20階の窓辺から

児童文学作家 加藤純子のblog
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木雨(きあめ)

2008年07月09日 | Weblog
 昨日の午前中、雨上がりの写真です。

 ひと雨ごとに木々の緑が色濃くなり、買い物へと続く道はすっかり真夏の気配です。
「ん?」
 歩いていたら、とつぜん頭の上に木々の葉っぱに溜まっていた雫が、ぱらぱらと落ちてきました。
 
 これを「木雨」というのだと、教えてくださったのは、句友の空々さんです。
 葉っぱの上にのった雨の重たさに耐えられなくなった木々が、力いっぱいそれをふり落とします。その瞬間「木雨」がふります。

 雨上がりに木々の下を歩くとふいに冷たいものが頭上を直撃し、驚くことがあります。
「え、また雨? せっかくやんだと思ったのに」
 ぶつぶつつぶやきながら、空を見上げると、それが木からおちてきた雨だということ知り、今度は木の下を避けて歩きだします。
 けれど、この「木雨」という言葉を知ってから、なんだか、そんな木のいたずらが楽しくなりました。
「あ、また木雨だ」
 思わず木々を見上げ、友だちと出会ったときみたいな気持ちになって。
 
 雫が落ちてくるというただ茫洋とした感覚に、言葉という形が加わるだけで、こんなふうに気持ちが豊かにふくらむことに、言葉の力ってほんとにすごいとしみじみ思わされます。
コメント (4)
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