ペンギン夫婦の山と旅

住み慣れた大和「氷」山の日常から、時には海外まで飛び出すペンギン夫婦の山と旅の日記です

雨模様の北東北の旅(3)~ 奥入瀬渓谷

2013-10-12 07:45:24 | 旅日記

開湯300年を誇る名湯・酸ヶ湯を出て、バス車内で昼食の弁当を食べて午後は奥入瀬渓谷のウォーク。十和田湖畔の子ノ口からゴールの焼山までは14kmあるが、ツァーではその内、銚子大滝から石ヶ戸まで約7㎞、2時間半のコースが予定されている。さらにバスはいったん途中の見どころを説明しながら銚子大滝まで走って全コースを歩く人(10人ほど)を降ろし、帰り道で90分コース、60分コース、更には石ヶ戸周辺散策の人に分かれる。この夕暮れが早い季節に17時に石ヶ戸に帰るには、2時間半コースでは写真も撮る時間もないとの説明で、私たち4人はゆっくり歩こうと90分コースを選択した。幸い奥入瀬に着くころには雨も止んだ。

いったん銚子大滝で下車して写真を撮る。唯一、奥入瀬川の本流にかかる幅20m、高さ7mの堂々たる滝である。この滝があるためイワナやヤマメが川を遡れず、明治の初めに和井内貞行がヒメマスを放流するまで十和田湖には魚がいなかった…と教科書で学んだ記憶がある。昭和25年には大河内傅次郎主演で「われ幻の魚を見たり」という映画にもなった。「魚止めの滝」と言われた由縁である。バスに帰ってトイレのある玉簾の滝まで乗せて貰う。


 

15時、10人が思い思いにスタート。美しいブナ林の中を渓流沿いに歩く。私たちの歩く方向に、苔むした岩や倒木の間を縫うように時には激しく、ときには緩やかに清らかな水が流れる。十和田湖の子ノ口から流れ出した水は、最後は奥入瀬川となって太平洋に注ぐ流出河川なのである。上流の奥入瀬渓流には支流にかかる大小の滝が見られるので「瀑布街道」の名もある。


  

見上げるような大木の根から若い木が新たに成長していたり、切り株にビッシリとキノコが生えていたり、至るところで森の生命が息づいているのを感じる。


「白銀の流れ」を過ぎるとやや流れが広くなり、


天狗岩の横にかかる白糸ノ滝を見る。いく筋もに分かれて絹糸のように見えるということからの名前である。ここまでバスを降りて45分。


流れを木橋で渡ってバスが通る国道102を横切って、少し上へ歩いて支流にかかる雲井ノ滝を見に行った。高さ25m、三段になって落ちる豪快な滝である。


 

千筋ノ滝(上)、九十九島、飛金の流れ(下)などを見ながら歩く。すぐ頭の上を国道が走っているが、この先で国道脇の歩道に上る。乗用車が止まり、カメラを手にした人が下りてきた。


阿修羅ノ流れは奥入瀬渓谷を代表する景観で、ガイドブックなどでよく目にする場所である。苔むした岩を削るような荒々しい流れが奔っている。ここからしばらく国道横を歩く。


馬門岩(まかどいわ)。昔はこの岩に馬を繋いで徒歩で十和田湖に向かったといわれる。国道を横断して再び流れに沿う道に出るところで、道標を見ると残り1.4 km。途中で少しのんびりし過ぎた。集合時間が迫っているのでピッチを上げる。

 

石ヶ戸の瀬を過ぎると目的地は近い。


予定の17時に10分残して石ヶ戸の休憩所下に来るが、階段横にある名前の由来「石ヶ戸」を見落とした。しかし女房達は薄暗い中を説明板までしっかりカメラに収めていた。(石の写真は明るさなど修整を加えています)


 

奥入瀬は2005年5月、新緑の頃にも部分的に歩いたが、今の季節の渓流の眺めも捨てがたいものがあった。今宵の宿は十和田湖畔のH十和田荘。夕食には名前だけ聞いていた八戸名物「せんべい汁」が付いた。鍋用の南部せんべいを割り入れて食べる。ゆっくりビールを飲みながら食事を済ませたが、添乗員のIさんの話では、冷害を受けやすい山間部などでは「天気まつり」をして日和を祈るという。「な~に、われわれは酒を飲んで騒ぐだけですよ」とのことだった。部屋に帰ってから4人で、丸さんが売店で買ってきた地酒で盛大に「天気まつり」をして明日の晴天を祈った。