20階の窓辺から

児童文学作家 加藤純子のblog
毎日更新。児童文学情報・日々の暮らし・超高層からの眺望などニュース満載。

古いコイン

2014年05月12日 | Weblog

           

 ベッドルームの整理をしていて、見つけたのが「東京五輪記念1000円コイン」「500円コイン」「100円コイン」あわせて27枚でした。

 

 ずいぶん前に、加藤の父からもらっていたのですが、すっかり忘れていました。

 1964年の東京五輪の記念コインですから、もうかれこれ50年以上前のものです。

 それをあるとき、父がもってきてくれたのです。

 たぶん初孫である息子にあげたら、男の子だからこういうものを喜ぶかも知れないと。

 

 ベッドルームの片隅から、それを見つけ出した私は「これ、どうしたらいいかしら?」と夫に尋ねると、

「おふくろが収集していた切手シートも、僕が預かったままなんだ」と・・・。

 そしてなんと、6~7冊もある収集された切手を、自分の書斎からもってきました。

 これも同じく、母が収集していた切手を、息子に持ってきてくれていたのです。

 そう言えば、子どもの頃、たしか息子がそれを引き継いで収集していた記憶があります。

 「処分しちゃっても、もうこれだけ年数が経っているんだから、親父もおふくろも怒らないよな」と夫。

 

 ネットで、銀座で古いコインなどを扱っているお店を探し、土曜日にランチのついでにそのビルにいってみました。

 ビルの4階にあるそこは、ひと坪ほどの小さなお店です。窓口がひとつあって、その向こうに女性店主が対応しています。ところ狭しと並んでいるパイプ椅子5~6脚は、すべて満席。

 おまけにそんなお店なので、お客さんとのやりとりがすべて聞こえてしまいます。

「このジャケットは、なんですか?」

 お店の人が尋ねると、「死んだ親父のものです」・・・そうつぶやいた男性も、もう80歳近い人です。

 そんな昔の、お父さんのジャケットをなぜ・・・?

 こうした謎めいたお客さんが、次から次へとやってきます。

 どうやらこのお店には、さまざまな人生の深淵が見え隠れしていそうです。 

 

 ところで・・・。

 我が家の持ち込んだ、記念コインと切手はどうなったか、と?

 さっそく昨日の日曜日に、査定の結果のお電話がありました。声のきれいな40代の女性店主は、気の毒そうな声でこういいました。

「あわせても、1万円弱です」たたみ込むようにさらにつけ加えます。

「コインはすべて額面通りの金額で、その中には90%で買わせていただくコインもありました。また切手はプレミアムのものはありませんでした」と・・・。

 人生なんて、そんなもんだわ・・・。(ペギー・リーの「Is That All There is?」より)(笑)

 

 査定どおりで引き取っていただくことにしました。

 今度そのお店にいった帰り、いただいたお金で、おいしそうな和菓子でも買ってきて、お仏壇にお供えして、お詫びとご報告を・・・。 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする