースを作るために、メキシコの32州全ての6057人の遺伝子型を決定し、先住民コミュニティーの代表が含まれていることを確認した。そして、このデータを用いて、22の複雑形質のゲノム規模関連解析を行い、ポリジェニックスコアによって疾患の発症リスクがどの程度正確に予測できるかを評価した。もう1報の論文でJ Marchiniたちは、メキシコシティーの2つの地区の成人14万人の遺伝子型と遺伝子配列を決定したMexico City Prospective Studyから得られた結果を示している。今回の2報の論文をまとめると、メキシコの人々の遺伝的来歴が明らかになり、疾患の遺伝的リスクに関する知見が得られている。

以下、ファイル添付省略

http://www.natureasia.com/ja-jp/nature/highlights/123367


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「フランク・ロイド・ライト 世界を結ぶ建築」(豊田市美術館レポート)。最新研究が明かす新たなライト像とその現代性が明らかに

2023-10-27 | 先住民族関連

東京アートビート2023年10月26日

3館で開催される回顧展。会期は豊田市美術館 10月21日~12月24日、パナソニック汐留美術館 2024年1月11日~3月10日、青森県立美術館 2024年3月20日~5月12日

四半世紀ぶりの回顧展

アメリカ近代建築の巨匠フランク・ロイド・ライト(1867~1959)。その仕事の全貌を、新たな研究結果をふまえてたどる回顧展「フランク・ロイド・ライト 世界を結ぶ建築」豊田市美術館で開幕した。会期は12月24日まで。その後巡回し、パナソニック汐留美術館で2024年1月11日~3月10日、青森県立美術館で2024年3月20日~5月12日に開催される。

日本でのライトの回顧展は四半世紀ぶりで、ライトが手がけた帝国ホテル二代目本館の竣工100周年という記念すべき年に開催される。ライトは自然と人間が共生する「有機的建築」を提唱し、「落水荘」「グッゲンハイム美術館」で知られるが、日本とも深い縁で結ばれた建築家だ。

本展は監修にケン・タダシ・オオシマ(ワシントン大学建築学部教授)、特別アドヴァイザーにシジェニファー・グレイ(フランク・ロイド・ライト財団副代表、タリアセン・インスティテュート・ディレクター)を迎え、グローバル・アーキテクトの先駆としてライトを紹介する。

テーマごとに7つの章が立てられた構成。2012年にフランク・ロイド・ライト財団から5万点を超える資料がニューヨーク近代美術館とコロンビア大学エイヴリー建築美術図書館に移管されたが、このなかに含まれる図面などの貴重な資料に加え、豊田市美術館が持つ美しい家具等のコレクションも並ぶ。

浮世絵ディーラーでもあったライト

「SECTION 1モダン誕生 シカゴ─東京、浮世絵的世界観」では、ライトが建築家として歩み始めた時期に焦点を当て、師であるルイス・サリヴァンからの影響や、1871年に移住したシカゴの近代都市としての在りようがその後の帝国ホテルのデザインに結びついたことなどを紹介。

興味深いのは、日本文化、とくに浮世絵への傾倒だ。ジャポニスムの時代である1893年のシカゴ万博をきっかけに日本のデザイン文化に深い関心を寄せるようになったライトは、浮世絵に魅了され見識を深めていく。なかでも歌川広重は特別で、そこに描かれた自然の景色に共鳴を示した。1905年に7週間に及ぶ日本旅行をした際には数百枚に及ぶ広重の浮世絵をシカゴに持ち帰り、コレクターかつディーラーとしても手腕を発揮した。施主たちにも浮世絵を飾るように勧め、浮世絵を見せるのに適した展示空間に注力して設計するなど、その浮世絵愛は建築家としての仕事にも大きな影響を与えた。

「SECTION 2『輝ける眉』からの眺望」は、「有機的建築」で知られるライトの、建築を撮り囲む自然環境へのアプローチについて目を向ける。建物の高さを抑えて水平線を強調し、部屋同士をひとつの空間として緩やかにつないだ、ライトの「プレイリー・スタイル」による住宅建築が数多く紹介されるのがこのセクションだ。

自然環境へのアプローチという点で注目すべきは、たとえばイリノイ州の「クーンリー邸」(1906~09)と「ブース邸計画案」(1911)だ。庭園設計では、気鋭の造園化ジェンス・ジェンセンと共同作業を行い、在来植物と外来植物の群生や不規則なかたちのプールを含む特徴的なランドスケープを生み出した。

また水はライトの仕事において重要な要素であり、代表作として名高い「落水荘」こと「エドガー・カウフマン邸」(1934~37)は、その象徴的な例だろう。

ライトと協働し影響を与えた、フェミニストや女性活動家たち

「SECTION 3 進歩主義教育の環境をつくる」は、最新研究による新たなライト像が示された興味深いセクションだ。ライトの施主、同僚、友人の多くを占めるのが女性たちであり、フェミニストや専門家の女性たちとの関わりや協働に光が当てられている。

