川本ちょっとメモ

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★自分用メモは、新聞・Webなどのノート書きです。

首相の「脱税」:8年間12億6千万円無申告をつづけきても脱税に非ず、不可解なり

2009-12-29 20:07:30 | Weblog

(注1)「8年間12億6千万円」という数字は、朝日新聞の報道によります。
(注2)「9億円」という数字は、鳩山首相の母が毎月1500万円仕送りしたという毎日新聞報道
    に5年間を掛けた数字です。


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後追いで納税したところで、「脱税行為」は事実として残り、それを消すことはできません。金額が大きくなるとふつうは告発されて、裁判の結果、刑の対象になります。しかし、鳩山首相の場合は、脱税に問われることはないようです。

たとえ国が「脱税」と認定しなくとも、私の常識では「脱税」です。一庶民の私が言ったところで、犬の遠吠えにもならないところは悲哀であります。

それにしても、脱税にならないという理由付けはどこにあるのでしょうか?

<鳩山首相が「脱税」に問われない理由>
鳩山首相の場合、なんら罪に問われないのは相続税法第68条にいう「偽りその他不正の行為」に該当しないという認定でしょう。「育ちがいいもので」と、ぼうっとしたぼんぼんを装う必要があったのは、このゆえだろうと思います。

8年間も無申告状態で大金を使いつづけてきた行為は、「知らなかった」と言い張っても、何もしないことそのもの、すなわち不作為という行為が「偽り」に該当し、「不正の行為」に該当すると、私は思います。

だってふつう事業家が所得税をごまかす場合、収入のいくつかを隠すか、支出のいくつかを水増しするかのどちらかです。「収入のいくつかを隠す行為」は、その収入について申告もしないし納税もしないという行為です。要するに、「何もしないという不作為」です。

鳩山首相はこの8年間、毎年、その全額について申告もしないし納税も何もしなかった。ふつうの税逃れでは、1年間の数々の取引のうち、いくつかの取引を計上しない。「帳簿に計上せずに税務上の申告もしない」という行いは「何もしないという不作為」という点で、鳩山首相も一般の脱税者も同じなんです。

相続税法
第68条 偽りその他不正の行為により相続税又は贈与税を免れた者は、5年以下の懲役若しくは500万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
2 前項の免れた相続税額又は贈与税額が500万円を超えるときは、情状により、同項の罰金は、500万円を超えその免れた相続税額又は贈与税額に相当する金額以下とすることができる。


<計12億6千万円を8年間無申告をつづけても罪に問われない理由――わかりません>
相続税法第69条では、正当な事情なくして提出期限内に申告書を提出しないときは、罰せられる。8年間もつづけていれば、当然、罰せられると思う。

「使用人に任せきりだったから知らなかった」ということは、どう考えても「正当な事由にあたらない」。社員10人や20人の会社の社長が、「経理担当や税理士に任せていたので知らなかった」と言っても、責任を逃れることはできません。鳩山首相のケースはこれと同じです。

「情状により、その刑を免除することができる」というのは裁判になった後のことです。告発されなければ、この文言の対象にはなり得ません。

ということで、理由探しをしても今のところ私にはわかりません。

相続税法
第69条 正当の事由がなくて期限内申告書をその提出期限内に提出しなかつた者は、1年以下の懲役又は20万円以下の罰金に処する。ただし、情状により、その刑を免除することができる。


<「申告・納税したのであって修正申告ではない」という理由>
首相のことばをニュースで知ってから勉強しました。下に国税通則法を掲げておきます。

通常の申告は期限内申告(第17条)と言います。申告しないで放っておいても、税務署が何らかの行動を起こさないうちに先手を打って申告することができます。これを期限後申告(第18条)と言います。鳩山首相が言う通りで、修正申告とは異なります。

鳩山首相の案件では、税務署は8年間、何もしてきませんでした。鳩山首相は税務署が第25条の行動を起こす前に申告・納税を済ませたということでしょう。税務署も首相相手では手出しができないのでしょう。ただ、加算税なんかは勝手に納税できませんから、この申告・納税のあとに本税の追加が税務署によってなされるものと思います。

