未開の大自然の中で私は生命の奇跡を感じ、その背後で我々の科学技術が取るに足りないものとして色あせて行くのを感じる。
<`ャールズ・A・リンドバーグ(1902-1974)
In wilderness I sense the miracle of life, and behind it our scientific accomplishments fade to trivia.
Charles Lindbergh
20世紀の数多い飛行家の中で、リンドバーグほど“劇的な”人生を送った人物も少ないだろう。1902年生まれ。翌年がライトフライヤー初飛行の年だから、まさに現代航空の夜明け時に誕生したことになる。1920年代、時にこの世界の黄金時代と呼ばれるバーンストーミング全盛期に大空の世界に足を踏み入れ、わずか5年の飛行経歴で大西洋単独横断飛行を達成する。
しかし、彼の人生が、明暗含めて目まぐるしい色彩変化の渦の中に引き込まれるのはその後だ。大学中退の内気な無名のバーンストーマーが、一躍、国民的あるいは世界的英雄になり、愛児誘拐殺害悲劇の主人公になり、ナチズム礼賛の国賊となり、太平洋戦争では市民戦士となり、商業航空路開発の先駆者となり、やがて航空技術を頂点とする現代科学文明の批判者となり、遂には筋金入りのナチュラリストとなる。
彼について知れば知るほど、その「明」の部分の裏側に、実に重い「暗」の部分を抱えていたことがよく分かる。彼の偉大さは、その「暗」から決して目をそらさず、常に誠実にそれらと向き合っていたこと。そして、積極的に行動することで、その明・暗の対照を鮮やかに描き出そうとしたことだろうと思う。
こういう視点を持つと、どうして彼がこんなに洗練された文章が書けるのか・・・その理由も少し見えてくるような気がする。
<`ャールズ・A・リンドバーグ(1902-1974)
In wilderness I sense the miracle of life, and behind it our scientific accomplishments fade to trivia.
Charles Lindbergh
20世紀の数多い飛行家の中で、リンドバーグほど“劇的な”人生を送った人物も少ないだろう。1902年生まれ。翌年がライトフライヤー初飛行の年だから、まさに現代航空の夜明け時に誕生したことになる。1920年代、時にこの世界の黄金時代と呼ばれるバーンストーミング全盛期に大空の世界に足を踏み入れ、わずか5年の飛行経歴で大西洋単独横断飛行を達成する。
しかし、彼の人生が、明暗含めて目まぐるしい色彩変化の渦の中に引き込まれるのはその後だ。大学中退の内気な無名のバーンストーマーが、一躍、国民的あるいは世界的英雄になり、愛児誘拐殺害悲劇の主人公になり、ナチズム礼賛の国賊となり、太平洋戦争では市民戦士となり、商業航空路開発の先駆者となり、やがて航空技術を頂点とする現代科学文明の批判者となり、遂には筋金入りのナチュラリストとなる。
彼について知れば知るほど、その「明」の部分の裏側に、実に重い「暗」の部分を抱えていたことがよく分かる。彼の偉大さは、その「暗」から決して目をそらさず、常に誠実にそれらと向き合っていたこと。そして、積極的に行動することで、その明・暗の対照を鮮やかに描き出そうとしたことだろうと思う。
こういう視点を持つと、どうして彼がこんなに洗練された文章が書けるのか・・・その理由も少し見えてくるような気がする。