なかでもライトと女性たちは、先進的な教育の場の創造に深く関わってきた。母方の一族ロイド・ジョーンズ家は進歩的な教育理論を推進しており、ライトの母も1840年に世界で初めて幼稚園を作ったドイツ人・フリードリヒ・フレーベルの教育法を取り入れて息子を育てた。また1886年には叔母たちがウィスコンシン州にヒルサイド・ホームスクールという先駆的教育機関を設立。こうした環境にあって、ライトも「教育こそ民主主義の基本である」という信条を持つに至ったようだ。

ヒルサイド・ホームスクールがあった場所は、その後1911年にライトが自宅兼アトリエである「タリアセン」を建設しており、ライトはこのなかに一種の学校であるタリアセン・フェローシップを作っている。32年にできたタリアセン・フェローシップには日本からも建築家たちがやってきて滞在し、ライトに師事した。また、それ以前に住んでいたイリノイ州の自邸にもライトは1895年に大きなプレイルームを増築し、最初の妻キャサリン・トビンが幼稚園クラスを開いていた。

叔母たちのコミュニティに属する女性たちのほか、クーンリー邸の施主であるクィーン・フェリー・クーンリーも大きな存在だ。彼女はシカゴ郊外にいくつかの幼稚園を設立し、ライト設計の「クーンリー・プレイハウス幼稚園」(1911)もそのひとつ。本展ではここで使用された美しい窓ガラスが展示されている。

もうひとり、ライトの人生にとって重要な女性がメイマー・ボートン・ボスウィックだ。メイマーに関してはこれまで、スキャンダラスなライトの女性遍歴の中心人物として語られることが大半だった。そのストーリーは、メイマーはもともとライトの施主の妻であり、ふたりはダブル不倫関係となりヨーロッパへ駆け落ち。このことがライトの名声を失落させ設計依頼が激減したが、ライトは帰国後メイマーとの新居としてタリアセンを設計。しかしライトが不在の折に、この自邸でメイマーを含む7人が使用人に殺害される悲劇が起こる……というもの。

こうした語りからこぼれ落ちてきた要素として、本展はメイマーを進歩的なフェミニストとして紹介。ミシガン大学で修士号を取得し、ライトとともにスウェーデンの女性運動家エレン・ケイの思想と著作をアメリカに伝えるという大きな役割を果たしたという。

また1985~1909年までライトのスタジオでシニアデザイナーを務めていたマリオン・マホニーが、ライトの仕事のなかで重要な役割を果たしてきたことや、彼女がジェンダー平等や進歩主義教育の推進に関わるコミュニティに属していたことなども取り上げられている。

このように、これまで「近代建築の巨匠」の影に隠されたり添え物として扱われてきた女性たちの思想と仕事に光が当てられたことは、本展のハイライトのひとつだと言えるだろう。

帝国ホテル:東洋と西洋

「SECTION 4 交差する世界に建つ帝国ホテル」では、二代目本館をライトが手がけた帝国ホテルに関する章だ。ライトは1913年に調査等のため東京に約4ヶ月滞在してから、その後10年かけて帝国ホテルの設計を段階的に行った。

このホテルのデザイン・ソ―スには、以前ライトが目にした東本願寺名古屋別院などの日本の建築のほか、ライトの写真コレクションからメソアメリカやインドネシアの遺跡なども含まれると考えられるそうだ。また、ライトは帝国ホテルの仕事と同時にシカゴの「ミッドウェイ・ガーデンズ」にも取り組んでおり、東京とシカゴの仕事を往復することで様々な文化的意匠の引用や翻訳が双方にもたらされた。

しかし工事は遅れや費用の倍増といった問題から、1922年7月にライトは帝国ホテルの仕事から解雇されてしまう。その跡を継いだのは、かつてライトのもとで学び、その後は日本での仕事を片腕として担ってきた遠藤新ら日本の建築家たちだった。

いよいよ開業を迎えたその日(1923年9月1日)、関東大震災が東京を襲い、帝国ホテルも被害を受けた。会場では、帝国ホテルの図面や家具などに加え、関東大震災に関する資料も合わせて展示されている。

現在では建て替えられてしまった帝国ホテルだが、かつての正面ロビー部分は愛知県の博物館明治村に移築されているので、本展と合わせて訪れるのもおすすめだ。

今日とも共鳴する、グローバルで未来的な視点

そろそろ展示も後半だ。「SECTION 5 ミクロ/マクロのダイナミックな振幅」では、1930年代に始まるライトの代表的な様式による「ユーソニアン住宅」の原寸モデル展示があり、実際にドアを潜ったり椅子に腰掛けたりと、空間を体験できるのが楽しい。