(期限内申告)
第17条 
申告納税方式による国税の納税者は、国税に関する法律の定めるところにより、納税申告書を法定申告期限までに税務署長に提出しなければならない。
 前項の規定により提出する納税申告書は、期限内申告書という。

(期限後申告)
第18条 ――略――その提出期限後においても、第25条(決定)の規定による決定があるまでは、納税申告書を税務署長に提出することができる。
 前項の規定により提出する納税申告書は、期限後申告書という。

(決定)
第25条 税務署長は、納税申告書を提出する義務があると認められる者が当該申告書を提出しなかつた場合には、その調査により、当該申告書に係る課税標準等及び税額等を決定する。



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首相の「脱税」:鳩山首相6億円納付手続き、脱税に非ず、修正申告に非ず

2009-12-27 19:10:19 | Weblog

(注1)「8年間12億6千万円」という数字は、朝日新聞の報道によります。
(注2)「9億円」という数字は、鳩山首相の母が毎月1500万円仕送りしたという毎日新聞報道
    に5年間を掛けた数字です。


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朝日の記事を転載します。


首相、贈与税6億円「手続きした」 国税は申告内容検討
asahi.com(朝日新聞)2009.12.27. 19:43

.鳩山由紀夫首相は27日朝、元秘書による偽装献金事件に関連して、実母からの資金提供が贈与にあたるとして、同日までに贈与税の納付手続きをしたことを明らかにした。

首相は官邸前で記者団に「修正申告したのか」と問われ、「手続きはしました。修正ではなくて、申告をして納税を致しました」と語った。

ただ、国税当局は同日までに申告や納付については把握していない模様だ。首相側が納税地の室蘭税務署に申告書を送るなどの手続きをとった段階と見られる。国税当局は今後、申告書の内容などを検討し、贈与にあたるかどうかを決めることになる。

首相は24日の記者会見で、母からの資金提供について「贈与税を免れたいという発想はなかった」と強調。資金提供は2002年から約12億6千万円あり、納税見込み額は約6億円になると説明した。

だが、02、03年分は時効が既に成立しているため、贈与と認定された場合、加算税などを含む追徴税額は04~08年分で計5億円超となる見通しだ。



あしかけ8年、約12億6千万円を裏金としてもらい、裏金としてつかっても
脱税に非ず、修正申告に非ず、政治資金法でも罪に問われず

自分のお金は何億円という大金であっても、誰だって自由に使えます。母親からもらったお金だから、不正ではない、……と日本の総理大臣が言う。

しかし8年間も、政治資金報告の帳簿に記載せず、税金の申告もしないでお金を使ってきました。世間ではふつう、こういうお金のことを「裏金」といいいます。

恵まれた育ちをしてきたので……、(お金をくれた)母に申しわけない、母にめいわくをかけた。‥‥という意味のことばを、日本の総理大臣が記者会見して言う。「知らなかった、悪意でなかった、ぼんぼんなので何もわからなかった」と総理大臣が国民に語ります。

しかし実は、国民に対して語っているのではありません。罪を逃れるために語っているのです。検察に対して語っているのです。国税に対して語っているのです。

「不正を行う意図はなかった、不作為を行う意図がなかった」ということを証明するために、ことさら「育ちが良すぎて何も知らなかったわからなかったぼんぼん」を装う必要があったということでしょう。

相続税法第68条、第69条が適用されないで、法的に「脱税」とはなりませんでした。これほどの事実上の大金の無申告を8年間つづけてきて、税法の罪に問われることなく終わりました。

「修正申告ではない」と首相がいうことにも法的根拠があります。私は「無申告」は自動的に不作為の脱税行為だと考えていましたが、そうではなかったのです。日本有数の名門の子弟で一国の総理大臣ですから、逃れる方法を専門家が研究しているのでしょう。この関係条文は次回に記載します。

たとえ監督官庁が合法と認めるという結果になっても、実質的には脱税だと私は思っています。その理由は簡単です。次回に記載します。


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首相の「脱税」:鳩山9億円とほかの脱税事件を比べましょう

2009-12-19 15:49:43 | Weblog

(注1)「8年間12億6千万円」という数字は、朝日新聞の報道によります。
(注2)「9億円」という数字は、鳩山首相の母が毎月1500万円仕送りしたという毎日新聞報道
     に5年間を掛けた数字です。 


