ベッドルームの整理をしていて、見つけたのが「東京五輪記念1000円コイン」「500円コイン」「100円コイン」あわせて27枚でした。
ずいぶん前に、加藤の父からもらっていたのですが、すっかり忘れていました。
1964年の東京五輪の記念コインですから、もうかれこれ50年以上前のものです。
それをあるとき、父がもってきてくれたのです。
たぶん初孫である息子にあげたら、男の子だからこういうものを喜ぶかも知れないと。
ベッドルームの片隅から、それを見つけ出した私は「これ、どうしたらいいかしら?」と夫に尋ねると、
「おふくろが収集していた切手シートも、僕が預かったままなんだ」と・・・。
そしてなんと、6~7冊もある収集された切手を、自分の書斎からもってきました。
これも同じく、母が収集していた切手を、息子に持ってきてくれていたのです。
そう言えば、子どもの頃、たしか息子がそれを引き継いで収集していた記憶があります。
「処分しちゃっても、もうこれだけ年数が経っているんだから、親父もおふくろも怒らないよな」と夫。
ネットで、銀座で古いコインなどを扱っているお店を探し、土曜日にランチのついでにそのビルにいってみました。
ビルの4階にあるそこは、ひと坪ほどの小さなお店です。窓口がひとつあって、その向こうに女性店主が対応しています。ところ狭しと並んでいるパイプ椅子5~6脚は、すべて満席。
おまけにそんなお店なので、お客さんとのやりとりがすべて聞こえてしまいます。
「このジャケットは、なんですか?」
お店の人が尋ねると、「死んだ親父のものです」・・・そうつぶやいた男性も、もう80歳近い人です。
そんな昔の、お父さんのジャケットをなぜ・・・?
こうした謎めいたお客さんが、次から次へとやってきます。
どうやらこのお店には、さまざまな人生の深淵が見え隠れしていそうです。
ところで・・・。
我が家の持ち込んだ、記念コインと切手はどうなったか、と?
さっそく昨日の日曜日に、査定の結果のお電話がありました。声のきれいな40代の女性店主は、気の毒そうな声でこういいました。
「あわせても、1万円弱です」たたみ込むようにさらにつけ加えます。
「コインはすべて額面通りの金額で、その中には90%で買わせていただくコインもありました。また切手はプレミアムのものはありませんでした」と・・・。
人生なんて、そんなもんだわ・・・。(ペギー・リーの「Is That All There is?」より)(笑)
査定どおりで引き取っていただくことにしました。
今度そのお店にいった帰り、いただいたお金で、おいしそうな和菓子でも買ってきて、お仏壇にお供えして、お詫びとご報告を・・・。