もっともよく知られた建築のひとつ、「グッゲンハイム美術館」(1943~59)に関する展示もこのセクションだ。

「SECTION 6 上昇する建築と環境の向上」では、垂直志向の高まるライトの建築プランを見ることができる。なかにはエンパイアステートビルの4倍以上となる528階建ての「マイル・ハイ・イリノイ計画案」など、現在からしても想像を絶するプランもあるが、たとえばオクラホマ州の「プライス・タワー」(1956)のように実現に至ったビルもある。これは伊藤若冲の熱心なコレクターで知られるジョー・プライスが父親にライトを紹介し、仲介役を担ったことで実現したプライス家のオフィスビル兼住居だ。

「SECTION 7 多様な文化との邂逅」は、ここまでも随所に見られた、ライトの多文化への関心と邂逅にさらに迫る内容。たとえばアメリカ先住民族の文化への関心や、イスラム文化圏での「大バグダッド計画」(1957)のような未来的な都市計画が紹介される。

ライトのラディカルな都市構想として「ブロードエーカーシティ」がある。これは郊外に位置するユートピアコミュニティ的なもので、テレコミュニケーションや自動車・飛行機の技術的発達を土台に、農村と都市が融合し、人々が自給自足しながら仕事と生活をするような新しい都市の在り方を提示するものだった。ブロードエーカーシティ自体は構想にとどまるものの、こうした都市に関するライトの思想は、パンデミックによって「新しい生活様式」が喧伝され、気候危機が問題視される現代にも、通じるものがあるのではないだろうか。

会場にはブロードエーカーシティを立体的に体感できる、CGアニメーションによる映像インスタレーションも用意されている。

本展はこのように、ライトをかつての巨匠として歴史の1ページに刻むのみならず、その仕事や思想を現代社会の課題に対する提言として読み取ろうとする意欲的なものだ。ぜひ貴重な回顧展に足を運んでみてほしい。

https://www.tokyoartbeat.com/articles/-/frank-lloyd-wright-report-202310


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《ブラジル》アマゾン川の底から古代遺産=干ばつで2千年前の岩絵出現

2023-10-27 | 先住民族関連

ブラジル日報10/26(木) 7:26配信

発見された岩絵(24日付エストラ・サイトの記事の一部)

 アマゾン川の主要な支流であるネグロ川とソリモンエス川の合流点に近いポント・ダス・ラジェスで、約2千年前に彫られた岩絵が数十点発見された。これは、アマゾナス州北部で記録的な干ばつが続き、水位が著しく下がったために露出したもので、人間の顔や水、動物が描かれた歴史的遺産に大きな注目が集まっている。24日付エストラなどが報じている。

 16日、ネグロ川の水位は13・59メートルまで下がり、測定が開始された1902年以降、121年ぶりの最低レベルを記録した。岩絵は水中にあったために良い状態で保存されていたと見られている。

 この岩絵は2010年に初めて発見されたが、今年の干ばつは特に厳しく、極端な水位の低下で岩や砂の領域が露出し、再び姿を現したとのこと。

 専門家たちの注目を集めたのは、人間の顔の珍しい描写だ。斧で彫られたやや四角い顔には口があるが、鼻がないものもある。

 国立歴史美術遺産院(Iphan)の考古学者ジャイメ・オリヴェイラ氏は、この岩絵を幸福と悲しみの両方を伝える「複雑なグラフィックアート」であると説明する。一説によると、さまざまな喜びや悲しみの表情は、捕食者と獲物を表しているという。

 あるエリアでは、岩に滑らかな彫刻が施されており、これはヨーロッパ人が到着するずっと前に、先住民が矢や槍を研いでいた場所だと考えられている。

 歴史学者で同機関メンバーのベアトリス・カルネイロ氏は、この歴史的遺産が同地域に居住していた初期の民族を理解するために、「計り知れない価値」を持つと強調した。

 岩絵の出現は専門家を始め、多くの人々を魅了している一方で、同地域の何十万人もの住民が困難な状況に直面しており、そこには明確な対照が存在する。

 27年間マナウス市で暮らすリヴィア・リベイロさんは、「私たちはここに来て、見て、美しいと感じることができるが、多くの住民は困窮している。この川が50年後、100年後に存在しているかどうかも気掛かりだ」と述べた。

 急激に下がった水位により、この地域の交通や生活用水に重要な水路の影響を受けている。普段は活気ある川岸が荒れ地と化し、立ち往生したボートが点在し、政府はこの地域に緊急援助を送った。

 専門家によると、エルニーニョと気候変動の影響により、アマゾンの乾季は今年悪化しているという。

https://news.yahoo.co.jp/articles/880102e7175d25c866ea155c13b2f09428054c07


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森美術館開館20周年記念展「私たちのエコロジー:地球という惑星を生きるために」開幕

