20階の窓辺から

児童文学作家 加藤純子のblog
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良子ちゃんの詩の会(月)

2024年12月16日 | Weblog
             

今朝は、リモートで、久しぶりに「良子ちゃん主催の、詩の会」です。

詩人であり、画家である良子ちゃんが、テキストを選び、ZOOMで招待してくださいます。

長田弘が多いかな?
でも私も、長田弘、大好き。

今回は、絵が「クリムト」。
「花を持って、会いにゆく」

長田弘の奥さんの瑞枝さんが亡くなる一年前、亡き夫の詩の中から選び、組曲のように作った詩集です。
テーマは、死?

でもとても優雅です。
こんな詩のシャワーを浴びる、冬の午前の時間も贅沢です。

滅多にリアルではお目にかかれない、人たちと、リモートでお会いできるのも、嬉しいです。

おまけ。長田弘の詩から。

「うつくしいものの話をしよう。
いつからだろう。ふと気がつくと、うつくしいということばを
ためらわず口にすることを、誰もしなくなった。
そうしてわたしたちの会話は貧しくなった。
うつくしいものをうつくしいと言おう。

風の匂いはうつくしいと。渓谷の
石を伝わってゆく流れはうつくしいと。
午後の草に落ちている雲の影はうつくしいと。
遠くの低い山並みの静けさはうつくしいと。
きらめく川辺の光りはうつくしいと。
おおきな樹のある街の通りはうつくしいと。
行き交いの、なにげない挨拶はうつくしいと。
花々があって、奥行きのある路地はうつくしいと。
雨の日の、家々の屋根の色はうつくしいと。
太い枝を空いっぱいにひろげる
晩秋の古寺の、大銀杏はうつくしいと。
冬がくるまえの曇り日の、南天の小さな朱い実はうつくしいと。
こむらさきの実の紫はうつくしいと。
過ぎてゆく季節はうつくしいと。
さらりと老いてゆく人の姿はうつくしいと。

一体、ニュースとよばれる日々の破片が、
わたしたちの歴史と言うようなものだろうか。
あざやかな毎日こそ、わたしたちの価値だ。
うつくしいものをうつくしいと言おう。
幼い猫とあそぶ一刻はうつくしいと。
シュロの枝を燃やして、灰にして、撒く。
何ひとつ永遠なんてなく、いつか
すべて塵にかえるのだから、世界はうつくしいと」。

「世界はうつくしいと」長田 弘
コメント
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