親孝行してくれとは言わないけれど、せめて うち中で最後に外出する時は 鍵を掛けて行って欲しい...と 母は懇願する次第です。お嬢どの。。。
愛情とエゴイズムは裏腹かもネ。
『グッバイ、レーニン!』(DVD 9/19)

制作国:ドイツ(2003年)
原題:GOOD BYE LENIN!
監督:ヴォルフガング・ベッカー
出演:ダニエル・ブリュール(アレックス)
カトリーン・ザース(母親クリスティアーネ)
マリア・シモン(姉アリアーネ)
チュルパン・ハマートヴァ(恋人ララ)
フロリアン・ルーカス(友人デニス)
ブルクハルト・クラウスナー(父親)他
いつもは、あまりあらすじを載せないのですが...
別に いま旬の映画というわけでもないし、筋が分かった方が伝わると思うので...
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1989年、ベルリンの壁崩壊直前の東ドイツ。アレックスは東ベルリンのテレビ修理店に勤める青年。彼の父親は、10年前西ドイツの女性の元へと 家族を捨て亡命。以来、必要以上に社会主義に陶酔する母クリスティアーネ。
ある日、反射会主義デモに参加して捕らえられたアレックスを見たクリスティアーネは、ショックで心臓発作を起こし 昏睡状態に陥ってしまう。8カ月の長い眠りから奇跡的に目覚めた母だが、その間にベルリンの壁は崩壊し、ドイツは劇的に変化していた。
「もう一度強いショックを与えたら命取りになる」医者の言葉に ドイツ崩壊を知った時の母のショックを思い浮かべたアレックスは、母を自宅に引き取り 東ドイツの体制がずっと続いているごとく装う。
東ドイツ製のピクルスを探し求めて街を奔走し、テレビが観たいという母の要望には 映画オタクの友人デニスと偽のニュース番組を次々作る。しかしごまかしも限界が見え始め、姉のアリアーネや恋人のロシア人看護婦ララに、真実を打ち明けるよう諭される。
そんな中 母はめざましく回復し、一家は郊外にある森の小屋に出かけた。そこで母は、10年前に西側に亡命したアレックスの父は、家族を捨てたわけではなく 政治的意志で亡命し、家族も西側に呼び寄せようとしていたにもかかわらず あまりにも怖くて果たせなかった、と告白する。死期の近づいた母の望みを叶えるべく 父親を病室に呼び、やがて 最後のニュースを作る。それは、虚構ではあるものの 変わりゆく国家の姿を示唆するものであった。実は、統一ドイツの姿こそ 母の望んだものであったのだ。そして母は、東ドイツが理想の国家になったと信じて死んでゆく...
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つまり、アレックスが いろいろ画策しなくても、統一後のドイツは むしろクリスティアーネの望んだ世界だったわけで、ひょっとしたら アレックスのやっていたことは 全て無意味なことだったのかも知れないわけです。しかも みんなからも「バカげている。もう本当のことを言うべき」と言われ、アレックス自身だって やっていることに疑問を持っていたはずだけど...、無償の愛...なんて よく言うけど、愛する人のために全身全霊を傾けることって 案外自己満足に過ぎないのかも知れません。
クリスティアーネもまた、子ども達の身を守ることに徹して 執拗なまでに「社会主義 万歳」と唱える よき党員であり続けたのです。なのに息子は、いつしか父親と同じ 反社会主義の道を歩み始めていたわけですから皮肉です。
結局、眠っていた8か月の間に 何があったのか、何となく感じるところはあっても 最後までデタラメのニュースを信じていた母...。いや、気付いてはいたけど 息子のとった行動を また感謝していたのかも知れません。それにしても、よく次から次へと デタラメなのに辻褄のあったニュースを作り続けたものだと感心します。仕事仲間のデニスには、頭が上がらないね☆