2023-10-27 | 先住民族関連

エレミニスト2023.10.26

東京・六本木の森美術館が開館20周年を記念した展示イベント「私たちのエコロジー:地球という惑星を生きるために」を開催している。この記念展では、国内外のアーティスト34名による歴史的な作品から新作まで多様な表現約100点を、4つの章に分けて紹介する。

森美術館の20周年を記念し国内外アーティストの作品が集結

Photo by Martha Atienza

Martha Atienza Adlaw sa mga Mananagat 2022 (Fisherfolks Day 2022) (※1)

森美術館は、開館20周年を記念して2023年10月18日(水)から2024年3月31日(日)まで記念展「私たちのエコロジー:地球という惑星を生きるために」を開催している。

産業革命以降、とくに20世紀後半に人類が地球に与えた影響は、それ以前の数万年単位の地質学的変化に匹敵すると言われる。

この地球規模の環境危機は、諸工業先進国それぞれに特有かつ無数の事象や状況に端を発しているのではないか。この記念展はその問いから構想された。

この記念展では、国内外のアーティスト34名による歴史的な作品から新作まで多様な表現約100点を、4つの章で紹介する。

第1章「全ては繋がっている」では、環境や生態系と人間の活動が複雑に絡み合う現実に言及する。

第2章「土に還る」では、1950~80年代の高度経済成長の裏で、環境汚染が問題となった日本で制作・発表されたアートを再検証し、環境問題を日本という立ち位置から見つめ直す。

第3章「大いなる加速」では、人類による過度な地球資源の開発の影響を明らかにすると同時に、ある種の「希望」も提示する作品を紹介する。

最終章である第4章「未来は私たちの中にある」では、アクティビズム、先住民の叡智、フェミニズム、AIや集合知(CI)、精神性(スピリチュアリティ)などさまざまな表現にみられる、最先端のテクノロジーと古来の技術の双方の考察をとおして、未来の可能性を描く。

タイトル「私たちのエコロジー:地球という惑星を生きるために」は、私たちとは誰か、地球環境は誰のものなのか、という問いかけ。人間中心主義的な視点のみならず、地球という惑星を大局的な視点から見渡せば、地球上にはいくつもの多様な生態系が存在することにあらためて気付く。

今回は、環境問題をはじめとするさまざまな課題について多様な視点で考えることを提案する。

また輸送を最小限にし、可能な限り資源を再生利用するなどサステナブルな展覧会制作を通じて、現代アートやアーティストたちがどのように環境危機に関わり、また関わり得るのかについて思考を促し、美術館を対話が生まれる場とする。

※1 Martha Atienza
Adlaw sa mga Mananagat 2022 (Fisherfolks Day 2022) 2022 Video, silent 45 min. 44 sec. (loop) Production support: Han Nefkens Foundation, Mondriaan Fund, and Shane Akeroyd Commission: The 17th Istanbul Biennial Courtesy: Silverlens, Manila/New York

「私たちのエコロジー:地球という惑星を生きるために」5つのポイント

1. 環境危機に対して、現代アートができること

世界共通の喫緊の課題である環境危機に対し、現代アートがどのように向き合い、私たちの問題としていかに意識が喚起されるのか。世界16カ国、34人のアーティストが作品に込めたコンセプトや隠喩、素材、制作プロセスなどを読み解き、ともに未来の可能性を考える。

2. 日本の社会や現代美術史をエコロジーの観点から読み解く

ゲスト・キュレーターのバート・ウィンザー=タマキによる「第2章:土に還る 1950年代から1980年代の日本におけるアートとエコロジー」では、1950年代から1980年代に日本のアーティストが、当時社会問題となっていた公害や放射能汚染問題にどのように向き合ってきたかを紹介する。

昨今、世界各地で環境問題に関する展覧会が開催されているが、なかでもこの章では、同展を日本の文脈から特徴づけるユニークな試みとなっている。

3. モノよりネットワーク:世界が注目する国際的なアーティストの新作多数

できる限り作品というモノ自体の輸送を減らし、作家本人が来日し、新作を制作してもらうことを計画。アーティストを文化の媒介者と捉え、モノの移動よりも、人的なネットワークやつながりを構築することにエコロジカルな価値を見出す。日本でのリサーチに基づいて制作された新作群は、展示室のスペースの半分以上を占める。

4. 日常を再利用する

同展では、身近な環境にあるものを素材として再利用した作品が多く出展される。森美術館の1キロメートル四方に生えている植物を調査・採取して押し花にするジェフ・ゲイスの作品、六本木から銀座への道すがら発見したものを組み込んだケイト・ニュービーのインスタレーション、インドのアランで解体された日本籍のケミカル・タンカーの計器を用いて、海洋環境について、2つの場所と視点から考えるダニエル・ターナーの新作、ごみを高温で溶解させたスラグと大理石を並置する保良雄のインスタレーション、貝殻を観客が踏みしめる感覚と音を体験できるニナ・カネルの作品などさまざまだ。