2009-12-16
小企業社長のささやかな脱税
2009-12-17
首相の「脱税」:鳩山首相実母が上申書提出 「使途は知らず」と
2009-12-18
首相の「脱税」:鳩山不申告9億円贈与と相続税法に見る贈与税
2009-12-19
首相の「脱税」:鳩山不申告9億円とほかの脱税事件を比べましょう
2009-12-27
首相の「脱税」:鳩山首相6億円納付手続き、脱税に非ず、修正申告に非ず
2009-12-29
首相の「脱税」:鳩山首相8年間12億6千万円無申告をつづけきても脱税に非ず、不可解なり
2010-01-15
大和工業脱税:8160万円脱税、社長に有罪判決



小沢さんにしても鳩山さんにしても、自民党出身の人はお金の点で似たようなところがありますね。しかしいまのところ、小沢さんも鳩山さんも、「おとがめなし」のようです。


<鳩山首相の9億円不申告は「告発→有罪」に相当すると思いますけど‥‥>
 毎日新聞(2009.12.16.朝刊)によれば、実母から鳩山首相への「提供額は毎月約1500万円、年間約1億8千万円で、08年までの5年間の総額は約9億円に上る。」

 このことをネットから拾い出した下の脱税事件記事と同じ表現をすれば、「鳩山由紀夫総理大臣は年間約1億8千万円、08年までの5年間で計約9億円の所得(贈与)を隠し、約4億3700万円を脱税した」ということになります。「知らなかった」とか「隠す意図はなかった」とかの言い訳にかかわらず、告発 →→ 有罪(執行猶予付き)が妥当ではないか。‥‥と、しろうとである私は思います。下の脱税事件では、みな摘発後に税金を納めています。今後において鳩山首相が税金を納めても、免罪符にはなり得ません。

それにしても、鳩山首相のこの巨額の贈与税脱税事件が税務当局によって何年間も放置されてきたことも、不思議のひとつです。


<脱税容疑、不動産経営者ら逮捕=売却益1億7200万円隠す-名古屋地検>
時事ドットコム 2009/10/21-22:32

 名古屋市千種区の不動産会社が約1億7200万円の所得を隠し、約5100万円を脱税したとして、名古屋地検特捜部は21日、法人税法違反容疑で、同社の実質経営者(60)=京都市西京区=、会社役員(47)=住所不定=両容疑者を逮捕し、関係先数カ所を家宅捜索した。


<不動産会社元会長に有罪=ABCホーム脱税-東京地裁>
時事ドットコム 2009/08/28-12:21

 不動産会社「ABCホーム.」(東京都港区)の脱税事件で、法人税法違反罪に問われた元会長(41)ら2人の被告
と法人としての同社の判決公判が28日、東京地裁であり、片岡理知裁判官は元会長に懲役2年、執行猶予4年、罰金1800万円(求刑懲役2年、罰金3100万円)を言い渡した。

別の事件で執行猶予中だったコンサルタント会社代表(49)は懲役6月、罰金120万円(求刑懲役10月、罰金150万円)の実刑、ABC社については求刑通り罰金1000万円とした。

 片岡裁判官は「計画的な犯行で、税務調査後に証拠隠滅工作もするなど悪質」と指摘した。判決によると、被告らは仲介手数料を支払ったように偽って同社の利益を少なく見せ掛け、2004年6月期までの2年間で計約4億8200万円の所得を隠し、計約1億3900万円を脱税した。


<J&J日本元代表を告発=ストックオプション6000万円脱税-東京国税局>
時事ドットコム 2009/10/07-12:26

 米医療品大手「ジョンソン・エンド・ジョンソン(J&J)」日本法人の元代表(72)が、米国の親会社から与えられたストックオプションで得た所得約1億6000万円を隠し、約6000万円を脱税したとして、東京国税局から所得税法違反の疑いで東京地検に告発されたことが7日、分かった。元代表は指摘を受け修正申告したという。


