古くからの作家の友人、高橋秀雄さんの『父ちゃん』シリーズ完結編です。
この「父ちゃん」シリーズは『父ちゃん』『やぶ坂に吹く風』(今年度の日本児童文学者協会賞受賞)そしてこの『やぶ坂からの出発』、3巻からなる傑作シリーズです。
義理の「父ちゃん」悟一と、主人公であるその息子良夫の関係が、この作品でも丁寧に描かれています。
良夫のいろいろな人間を見るまなざしを感じながら、私にはこの良夫と作家・高橋秀雄がずっと重なっていました。
良夫は、実に人間を観察している少年です。
自分と他者との違いを常に繊細なまなざしで見つめ、そして自分をふりかえります。
この繊細さはとりもなおさず、作家・高橋秀雄そのものの繊細さだと思いながら、ちょっと胸が痛くなりながら読んでいました。
良夫が小学校を卒業していくところで、この物語は終わります。
昭和30年代。日本が貧しかった時代が舞台のこの作品は、継母に虐待され、卒業式にも出られなかった級友が証書を渡されるために名前を呼ばれたのに、卒業式に出ていなかったというところで終えます。
この時代のことを自らと重ね合わせ、丁寧に掘り起こし、きちんと形にされた高橋秀雄さんに、心から「おめでとう」「ご苦労さま」と申し上げたいと思います。
次はどんな舞台の作品世界を見せてくれるのでしょうか。
今から楽しみです。
この「父ちゃん」シリーズは『父ちゃん』『やぶ坂に吹く風』(今年度の日本児童文学者協会賞受賞)そしてこの『やぶ坂からの出発』、3巻からなる傑作シリーズです。
義理の「父ちゃん」悟一と、主人公であるその息子良夫の関係が、この作品でも丁寧に描かれています。
良夫のいろいろな人間を見るまなざしを感じながら、私にはこの良夫と作家・高橋秀雄がずっと重なっていました。
良夫は、実に人間を観察している少年です。
自分と他者との違いを常に繊細なまなざしで見つめ、そして自分をふりかえります。
この繊細さはとりもなおさず、作家・高橋秀雄そのものの繊細さだと思いながら、ちょっと胸が痛くなりながら読んでいました。
良夫が小学校を卒業していくところで、この物語は終わります。
昭和30年代。日本が貧しかった時代が舞台のこの作品は、継母に虐待され、卒業式にも出られなかった級友が証書を渡されるために名前を呼ばれたのに、卒業式に出ていなかったというところで終えます。
この時代のことを自らと重ね合わせ、丁寧に掘り起こし、きちんと形にされた高橋秀雄さんに、心から「おめでとう」「ご苦労さま」と申し上げたいと思います。
次はどんな舞台の作品世界を見せてくれるのでしょうか。
今から楽しみです。