なお、カネルの観客によって粉砕された貝殻は、展覧会終了後、セメントの原料としてさらに再利用される予定となっている。

5. 環境に配慮した展示デザイン

前の展覧会の展示壁および壁パネルを一部再利用し、塗装仕上げを省くことで、環境に配慮した展示デザインとなっている。また、世界初の100%リサイクル可能な石膏ボードを採用するほか、再生素材を活用した建材の使用、資材の再利用による廃棄物の削減など省資源化に取り組む。

多彩な作品 約100点を4つの章で紹介

第1章 全ては繋がっている

同展が定義する「エコロジー」は、「環境」だけに留まらない。この地球上の生物、非生物を含む森羅万象は、何らかの循環の一部であり、その循環をとおしてこの地球に存在するすべてのモノ、コトはつながっている。

最初の章では、そのような循環やつながりのプロセスをさまざまな形で表現する現代アーティストたちの作品を紹介する。

ハンス・ハーケの、社会や経済のシステムと、動物や植物などの生態系とをつなぐ視点で撮影された記録写真の展示や、貝殻という有機物がセメントなどの建材に変換されるプロセスを来場者自身に追体験させる、ニナ・カネルの大規模なインスタレーションは、私たちが広大で複雑に絡み合う循環(エコロジー)のなかにあることを想起させてくれる。

※2 Hans Haacke Monument to Beach Pollution (detail from Untitled, 1968-1972/2019) 1970 Digital C-print 33.7 x 50.8 cm Courtesy: Paula Cooper Gallery, New York© Hans Haacke / Artists Rights Society (ARS), New York

※3 Nina Canell Muscle Memory (7 Tons) 2022 Hardscaping material from marine mollusc shells Dimensions variable Installation view: Tectonic Tender, Berlinische Galerie Museum of Modern Art, Berlin Photo: Nick Ash * Referential image

第2章 土に還る 1950年代から1980年代の日本におけるアートとエコロジー

日本は戦後の高度経済成長期において、自然災害や工業汚染、放射能汚染などに起因する深刻な環境問題に見舞われた。

この章では、日本の社会や現代美術史をエコロジーの観点から読み解くべく、1950年代以降の日本人アーティストの作品や活動に注目。

彼らが環境問題に対してどのように向き合ってきたかを、50年代、60年代、70年代、80年代と時系列に考察しながら、各時代の代表的な表現方法の変遷を辿る。

ビキニ環礁で第五福竜丸が被爆した事件を扱った、桂ゆきの絵画作品《人と魚》(1954年)や、日用品を卵型のアクリル樹脂に詰め込んだ、中西夏之の《コンパクト・オブジェ》(1966/1968年)。

また、土を素材に原爆や反原発を主題とする作品を制作した鯉江良二の《土に還る》(1971年)では、作家自身の顔が崩れ土に還る姿が表現され、谷口雅邦は1980年代に制作した自然と人間との関係性を表現した生け花を再現展示する。

※4 Koie Ryoji Return to Earth (1) 1971 Shard 32 x 50 x 50 cm Collection: Tokoname City (Aichi, Japan) Photo: Ito Tetsuo

※5 Katsura Yuki Man and Fish 1954 Oil on canvas 116.0 x 90.8 cm Collection: Aichi Prefectural Museum of Art

第3章 大いなる加速

人類は、地球上のあらゆる資源を利用して文明を発展させ、工業化、近代化、グローバル化を押し進めてきた。

しかしながら産業革命以降、加速度的に発展した科学技術や産業社会は「人新世」という地質学上の区分が議論されているように、短い期間で地球環境を変化させた。

この章では、こうした人類にとって喫緊の課題を批判的な視点で分析しつつ、現状を取り巻く文化的、歴史的背景を題材とする作品を通じて、より広い視点から地球資源と人間の関係を再考する。

モニラ・アルカディリの養殖真珠を主題とした新作には、自然の生態系に深く介入する人間の欲望と夢が表現されている。

保良雄の展示では、何億年もかけて自然に形成された大理石とごみを高温で溶解したスラグとを並置することで、異なる時間軸を表現してみせる。

この他にも古代の神話から個人的な経験、社会問題、環境危機まで、それぞれの作品が、地球資源と人類との多様な関わり合いを示唆する。

※6 Yasura Takeshi fruiting body 2022 Installation Installation view: Reborn-Art Festival 2021-22: Altruism and Fluidity [Second Term] Photo: Saito Taichi * Referential image

