『気分上々』(角川書店)など、短編の名手でもある、森絵都さんの新作です。
24人のクラスメイツの物語。
森絵都さんの短編のうまさには定評があります。
作家は人間を観察し、人間をどれだけ描写する力を持ちうるかが勝負だと、この本を読むと思わされます。
一時期、現代アメリカ文学でミニマリズムの世界が流行し、日本のYAでも「ひりひりするような」心理描写がもてはやされました。
森絵都さんデビュー作のころは、ちょうどそんな頃だったかも知れません。
久しぶりに、YAを書かれたという森絵都は、その繊細な人間をみつめる眼差しを内包させつつ、更に高みにのぼっていました。
感受性の文学におさまらない、ダイナミックな関係性を作り上げようとしている、人間を見つめるまなざし、筆の力に圧倒されました。
今夜は、仲間うちの読書会「Be子どもの本」です。
今月のテキストが、このご本です。
どんな意見が飛び交うでしょう。