そうえん社の新シリーズがスタートしました。
小学校3~4年生向けシリーズ「ポップ ステップ キッズ!」です。
新シリーズ第一弾は、後藤竜二さんの『ひかる! 本気<マジ>。負けない』です。絵はいま注目の画家、スカイエマさん。
本を手に取った瞬間、まずはその表紙のインパクトに度肝を抜かされました。
この画家の構図はとにかくすごい。アバンギャルドです。
うごめく子どもたちの表情やアングルが。
比較的おとなしめの装丁の本が多かったそうえん社が、児童書の世界に挑戦をしかけてきた、と思いました。
そしてその絵をぐいぐいとひっぱるように、後藤竜二の筆が冴えます。
出だしから、ぐいっと。
登場人物たちが圧倒的な存在感で。
なんにでも本気で挑む、主人公である四年生の女の子「ひかる」
彼女のこの本気さは、時として、トラブルも招きます。
そんなとき思い出すのは、父さんの遺言。
「人をうらんじゃいけないよ。前進あるのみ。GO! GO!」
この遺言を自分にいいきかせては、こころのバランスをとっているのです。
そんな彼女の前に登場するのが、ハイヒールで走る女性、海堂志帆。
この先生の存在感も半端ではありません。
なにしろ、はじめての自己紹介が
「海堂志帆です。負けずぎらいです」
なんですから。
負けずぎらいでは、ひけをとらないひかるも負けずにいいます。
「尾関ひかるです。チョー負けずぎらいです」
先生をにらむように見つめていうと、
「わたしは、チョーチョーチョー負けずぎらいです」
先生はにやっとしていいかえします。
「わたしはチョーチョーチョー・・・」
実はその朝、ひかるは先生に(そのときは先生だとは知らなかった)追い越されるのです。
負けずぎらいのひかるは、あわてて追い抜き返します。するとさらにその女の人はひかりを追い抜き、ふたりは校門まで走るはめに。
「チョーチョーチョー」の場面は、そんな前段があって繰り広げられるシーンなのです。
小学校中学年くらいの、いじっぱりな女の子の意地とプライドが、実に見事に描かれています。
そしてそこに、ハイヒールの大人の女性である海堂先生というスパイスが、鼻をつんとさせるくらい強烈に効いていて。
けれど物語の本質は、子どもたちの関係性です。
後藤竜二はほんとうにブレない作家です。いつでも、どんなときでも、子どもたちの関係性を丁寧に、さまざまな文体を駆使しながら逃げずに本気で立ち向かって書いていきます。
そのブレのなさに、私は、後藤竜二の子どもたちにむけての思いの深さと信念を見るような気がします。
日本絵本大賞・読者賞をダブル受賞された『おかあさん、元気ですか』(ポプラ社刊)で、後藤竜二は、ハイヒールをかきならしながら歩くカッコいい、それでいてちょっと口うるさいお母さんを描きました。
この『ひかる!』のひかるも、先生も、どうやら一筋縄ではいかないくらい負けずぎらいで、鼻っ柱の強そうなオンナたちです。
そして、後藤竜二が、いまの時代、男の鼻の一本や二本、簡単にへし折りそうな元気のいい活きのいい、ひかるや海堂先生のようなオンナたちを描き出したということに、とても興味を惹かれます。
さて、シリーズ第二弾。
ひかると海堂先生は、意地を張り合いながらも、こんどはどんなことに挑んでいくのでしょう。
みなさん、必見です! ぜひ。
小学校3~4年生向けシリーズ「ポップ ステップ キッズ!」です。
新シリーズ第一弾は、後藤竜二さんの『ひかる! 本気<マジ>。負けない』です。絵はいま注目の画家、スカイエマさん。
本を手に取った瞬間、まずはその表紙のインパクトに度肝を抜かされました。
この画家の構図はとにかくすごい。アバンギャルドです。
うごめく子どもたちの表情やアングルが。
比較的おとなしめの装丁の本が多かったそうえん社が、児童書の世界に挑戦をしかけてきた、と思いました。
そしてその絵をぐいぐいとひっぱるように、後藤竜二の筆が冴えます。
出だしから、ぐいっと。
登場人物たちが圧倒的な存在感で。
なんにでも本気で挑む、主人公である四年生の女の子「ひかる」
彼女のこの本気さは、時として、トラブルも招きます。
そんなとき思い出すのは、父さんの遺言。
「人をうらんじゃいけないよ。前進あるのみ。GO! GO!」
この遺言を自分にいいきかせては、こころのバランスをとっているのです。
そんな彼女の前に登場するのが、ハイヒールで走る女性、海堂志帆。
この先生の存在感も半端ではありません。
なにしろ、はじめての自己紹介が
「海堂志帆です。負けずぎらいです」
なんですから。
負けずぎらいでは、ひけをとらないひかるも負けずにいいます。
「尾関ひかるです。チョー負けずぎらいです」
先生をにらむように見つめていうと、
「わたしは、チョーチョーチョー負けずぎらいです」
先生はにやっとしていいかえします。
「わたしはチョーチョーチョー・・・」
実はその朝、ひかるは先生に(そのときは先生だとは知らなかった)追い越されるのです。
負けずぎらいのひかるは、あわてて追い抜き返します。するとさらにその女の人はひかりを追い抜き、ふたりは校門まで走るはめに。
「チョーチョーチョー」の場面は、そんな前段があって繰り広げられるシーンなのです。
小学校中学年くらいの、いじっぱりな女の子の意地とプライドが、実に見事に描かれています。
そしてそこに、ハイヒールの大人の女性である海堂先生というスパイスが、鼻をつんとさせるくらい強烈に効いていて。
けれど物語の本質は、子どもたちの関係性です。
後藤竜二はほんとうにブレない作家です。いつでも、どんなときでも、子どもたちの関係性を丁寧に、さまざまな文体を駆使しながら逃げずに本気で立ち向かって書いていきます。
そのブレのなさに、私は、後藤竜二の子どもたちにむけての思いの深さと信念を見るような気がします。
日本絵本大賞・読者賞をダブル受賞された『おかあさん、元気ですか』(ポプラ社刊)で、後藤竜二は、ハイヒールをかきならしながら歩くカッコいい、それでいてちょっと口うるさいお母さんを描きました。
この『ひかる!』のひかるも、先生も、どうやら一筋縄ではいかないくらい負けずぎらいで、鼻っ柱の強そうなオンナたちです。
そして、後藤竜二が、いまの時代、男の鼻の一本や二本、簡単にへし折りそうな元気のいい活きのいい、ひかるや海堂先生のようなオンナたちを描き出したということに、とても興味を惹かれます。
さて、シリーズ第二弾。
ひかると海堂先生は、意地を張り合いながらも、こんどはどんなことに挑んでいくのでしょう。
みなさん、必見です! ぜひ。