第4章 未来は私たちの中にある

環境危機は私たち自身の「選択」が招いた結果。現状を打破するには、私たち人間があり方を改めることが必要であろう。

未来にはどんな選択肢が残されているのか。同章では、非西洋的な世界観を讃える作品、モダニズムの進歩と終わりのない成長原理への疑問、アクティビズム、先住民やフェミニズムの視点、精神性(スピリチュアリティ)、デジタル・イノベーションがもたらす可能性とリスクなど、私たちが頼みとすべき、さまざまな叡智を顧みながら、地球の未来を再考する。

アグネス・デネスは、1982年にニューヨークのマンハッタンに麦畑を出現させることで、開発主義へ疑問を呈した。

ジェフ・ゲイスの六本木ヒルズのコミュニティと協働するプロジェクトでは、雑草を癒しをもたらすものとして再認識させ、西條茜の複数の人間で共有し演奏する楽器のような陶器は、新しい共生の可能性を示唆する。

イアン・チェンの作品では、AIシミュレーションの亀「サウザンド」が生き残るためのさまざまな条件を満たすために動き回り、変化に対応することで進化する。

※7 Saijo Akane Orchard 2022 Ceramic130 x 82 x 82 cmInstallation view: Phantom Body, ARTCOURT Gallery, Osaka, 2022 Photo: Koroda Takeru

※8 Ian Cheng Thousand Lives 2023 Live simulation, soundInfinite Duration Courtesy: Pilar Corrias, London; Gladstone Gallery, New York Installation View: Ian Cheng: THOUSAND LIVES, Pilar Corrias, London, 2023 Photo: Andrea Rossetti

展覧会関連プログラム

シンポジウム「私たちのエコロジー」

喫緊の課題である環境危機に対する意識は国際的なアートシーンでも高まりを見せ、とくにこの数年はフェミニズムやクィアネスの視点、デジタル・イノベーションがもたらす可能性やリスクなど、社会的な視点から気候変動やエコロジー問題にアプローチする展覧会が開催されている。

それらの展覧会を企画したキュレーターは人類共通であるこの課題とどのように向き合い、現代アートを通して何を伝えようとしているのか。

「私たちのエコロジー:地球という惑星を生きるために」の開催にあたり、世界各地で活躍する3名のキュレーターたちを迎え、環境危機に対する現代アートからの応答をどのように捉え展覧会を企画したのか、また現代アートはどのように環境危機に関わることができるのか、その可能性について対話する。

出演:
ニコラ・ブリオー(第15回光州ビエンナーレ・アーティスティック・ディレクター)※オンライン出演
長谷川祐子(金沢21世紀美術館館長)
チュス・マルティネス(キュレーター、美術史家、バーゼル芸術デザイン・アカデミー・ディレクター)
マーティン・ゲルマン(本展キュレーター/森美術館アジャンクト・キュレーター)
椿 玲子(本展キュレーター/森美術館キュレーター)
日時:11月3日(金・祝)17:00~19:00(開場:16:45)
会場:アカデミーヒルズ(森タワー49階)
定員:150名(要予約)
料金:500円

https://eleminist.com/article/3034


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シノドス:神の民への手紙「教会は皆に耳を傾けねばならない」

2023-10-27 | 先住民族関連

バチカンニュース2023.10.26

バチカンで開催中の「世界代表司教会議(シノドス)第16回通常総会・第一会期」は、全教会に宛てた「神の民への手紙」を発表した。

世界代表司教会議・第16回通常総会より神の民への手紙

 親愛なる姉妹たち、親愛なる兄弟たち

 世界代表司教会議・第16回通常総会・第一会期の作業が終わりへと向かう中、わたしたちは皆さんと一緒に、わたしたちが味わったばかりのこの素晴らしく豊かな体験を神に感謝したいと思います。わたしたちはこの祝福された時間を、すべての皆さんとの深い交わりの中で生きてきました。わたしたちは皆さんの祈りに支えられ、皆さんの期待や、疑問、そして不安をも、ここに持って来ました。教皇フランシスコの願いに沿って、傾聴と識別の長いプロセスが始まってから、もう2年が過ぎました。それは、聖霊の導きのもとに、イエス・キリストに従う宣教的な弟子たちが「共に歩む」ための、誰も排除されることのない、すべての神の民に開かれた道のりでした。

 ローマで9月30日よりわたしたちが集って行ったこの会期は、このプロセスの中で重要な段階を形作るものでした。多くの点において、それは前例のない体験でした。初めて、教皇フランシスコの招きに従い、同じ洗礼を受けた者として、男性と女性が一つのテーブルに座り、この司教会議の討議はもとより、投票にも参加しました。そして共に、自分たちの召命、カリスマ、役務を互いに補い合いながら、神の御言葉と他の人々の経験に、真剣に耳を傾けました。聖霊における会話の方法を用いながら、わたしたちはすべての大陸の共同体の豊かさと貧しさを謙虚に分かち合い、聖霊が今日の教会に言わんとすることを識別しようと努めました。こうして、わたしたちは、キリスト教のラテン典礼と東方典礼の間の互いの伝統の交換を育む重要性も経験しました。他の教会や教会共同体の兄弟たちの使節の参加は、わたしたちの討議を深く豊かにしました。