<福島の移動クレープ店脱税元役員に有罪判決>
福島放送 2008年06月21日 10時14分配信

クレープの移動販売などで所得税約7155万円を脱税したなどとして、所得税法違反などの罪に問われた福島市の元会社役員(33)の判決公判は20日、福島地裁で開かれ、裁判官は懲役1年、執行猶予3年、罰金1800万円(求刑懲役1年、罰金2100万円)を言い渡した。

 実際は所得計約2億2900万円、所得税約7635万円だったのに、所得約3120万円、所得税約480万円と申告。所得約1億9780万円を隠し、約7155万円を脱税した。


<FX脱税で元校長在宅起訴=利益3億円、申告せず-和歌山地検>
時事ドットコム 2007/12/26-18:39

 外国為替証拠金取引(FX)で得た約3億円を申告せずに所得税約1億円を脱税したとして、和歌山地検は26日、所得税法違反の罪で和歌山県橋本市の元小学校長(71)を在宅起訴した。


<FX脱税で三重の医師告発 名古屋国税局>
共同通信 2007/09/18 11:15

 個人投資家に人気の高い外国為替証拠金取引(FX)で得た総額1億数千万円の所得を隠し、数千万円を脱税したとして、名古屋国税局が所得税法違反容疑で三重県四日市市の男性医師(54)を津地検に告発していたことが18日、分かった。

関係者によると、医師は本業で得た所得は申告していたが、2004年12月までの2年間にFXで得た所得を一切申告せず、数千万円を脱税していたとされる。医師はすでに修正申告したという。

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首相の「脱税」:9億円贈与と相続税法に見る贈与税

2009-12-18 01:41:54 | Weblog

(注1)「8年間12億6千万円」という数字は、朝日新聞の報道によります。
(注2)「9億円」という数字は、鳩山首相の母が毎月1500万円仕送りしたという毎日新聞報道
    に5年間を掛けた数字です。


2009-12-16
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2009-12-27
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2010-01-15
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相続税法から贈与税関係条文をリストアップしました。青字は私のコメントです。


(贈与税の納税義務者)
第1条の4 次の各号のいずれかに掲げる者は、この法律により、贈与税を納める義務がある。
 1.贈与により財産を取得した個人で当該財産を取得した時においてこの法律の施行地に住所を有するもの

①鳩山首相はこの条項の「納税義務者」に該当します。


(贈与税の課税財産の範囲)
第2条の2 第1条の4第1号又は第2号の規定に該当する者については、その者が贈与により取得した財産の全部に対し、贈与税を課する。

①鳩山首相がおかあさんからもらった9億円は全額、贈与税の対象(課税価
 格)になります。



(贈与税の課税価格)
第21条の2 贈与により財産を取得した者がその年中における贈与による財産の取得について第1条の4第1号又は第2号の規定に該当する者である場合においては、その者については、その年中において贈与により取得した財産の価額の合計額をもつて、贈与税の課税価格とする。

①鳩山首相のケースは、毎年1億8千万が課税価格になります。


(贈与税の非課税財産)
第21条の3 次に掲げる財産の価額は、贈与税の課税価格に算入しない。
 6.公職選挙法(昭和25年法律第100号)の適用を受ける選挙における公職の候補者が選挙運動に関し贈与により取得した金銭、物品その他の財産上の利益で同法第189条(選挙運動に関する収入及び支出の報告書の提出)の規定による報告がなされたもの

①鳩山首相のケースは、この条項に該当するとして「虚偽の政治資金報告書」
 を提出しました。
②虚偽ですから、この条項には該当しません。
③この虚偽報告行為は「税金逃れ」になりますから、贈与税申告という観点で
 は、下記の第68条にいう「偽り」に該当すると思います。



(贈与税の基礎控除)
第21条の5 贈与税については、課税価格から60万円を控除する。


(贈与税の税率)
第21条の7 贈与税の額は、前2条の規定による控除後の課税価格を次の表の上欄に掲げる金額に区分してそれぞれの金額に同表の下欄に掲げる税率を乗じて計算した金額を合計した金額とする。
       200万円以下の金額 100分の10
       200万円を超え300万円以下の金額   100分の15
       300万円を超え400万円以下の金額   100分の20
       400万円を超え600万円以下の金額   100分の30
       600万円を超え1000万円以下の金額  100分の40
       1000万円を超える金額           100分の50

