篠田桃紅さんの書に、最初に出会ったのは、ホテルオークラの坂下にある「菊池寛実記念智美術館」の入り口でした。
書なのに、書のようではなく、絵画でもない。
ピンぼけの篠田さんの写真。
それ以来、とても興味を持って、彼女の生き様を追いかけました。
107歳でお亡くなりになる、前年まで、書に向き合っていたそうです。
生涯、お弟子さんは、取らず、墨はご自分で刷っていらしたそうです。
しばらく前に、展覧会で、そばに近づいていらして、ご説明をしてくださった方に、
「キュレーターの方ですか?」と、伺ったら、
「いえ、先生のおそばには、割合長い期間、いたものです」と。
篠田桃紅を愛し尊敬し尽くしているのが、説明から、わかります。
私は、篠田桃紅は、ずっとニューヨークに住んでいるものとばかり思っていました。
確かに、ニューヨークにアトリエはずっと持っていらしたようですが、日本に滞在している方が、近年は多かったとか。
私が調べた、篠田桃紅は、凛とした佇まいで、男前。
生涯独身を通し、書に人生を捧げてきた人です。
ニューヨークのアトリエで仕事をしている姿を、テレビで見たことがあります。
かっこいいです。
着物を着崩し、大きな筆を、紙に向かって振り上げる。
「作家は、短命な人が多いですが、画家は、特に女流画家は、長生きな方が多いですね。体の動かし方でしょうね。全身で、描く。作家はパソコンや、机に向かって動かずに描く。それが良くないのでしょうね」
最後は、書とは離れた、健康談義。
しばし、素敵な桃紅パワーをいただいた時間でした。