 わたしたちの総会は、危機に陥った世界を背景に開かれました。そこでは様々な傷と恥ずべき不平等がわたしたちの心に痛みをもって響き、特に参加者の何人かは戦争が荒れ狂う国々から来ていたために、わたしたちの仕事に特別な重みを与えました。わたしたちは、貧困と腐敗のために移民の危険な道に投げ出されたすべての人々を忘れず、いのちを奪う暴力の犠牲者たちのために祈りました。わたしたちは、世界のいたる場所で正義と平和を作り出すために働く人々にわれわれの連帯と取り組みを約束しました。

 教皇の招きに従い、わたしたちは沈黙に重要なスペースを割きました。それはわたしたちの間の敬意ある傾聴と、聖霊における一致の願いを助けるためでした。開会前のエキュメニカルな徹夜祭において、わたしたちは十字架につけられたキリストを沈黙のうちに観想しながら、一致への渇望が大きく育つさまを体験しました。「事実、十字架は、『すべての人を一つにしてください』(ヨハネ17,21)との祈りのもとに、世の救いのために命を捧げ、ご自身の弟子たちを父に委ねた方の、唯一の教えの場です。キリストの復活が与える希望に固く一致し、わたしたちは主にわたしたちが共に暮らす家を託しました。そこでは地球の叫びと貧しい人々の叫びが、いっそう差し迫るように響いています。”ラウダーテ・デウム !“」。教皇フランシスコはこのように、まさにわたしたちの仕事の始めに思い出させました。

 日ごとに、わたしたちは司牧的かつ宣教的な回心への切迫した呼びかけを感じました。なぜなら、教会の召命は、自らに傾倒せず、「神が世を愛された」(参照 ヨハネ3,16)その無限の愛の奉仕に身を置きながら、福音を宣べ伝えることにあるからです。このシノドスを機に、聖ペトロ広場の周りで暮らす何人かのホームレスの人々に、教会に何を期待するかを問いかけました。彼らはこの問いを前に「愛!」と答えました。この愛は、常に教会の燃える心臓、三位一体の愛、聖体の愛であり続けるべきです。それは教皇が、10月15日、わたしたちの総会の歩みの半ばに、幼きイエスの聖テレジアのメッセージを呼び起こしつつ、わたしたちに思い出させてくれたようにです。わたしたちが体験した、自分たちの一致と相違、願望と疑問を自由かつ謙虚に述べることをためらわないその大胆さと内的自由は、まさに「信頼」が与えてくれるものです。

 さて、これから何があるのでしょうか。わたしたちは、2024年10月の第二会期までの期間、「シノドス」という言葉で示される宣教的交わりの躍動に、一人ひとりが具体的に加われるようにと願っています。それはイデオロギーとは異なる、使徒的伝統に根差した体験です。教皇がこの歩みの始まりにわたしたちに思い出させたように、「すべての人の真の参加を励ましつつ、シノダリティの具体性を表現する教会の実践を育てなければ、コミュニオンとミッションは、いくぶん抽象的な用語のままにとどまる恐れがあります」。 (2021年10月9日)。課題は多様で、質問は数多くあります。第一会期の総括レポートが、合意に至った点を明らかにし、未解決の問題を浮かび上がらせ、今後作業がどのように続いていくのかを示すでしょう。

 教会は、その識別を深めるために、最も貧しい人々をはじめ、すべての人に耳を傾ける必要に迫られています。教会の側に求められるのは、回心の歩み、またそれは賛美の歩みでもあります。「天地の主である父よ、あなたをほめたたえます。これらのことを知恵ある者や賢い者には隠し、幼子のような者にお示しになりました」(ルカ10,21)。それは、社会において話す権利を持たない人たちや、教会からでさえも疎外感を受けている人たちの話に耳を傾けることです。あらゆる形の人種差別の犠牲者、いくつかの地域においては、その文化が軽視されてきた先住民たちの話に耳を傾けてください。特に今日の教会は、回心の精神のうちに、教会のメンバーによって犯された虐待の犠牲者に耳を傾け、こうしたことが二度と起きることがないよう、具体的かつ組織的に取り組む義務があります。