①鳩山首相のケースは、毎年1億8千万円で、これから60万円を控除した1億
 7940万円が課税価格になります。納付するべき税額を計算すると、1年当た
 り8,745万円です。
②5年分で〆て、不申告・不納付=脱税金額は4億3,725万円です。今回はこれ
 に延滞税などが付加されるでしょう。
③12月16日付け毎日新聞朝刊では「5年間9億円」となっていますが、同じ記
 事の中で母親の仕送りが「8年前に始まった」としています。8年分となれ
 ば、贈与金額は14億4千万円で、納付すべき税額は約7億円になります。



(贈与税の申告書)
第28条 贈与により財産を取得した者は、その年分の贈与税の課税価格に係る第21条の5、第21条の7及び第21条の8の規定による贈与税額があるとき又は当該財産が第21条の9第3項の規定の適用を受けるものであるときは、その年の翌年2月1日から3月15日まで(同年1月1日から3月15日までに国税通則法第117条第2項(納税管理人)の規定による納税管理人の届出をしないでこの法律の施行地に住所及び居所を有しないこととなるときは、当該住所及び居所を有しないこととなる日まで)に、課税価格、贈与税額その他財務省令で定める事項を記載した申告書を納税地の所得税務者長に提出しなければならない。


(納付)
第33条 期限内申告書又は第31条第2項の規定による修正申告書を提出した者は、これらの申告書の提出期限までに、これらの申告書に記載した相続税額又は贈与税額に相当する相続税又は贈与税を国に納付しなければならない。


第68条 偽りその他不正の行為により相続税又は贈与税を免れた者は、5年以下の懲役若しくは500万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
 前項の免れた相続税額又は贈与税額が500万円を超えるときは、情状により、同項の罰金は、500万円を超えその免れた相続税額又は贈与税額に相当する金額以下とすることができる。

①鳩山首相の政治資金虚偽報告行為は、贈与税申告という観点では、第68条に
 いう「偽り」に該当します。
②悪意の有無の問題を除いて好意的に見ると、「贈与税申告と納税をしなかっ
 た」という不作為の行為は、第68条にいう「その他不正の行為」に当たるも
 のと思います。



第69条 正当の事由がなくて期限内申告書をその提出期限内に提出しなかつた者は、1年以下の懲役又は20万円以下の罰金に処する。ただし、情状により、その刑を免除することができる。

①鳩山首相への贈与は8年前に始まったということです。「知らんふり」を8
 年間継続してきて、「検察捜査の結果待ち」という言い分で、いまだに納税
 していません。
②鳩山首相のケースはこの条文に該当すると思いますが、そうはならないよう
 です。

      

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首相の「脱税」:鳩山首相実母が上申書提出 「使途は知らず」と

2009-12-17 03:06:08 | Weblog

(注1)「8年間12億6千万円」という数字は、朝日新聞の報道によります。
(注2)「9億円」という数字は、鳩山首相の母が毎月1500万円仕送りしたという毎日新聞報道
    に5年間を掛けた数字です。


2009-12-16
小企業社長のささやかな脱税
2009-12-17
首相の「脱税」:鳩山首相実母が上申書提出 「使途は知らず」と
2009-12-18
首相の「脱税」:鳩山不申告9億円贈与と相続税法に見る贈与税
2009-12-19
首相の「脱税」:鳩山不申告9億円とほかの脱税事件を比べましょう
2009-12-27
首相の「脱税」:鳩山首相6億円納付手続き、脱税に非ず、修正申告に非ず
2009-12-29
首相の「脱税」:鳩山首相8年間12億6千万円無申告をつづけきても脱税に非ず、不可解なり
2010-01-15
大和工業脱税:8160万円脱税、社長に有罪判決



毎日新聞の記事を◇印の下に転載します。


<「政治資金という認識はない」という不自然な弁明>
鳩山首相のおかあさんは、「資金を何に使うか知らなかった」といっているそうです。当時の鳩山由紀夫衆議院議員の公設第1秘書の「資金が集まらない」ということばを伝聞して、毎月1500万円の仕送りを始めたという。

