折にふれて

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加治屋町界隈で (鹿児島市)

2016-07-13 | オトナの遠足

書きそびれていたが、先月訪れた鹿児島での話。

 

九州新幹線の終着駅、JR鹿児島中央駅にほど近い加治屋(かじや)町のこと。

ここは、西郷隆盛、大久保利通、大山巌、東郷平八郎など

近代日本の礎となった人たちを多く輩出したという点で希有な町と云える。

 

大久保利通生誕地の碑。


西郷と大久保。無二の親友にして明治維新最大の功労者。

後に対立し、数奇な運命をたどる二人が育ったところは50メートルと離れていない。

西南戦争で西郷が戦死し、その翌年、大久保は東京・紀尾井坂で島田一郎ら旧加賀藩士たちの凶刃に倒れる。

島田らは要人暗殺を目的とする不平士族たち、つまりはテロリストであり、しかも金沢出身。

加治屋町出身者たちの志の高さ、偉業、清廉な生き方を思うと、

島田一郎らの所業、同郷ゆえになんとも残念としか言いようがない。

 

 東郷平八郎生誕の碑。



「陸の大山、海の東郷」と呼ばれ、日露戦争を勝利に導いた2人が育った場所も近い。

日露戦争当時、大山巌は陸軍元帥として満州に布陣し、奉天の会戦などで屈強なロシア軍を破る。

また、東郷平八郎は連合艦隊司令長官として、日本海海戦で当時最強と言われたバルチック艦隊を殲滅し、

その後、日露戦争は一気に終結に向う。

圧倒的な国力を誇るロシアに無謀にも挑んだ日本。

当時、世界の誰もが日本の敗戦を疑わなかったが、その日本を救ったのも加治屋町出身の二人だった。

その一方で、村田新八、篠原国幹など西郷隆盛とともに下野し、西南戦争で散っていった人たちもこの町の出身。

幼なじみが敵味方に別れ、戦った悲しい歴史もここにある。

 


加治屋町、甲突(こうつき)川沿いに眺める桜島。

その土手を下ったところ。

西郷隆盛、従道兄弟の生地があった。

あいにくの梅雨空。

桜島も遠くかすんでいるものの、かの兄弟が眺めていた景色と思うと、

それだけで感慨深い。

 

 さて、甲突川、高見橋たもとに立つ大久保利通の銅像。

鹿児島市内のあちこちで、西郷隆盛にちなんだ銅像や石碑などを見かけるが、

大久保利通に関するものはこの銅像一体があるだけと聞いた。

鹿児島の人たちの西郷贔屓をあらためて知る話である。

そして、いわば敵役の一体しかない銅像が加治屋町の入り口に立っているということが実に興味深い。

この町を歩いたことがきっかけで、「翔ぶが如く」を読み直している。

歴史に翻弄されたふたりの姿が見えてくるわけだが、

「二人の確執もこの町にあってはすで終わったこと。」

考えすぎかもしれないが、この銅像がそう物語っていると感じた次第だ。 

 


リンダ・ロンシュタット、ドリー・パートン、エミルー・ハリス。

カントリー・ミュージックの歌姫たちによる ニール・ヤングの名曲のカバー。

linda ronstadt & dolly parton & emmylou harris after the goldrush

ひとつの歴史を作った町に「アフター・ザ・ゴールドラッシュ」をかぶせて聴いてみた。

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