20階の窓辺から

児童文学作家 加藤純子のblog
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新刊6作ご紹介

2013年12月21日 | Weblog

    今日は新刊を6作ご紹介いたします。

       

『子どものための少年詩集2013』(アンソロジー・銀の鈴社)

 全国各地で少年詩を創作なさっている詩人たちの応募作品の中から「子どもにもわかる言葉で書かれた文学性の高い詩作品を選定し、発表したアンソロジーの詩集です。その中から何編か・・・。

『犬に変身』(うたかいずみ) 

 もし犬に変身できたらと、子どもらしい楽しい想像がひろがっていきます。でもふと気づきます。わたしは人なのだと。曲がつけば、子どものための歌になりそうな楽しい詩です。

『よういどん』(井上良子)

 走ることを、皮膚感覚で捉えた詩です。春の校庭をみんなと一斉に駈けだしたこの子は、みんなの足音を太鼓に、胸の高鳴りを春風に・・。春を迎えるよろこびを「走る」という行為を通して謳っています。

『みんなそうなのかな』(あだちわかな)

 歴史上の有名な武士も、主人公でいるときはすごい人。でも主役がかわればただの脇役・・。おもしろい視点を見つけ出した詩です。クラスで目立たない、おとなしい子どもでも、その子の人生ではみな、主人公なのですものね。

  

       

『たべられないよ アレルギー』紙芝居(井嶋敦子脚本・鈴木幸枝絵・童心社)

 小児科のお医者さんである井嶋敦子さんがお書きになった紙芝居です。一緒に給食を食べていて「どうしてあの子だけ違うものを食べてるの」と不思議に思ったり、いじめたりするする子どもたちへのメッセージを込めて書かれた紙芝居です。

 アレルギーの子どもたちは、食べたいものも食べられず、日々の暮らしと格闘しているのだということをこの紙芝居は教えてくれます。

 小児科のお医者さんの、やさしい眼差しからのお話だから余計そう感じます。

 また、紙芝居という手法が、こうした問題をより身近に感じさせてくれそうです。

 幼稚園、保育園、小学校に、ぜひひとつ置いて、子どもたちに読んであげたいです。

 

      

『ぼくたちの勇気』(漆原智良編著・進藤かおる絵・国土社)

「心といのちを守る5つの童話」(全2巻)の1冊です。執筆者は井嶋敦子、季巳明代、漆原智良、かとうけいこ、高森優芽の皆さん。

 折り折りに、漆原さんの作品への寸評やそれにまつわる「みんなで考えよう」という問題提起が書かれています。

『はじめての握手』(井嶋敦子作)

 リフティングをしていた「ナオヤ」は足を上げた瞬間、友だちの「シュン」の頭を蹴り上げてしまいます。そのまま「シュン」は救急車で病院に運ばれCTスキャンなどの検査をしますが幸い無事でした。けれどぐったりした「シュン」をみたとき、「ナオヤ」は自分を責め「死んだほうが・・」と考えてしまいます。はじめて死を意識した瞬間でした。

 一方、お産のために入院していたママのお腹の中の赤ちゃんに心臓病があることが発覚。出産後すぐ手術をしなくては助からないということです。

 手術をしたばかりの弟の小さな手。その手を握りしめた「ナオヤ」の思いを通し、命の大切さを描いています。

 

『ウドちゃんとチョロくん』(季巳明代作)

 背の高い転校生がやってきました。彼女は自己紹介のとき「おおき マミ」を「おおきい マミ」といってしまいます。

 だれもが大きいと思っていたことを自ら間違え、名乗ってしまったから教室のあちこちからはクスクスと笑い声が・・・。でもマミはまったく動じません。かまわれても、茶化されても、まったく動じる気配のなかったマミが、実は・・。

 ある日「チョロ」と呼ばれているカズキは,表面ではなにごともなかったように振る舞っていたマミの、胸の奥を知ります。

「ウドの大木」「山椒は小粒でもぴりりと辛い」こうしたことわざを使いながら、人間の心の奥深さを描いています。

 

         

『ひげなしねこ』(季巳明代作・竹内通雅絵・フレーベル館)

 3年前に月間絵本として出版された作品が、ハードカバーになってもどってきました。

 とにかく、このひげなしねこのキャラクターは強烈です。

 ねこのくせに、ひげがなくてシッポが長い。おまけにそのしっぽたるや武器にもなるのですから。

 季巳さんの、小気味いい文体と語り口で描いたこの絵本。

 とにかく、お読みになってください。スカっとしますから。

 

        

『黄金の夏休み』(最上一平作・伊藤秀男絵・文溪堂)

 伊藤秀男さんの力強い絵と、最上一平さんの輝かしいほどのまぶしさを描いたひと夏の思い出。

 それがステキにコラボした絵本です。 

 この絵本に献辞の添えられている「トスエさん」とは、一平さんの叔母さまだそうです。

  絵本の完成を待たずにご逝去されてしまったとか。
  大きな物語性があるわけではありませんが、山奥の村には宝物がいっぱい。そんなキラキラとまぶしい夏が描かれています。
  一平さんの無駄のない簡潔で叙情性溢れる文体で、抱きしめたくなるような世界がひろがっています。
 
           
 
『こぐまのクークの12ヶ月』(かさいまり作・絵・角川書店)
 角川つばさ文庫の大人気シリーズ『こぐまのクーク物語』が初めての絵本になりました。
 つばさ文庫でお馴染みの「クーク」や「とうさん」「かあさん」「ゲンゲン「サーハ」が登場し、北海道の1月から12月を楽しめる仕組みになっています。
 
 月々の絵がとてもステキです。
 ラベンダー畑やひまわり畑や落ち葉・・・。
 それぞれじっくりと描き込まれていて、北海道の自然の雄大さや、魅力を引き出してくれています。
 
 
  皆さま、この6冊、ぜひお読みになってください。
 
コメント (4)
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