時遊人~La liberte de l'esprit~

優游涵泳 不羈奔放 by椋柊

GEMINI

2008-12-06 | 映画

時代の頃は明治末期
大徳寺醫院の跡取りとして
若くして地位も名誉も手にした大徳寺雪雄様は
りん様という美しい妻をめとり
順風満帆の人生を歩んでおられました

ところが近頃気になることがおわりのようで…

実は
お屋敷に
自分達家族以外の者の視線や気配を
感じるとおっしやるのでございます

それは不吉の始まりでございました
雪雄様に
突然の不幸がふりかかったのでございます

父君の茂文様と
母君の美津枝様が
相次いで不可解な最期を遂げられたのでございます



ある日
おひとりで庭に出ていらした雪雄様は
自分と全く同じ顔をした男に
古井戸に閉じ込められてしまったのでございます

雪雄様の振る舞いを完璧に身につけていたその男は
恐ろしいことに
何食わぬ顔で雪雄様になりすますと
雪雄様として生活を始めたのでございます

実はこの男
雪雄様の双子の片割れだったのでございます

右脚の醜い痣のため
生まれてすぐに川に捨てられたのでございます

乞食の角兵衛に拾われたその子は
捨吉と名づけられ貧民窟で育ちましたが
己の生家が立派な醫院であったことを知り

積年の怨みを晴らすべく
ご両親様を殺害し
雪雄様に代わって
裕福な生活を手に入れることを
思いついたのでございました



しかし
そんな捨吉殿の企みに気づいた者がおりました

りん様でございます

りん様は
捨吉殿が貧民窟で愛した女性でございましたが
角兵衛に勘当されて
姿を消していた捨吉殿の帰りを待ちきれず
捨吉殿に瓜二つの雪雄様と結婚したのでございました

捨吉殿との再会を喜ぶりん様でしたが
捨吉殿は己の正体をりん様に
明かそうとはなさいませんでした

そうすることが
己を裏切ったりん様を苦しめる
何よりの復讐だと思ったからでございます



こうして
何もかもをご自分の手中に収めた
捨吉殿ではございましたが
悪運も長くは続きませぬ

捨吉殿は
井戸の底から這いあがった雪雄様に
殺されてしまいます

その後
雪雄様は
りん様との間にお子をもうけられ
以前と変わらぬ生活をお送りになられましたが

ただひとつ
以前の彼と違っていたのは
蔑視していた貧民窟の回診に
出かけるようになったことでございます

以上
長らく大徳寺家にお仕えております
使用人のシゲがお伝え申し上げました

                  「双生児 -goo映画より」引用


        
        

雪雄と捨吉の立場が入れ換わって以降
性格や性質
思考回路までが入れ換わると申しますか
蝕んでいくと申しますか
侵食していくともうしますか…

どちらが雪雄でどちらが捨吉?
みたいな…

とは申せ
りんの体は騙せません!

愛した男の性癖は忘れないようです
世の男性陣心すべし(笑)

江戸川乱歩の作品は
以前にも申し上げましたが
全然読んだことがなく

ついでに
塚本晋也監督の作品は
「悪夢探偵」しか拝見したことがなく

これが
乱歩の世界なのか
監督の世界なのか
よく解かりませんが

σ(^^;) 的に
壷にはまった…

色彩や射光を上手く使ってるし
役者陣の顔から‘眉’を消したり
異様な女性陣の髪形と言った演出は
異空間世界を上手く
醸し出していたと思う次第です

異質な世界に暫し身を委ねさせて頂きました
ホラーとかサスペンス調ではありますが
社会通念を問う作品でもあります

本木雅弘さん
お見事!
と言っても宜しいかと思います
コメディーからシリアスな役までこなせる役者さんです

映画『おくりびと』で
その演技が評価されたようで…
おめでとうございます