アベノミクスは失敗しました。アベノミクスが国民一般を潤すときは来ません。3月16日の政府「国際金融経済分析会合」でそのことが明らかになりました。
政府は「アベノミクスが失敗した」と言っていません。しかし、この経済分析会合が大々的に公開され、ノーベル経済学賞受賞者、スティグリッツ教授の「消費税率引き上げ延期」提言が国内外に報道されたことは、アベノミクス失敗の表現です。
安倍内閣は2014年(平成26年)4月、消費税率をそれまでの5%から8%に引き上げました。第1段階の引き上げです。そして第2段階として2015年(平成27年)10月に、引き続き消費税率10%へ引き上げることが予定されていました。
ところが、消費税率8%上げ後の経済状況が良くないので、当初予定より1年半先送りして、2017年(平成29年)4月から10%実施へと延期されました。消費税率を上げれば経済が悪化することは常識ですから、その影響を過小評価した安倍内閣の失政です。
安倍首相は2014年(平成26年)12月の衆院選挙に際して、「消費税率10%引き上げ延期」について「民意を問う」として選挙戦の前面に押し出しました。消費税率8%引き上げ実施から半年にしかならない秋のことです。早々と10%引き上げ延期を打ち出したのは、衆院選での人気取り戦術です。同年7月1日に閣議決定し、国民世論を二分している集団的自衛権問題――これを衆院選挙の主要争点から外すための安倍内閣の選挙戦術でした。
8%消費税導入が原因で景気動向が予想以上に低迷していることが、10%引き上げ先送りの理由でした。だからアベノミクスが予定通りに進んでいないのですから、それは安倍政治のマイナス評価ポイントです。しかし安倍政治への評価がマイナスであれプラスであれ、10%引き上げが遠のくのなら、国民一般にとって望ましいことでした。それが選挙戦術としてプラス要因の一つになったのでしょうか。自民党は2014衆院選で大勝しました。
安倍首相はそのときから、「10%引き上げを再び延期することはない」と繰り返して明言しています。そして年明け国会にあっても、「リーマンショックや大震災などの重大な事態」が起きない限り10%引き上げを延期することはない、と答弁してきました。
3月16日の「10%引き上げ再延期」というスティグリッツ提言は、消費税率引き上げ再延期を行う可能性が高いことを示していて、そのための地ならしと見られています。スティグリッツ教授は世界経済の現状を「大低迷」と言っています。
しかしこのことは東京株式市場の年初続落ショックの報道解説に学んで、私たちもよく知っていることでした。世界経済をけん引している中国経済が成長鈍化を続けていることや原油価格の低迷など……。
アベノミクスは簡単に言えば、日銀の異次元金融緩和主導で円安株高を作り出すことでした。これは金融操作による証券市場、外為市場誘導です。年金積立金の国債主力から株式主力の投資へポートフォリオを変更したことも、証券市場誘導の方策です。これは即座に効果が上がりました。即席効果を目的にして政府の力で巨額の資金を動かしたのですから当然の結果でした。
金融関係と輸出大企業が好況になりましたが、しかしそこまででした。異次元緩和もその効果が持続的なものでなく、日銀は第二、第三の緩和策を打ち出す必要に追われています。それでも未だに、政府の大目標である物価上昇率2%は達成できていません。金融手段だけでは物価上昇2%達成はできそうにない目標だということが、結果として証明されています。実物経済が安倍内閣が期待したように動いていないのです。
こういうことから、3月16日の政府「国際金融経済分析会合」の内容は、アベノミクス失敗を示すものと言えます。
「消費税率を25%まで上げてもまだ足りない」という説をよく耳にします。これが本当ならば、消費税率引き上げよりも、税収拡大の主力を所得税や資産課税、相続課税、消費税の輸出還付の廃止、その他の増税に転換するよう考えた方がいいのではないでしょうか。
消費税率10%引き上げ延期は歓迎です。引き上げ中止ならばさらに大歓迎です。国の歳入増の手段として消費税一辺倒になることには反対です。
憤りを覚えるのは、アベノミクス失敗の結果である消費税率10%引き上げ再延期を、政府・自民党が参院選の人気取りに利用しようとしているのではないかという疑いがあることです。アベノミクス失敗を国民の前で懺悔するのでなく、国民生活の痛みを和らげるために再延期するのだと、ソフトムードを演出していくのでしょうか。
自民党でなくても、また安倍晋三氏でなくても、どの政党が政権運営をしても、誰が政権運営をしても、消費税10%引き上げを見送らざるを得ない経済状況にあります。
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<私のアピール> 安倍総理退陣を願う
安倍内閣はデモクラシー日本を食い破る強権内閣です。
安倍総理退陣まで、国政で安倍自民党に“No”を !
安倍総理を支持する政党、政治家、安倍総理にすり寄る候補者に、
次の参院選・衆院選で彼ら彼女らに“No”を !
安倍内閣はデモクラシー日本を食い破る強権内閣です。
安倍首相は「戦後レジームからの脱却」をめざしています。
安倍首相の抱く国家像は「明治維新リメーク型日本」です。
平和な暮らしで栄えてきたデモクラシー日本。なぜ壊すのですか?
2012年12月26日、安倍内閣が成立しました。
アベノミクス効果で円安・株高が実現しました。
それは、日銀の過剰な国債購入、GPIFの過剰な株式買い入れを伴っています。
円安効果で輸出大企業が栄えました。同じ円安効果で食品など生活関連品、電気代などエネルギー費が値上がりして、大衆には生活費切り詰め効果がありました。
アベノミクスの円安・株高効果の本質とは、なんでしょう?
国民大衆の生活費で、少数の大企業や株投資家の金庫を富ませている結果ではありませんか?
これまでの実績を見ていると、アベノミクスで国民一般が潤うときは来ません。
安倍内閣下で特定秘密保護法が成立しました。安保関連諸法が成立しました。内閣法制局長官と、自民党・高村副総裁と、公明党・北側副代表の三者で手を握って、憲法違反の集団的自衛権を合憲だと、押し通しました。NHKの経営委員や会長には、安倍首相の息のかかった人が座りました。
政府に「批判的な」テレビ論調に政府・自民党の圧力がかかりました。
政府に「同調的な」テレビ論調に、圧力はありません。政府・自民党が「公平でない」のです。
テレビ局や公共の会館管理者などに自主規制が広がっているように見えます。
安倍内閣はデモクラシー日本を食い破る強権内閣です。安倍総理退陣を願っています。