4.冠 山(1257m) <両白山地>
「両白」とは白山と能郷白山の二山を指す。主峰・白山には大雨の中登ったことや、子熊に出くわしたことなど色んな思い出もあるのだが、「関西の山」というにはちょっと…ということで、このエリアからは4つの山を選んだ。
【かんむりやま】福井・岐阜県境にあり、烏帽子に似た特徴的な山容からこの名がある。高山植物が多いことでも有名。2000年から9年間会員だった日本山岳会関西支部の11名で登った。
<カッコウ鳴く山>
梅雨入り近いのが嘘のような、真っ青な空。北陸道武生ICから43㎞走った「冠山峠」には、大きな石碑を挟んで、左に越前国池田町、右に美濃国徳山村、美濃国藤橋村の二つの標石がある。(徳山村はダムに沈み、今は藤橋村になっている)近くに広い駐車スペースがある。タニウツギの花の上に魁偉な姿の冠山が聳え、ホトトギスが甲高い声で鳴いている。
最初は緩やかな道が次第に登りになる。ブナやナナカマド、ヤマウルシなどの林に入ると、すっと汗が引いていく。カッコウが鳴き交わし、ウグイスも長い囀りで競っている。1156mピークを越すと道は下りになり、その後は何度か登り降りをくり返す。せっかく稼いだ高度が惜しい気がする。木の間から見える冠山の姿が近づいてくる。谷を挟んで頂上に続く平らな尾根が正面に見える。登り返すのは大変だなと思っていると、山腹の捲き道を行くようになり、林を抜けるとパッと視界が開けた。
ここは冠平のすぐ上の分岐で、右にロープを張ったガレ場が見える。平を見下ろしてしばらく休憩した後、ガレ場にかかる。細かいながら足がかりになる岩が露出しているので、ロープは使わずに登れた。その上は草付き状の岩場で、所々にハルリンドウが咲き、イワカガミも咲き残っている。踏み跡が交錯するようになると、すぐに頂上に着いた。遠くから見ると大変なようだったが、冠平から10分ほどしかかかっていない。
頂上には小さな祠と三等三角点があった。この山域に詳しいMさんに山の名前を教えてもらう。北から東へ部子山、姥ヶ岳、明日登る能郷白山。南から西へは蕎麦粒山、不動山、三周ヶ岳、笹ヶ峰…奥美濃は私の知らない山ばかりだ。遠くに見える伊吹山だけが懐かしい。金草岳は峠のすぐ向こうのだけに、すぐ近く見える。しばらく展望を楽しんで冠平へ下る。
笹原の中に草地がありしばらく遊ぶ。谷を隔てた尾根の岩壁が翳ってきたので、急いで峠に下った。(2002.6.8 土曜)
【コースタイム】冠山峠 13:20 …冠平分岐14:15~14:25…冠山14:35~14:50…冠平15:10~15:25…冠山峠16:00