 また、教会は信徒たち、すなわち、男性、女性、洗礼による召命において聖性に召されているすべての人に耳を傾けなければなりません。たとえば、多くの場合、最初に福音を伝える存在であるカテキスタの証言に、また、子供たちの素朴さと活気に、若者たちの情熱に、彼らの問いと呼びかけに、お年寄りの夢に、彼らの知恵と記憶に、耳を傾ける必要があります。教会は、家庭の声に、彼らの教育上の心配や、今日の世界に彼らが与えるキリスト教的証しに、傾聴の必要があります。さらに、信徒の役務に関わりたい人たち、あるいは、組織の中で識別と決定に加わりたい人たちの声を受け入れなくてはなりません。

 教会は、シノドスの識別において成長するために、特に、叙階された人々の言葉と経験をよりいっそう収集する必要があります。司教の第一の協力者である司祭たち、その秘跡における役割は教会全体の生活に不可欠なものです。助祭は、彼らの役目を通して、教会全体を最も弱い立場にある人々への奉仕へと促します。教会はまた、聖霊の呼びかけを注意深く見張る、奉献生活の預言的な声の問いかけを、さえぎらない必要があります。さらに、教会は、その信仰を分かち合うことはなくても、真理を求める人々、その中に聖霊がおられ、働いておられる人々に関心を持つべきです。「神だけが知っている方法によって、復活の神秘にあずかる可能性をすべての人に与える」(現代世界憲章、22)のは、聖霊にほかなりません。

 「矛盾の中にある時も、わたしたちが生活し、愛し、奉仕するように召されている世界は、教会の宣教のあらゆる分野において、相乗効果を高めるよう教会に求めています。まさにシノダリティの道こそ、神が第三千年紀の教会に期待されるものです」(教皇フランシスコ、2015年10月17日)。わたしたちはこの呼びかけに応えることを恐れてはいけません。聖母マリアは、歩みの中で、わたしたちの巡礼を見守ってくださいます。喜びの中で、そして苦しみの中で、聖母はわたしたちに御子を示され、信頼へと招きます。このお方、イエスこそが、わたしたちの唯一の希望です!

バチカン市国、2023年10月25日

https://www.vaticannews.va/ja/vatican-city/news/2023-10/sinodo-sinodalita-la-lettera-al-popolo-di-dio.html


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杉田水脈議員「人権侵犯」の追及も“うすら笑い”でスルーの謎 心理学者は「距離を取って向き合わない“攻撃的失笑”」と分析

2023-10-27 | アイヌ民族関連

アメーバタイムス10/26(木) 6:50配信

 ブログでの差別的投稿で2件の「人権侵犯」が認められた自民党の杉田水脈議員。騒動のたびにみせる独特の“うすら笑い“について、心理学者が分析した。

【映像】“攻撃的失笑”を見せる杉田議員

 「チマチョゴリやアイヌの民族衣装のコスプレおばさんまで登場。完全に品格に問題があります」

 杉田議員のこのブログの投稿が、在日コリアンに対し差別的であるとして大阪法務局が「人権侵犯」に認定。同じく、アイヌの女性から申し立てを受けた札幌法務局も「人権侵犯」にあたると認定している。

 当の本人は、この問題を追及されて反省の弁を述べるわけでもなく「すでに削除し謝罪しているので、それに対するコメントはなにもない」と笑顔でスルー。これには「国会議員失格」と党内から集中砲火を浴びるかと思いきや、自民党は環境部会ナンバー2である部会長代理に起用。いわゆる昇格扱いだ。

 杉田議員といえば、過去にも性被害を告発した女性に対して「女性はいくらでも嘘をつける」、同性カップルに対しても「子どもをつくらない、つまり生産性がない」など、問題発言を連発。批判を浴びマスコミに追及されるたびに“うすら笑い“を浮かべて華麗にスルーする姿が特徴的だ。

 この“うすら笑い“について、心理学者で明星大学の藤井靖教授は「一言で言うと『攻撃的失笑』だと思う」と語る。「心理学では“感情偽装“というが、自分のやった行為ではあるがそこには距離を取って向き合わない、緊張を逃すような笑いではないか」と分析。

 さらに「『なんで今さらそんなことを言っているんですか?』ぐらいの態度で、ある種厳しい指摘に向き合わないで、かつ問いかけている人をちょっと下に見るような笑い」と嚙み砕いて説明した。

 タレントのでか美ちゃんは「腹立たしい。印象としても最悪」とバッサリ。そして「そもそも杉田議員だけの問題じゃない」と自民党の対応についても首をかしげた。

 また、弁護士の中川みち子氏は法務局による人権侵犯の認定について、「申し立てを受けて法務局が調査して人権侵害を認定した場合に当事者に勧告したり、調整する制度」だと説明。しかし「強制力がないので、笑っておられるのではないか…」と、実効性のなさも“うすら笑い“の理由ではないかと推察した。

(『ABEMA的ニュースショー』より)

https://news.yahoo.co.jp/articles/9026dd2b979a594ae402e62e9b6bda0259431d41


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