釈迦ヶ岳(1092m) <鈴鹿山脈>
「しゃかがたけ」お釈迦様の寝姿に似た山容でこの名がある。朝明川に落ち込む庵座谷は変化に富み、石灰岩の風化したザレ場を持つ稜線はアルペン的な風貌を見せる。
<名瀑「庵座の滝」からアルペン的な稜線へ>
朝明渓谷の駐車場に車を置いて小さな尾根を越えて鉄梯子を河原に下りる。キャンプ場や点在するバンガローが途切れると流れの左岸を行く。雑木林の中、見通しの悪い単調な道を行くと、急に視界が開けて正面の山肌を落ちる庵座の滝が見えた。谷に下りると歩き易い道となり滝の下に着いた。落差40Mの滝は実に堂々とした姿で、滝口を見上げると紺碧の天空から湧き出しているように見える。
滝と別れると固定ザイルを張ったガレ場の直登となる。捲道で小さい沢を越して、15分ほどで沢に出て、消えかかったペンキの印を頼りに右に左に渡り返す。また林に入り、見事な三段の滝の下を通り(二段しか見えなかったが)、高くまいて登る。河原に下りると流れは緩やかになり、また何度か右を跳んで渡り返す。
鋼管を積んだ奇妙な堰堤を越すと広い河原で正面に猫岳、右手に松尾尾根の頭と大陰(おおかげ)のガレが遥か高くに見えた。
カンカン照りの河原を猫岳の方に進み、左岸に渡って急勾配の斜面に取り付く。ガレの直ぐ左側、固定ザイルのある、落石が起きそうな斜面を一歩一歩よじ登る。この登りは相当なもので猫岩のピークは見る見る同じ高さになる。最後は岩角や木の幹にすがっての全くの直登となる。ようやく樹木相が変わり頭上に青空が広がると、松尾尾根の頭だった。殆ど登り下りのない、熊笹の中の道を南へ進む。羽鳥峯への分岐を過ぎると5分程で頂上に着いた。
1092Mの頂上は意外に狭く、樹木が茂って全く展望がきかない。2、3分後戻りした稜線上の僅かに開けた斜面で昼食。伊勢湾どころか眼下の平野も判然としない。
分岐から羽鳥峰へは急な掘り割り状の下りと、熊笹のトンネルの連続である。概ね下りだが途中、猫岳(1058M)と908Mピークの二つの登りがある。猫岳(標識は猫岩)を過ぎると熊笹はうんざりする程密生していて、時には背丈を超す所もある。908M峯を過ぎると、熊笹がきれいに切り開かれていて歩き易くなった。 羽鳥峰
羽鳥峰(はとみね)峠からは去年、水晶岳への登りに使った道で、どんどん下る。案外早く広い道に出たが、それからがうんざりする程長く感じた。天候も体調もよく、ルートに変化のある充実した山行を楽しむことが出来た。(90.11.18)
<コースタイム>駐車場発 9:20…10:20庵座の滝10:35…12:05松尾尾根の頭…12:15釈迦ヶ岳頂上12:18…昼食12:50…13:20猫岳…14:05羽鳥峰14:25…1515駐車場