公設第1秘書とは、「国会法」に基づく身分です。その給与は、「国会議員の秘書の給与等に関する法律」に基づいて衆議院が支払います。こういう身分である公設第1秘書に渡す月額1500万円ですから、政治活動に使われると思うのが常識でしょう。しかし、鳩山首相のおかあさんは知らなかったという。しらじらしいですね。認知症でしょうか。認知症なら上申書を出す能力がないはずです。


<9億円仕送りは「金銭貸借」か「脱税」か>
「何に使うか知らなかった」にしても、毎月1500万円を息子に仕送りすることが贈与税の対象であることは知っているにちがいありません。資産家は、贈与税と相続税にはたいへん敏感です。できるだけ税金を払わずに、自分の子どもに資産を受け継がせていくことに、常に大きな努力を払っています。これは受け継ぐ立場の子どもの側も同じです。

下の転載記事では、約9億円のお金が5年間にわたって仕送りされてきたといっています。この間に、子ども側からおかあさん側へ、適切な金利が支払われていなければ、親子間の「金銭貸借」の認定が成り立ちません。

従って、意識的であるかどうか、計画的であるかどうかを問わず、この9億円は「脱税」といえるでしょう。摘発の後に税金を支払ったところで、脱税という事実に変わりありません。

 ◇  ◇  ◇  ◇  ◇  ◇


鳩山首相実母が上申書提出 「使途は知らず」と
毎日新聞 2009.12.16.朝刊

鳩山由紀夫首相の資金管理団体「友愛政経懇話会」を巡る偽装献金問題で、首相に資金提供した実母(87)が15日夜、弁護士を通じ上申書を東京地検特捜部に提出した。資金提供に至った経緯を説明したうえで「息子を応援しようと思ってやった。資金を何に使うか知らなかった」と偽装献金への関与を否定する内容とされる。また、実母からの資金提供が約8年前に始まったことも新たに判明した。

特捜部は近く首相側からも上申書の提出を受け、会計事務担当の元公設第1秘書を政治資金規正法違反(虚偽記載)で来週中に在宅起訴する方針を固めた模様だ。

関係者によると、元公設第1秘書は約8年前、「資金が集まらない」と周辺に打ち明けた。これが鳩山家の関係する公益法人の幹部を介して実母側に伝わり、資金提供が始まったとされる。提供額は毎月約1500万円、年間約1億8000万円で、08年までの5年間の総額は約9億円に上る。

上申書で、資金提供を始めた事情や資金提供額に触れたうえで「息子を応援しようと思い続けた。何に使うかは知らなかった。政治献金とは思っていない」などと説明しているという。また特捜部は、会計責任者だった元政策秘書については、事務にまったくかかわっておらず、名目上の責任者に過ぎないとして嫌疑不十分で不起訴にする方針。特捜部は「(故意がなくても)重大な過失で虚偽記載を招いた場合は禁固5年以下または100万円以下の罰金」と規定した同法違反(重大な過失)に該当するかどうかを調べていた。首相については嫌疑不十分で不起訴とすることを決めている。


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小企業社長のささやかな脱税

2009-12-16 12:31:26 | Weblog

2009-12-27
首相の「脱税」:鳩山首相6億円納付手続き、脱税に非ず、修正申告に非ず
2009-12-29
首相の「脱税」:鳩山首相8年間12億6千万円無申告をつづけきても脱税に非ず、不可解なり
2010-01-15
大和工業脱税:8160万円脱税、社長に有罪判決



私は一つ年上のおじさんの仕事を手伝うために奈良県に移住しました。1983年のことでした。

創業3年目のそのとき、おじさんの会社は小さな貸事務所1室を借りていました。私は4人目の従業員で、身内である私は社長の右腕として勤めました。それが4車線の主要地方道に面する優良の地に4階建ての自社ビルを建て、最大約30人の従業員を抱えるまで発展しました。1998年に退職したとき、会社はほぼ全盛期にありました。

私は社長の右腕として経営を手伝い、営業と総務・経理事務のすべてに従事してきました。自社ビルが建つまでの間には、毎年税務調査が入った時期がありました。

そのころの税務調査は、主として社長であるおじさんの個人問題に焦点を宛てていました。大阪の繁華街での飲食や買い物を交際費計上しているものについて、徹底的にチェックしていました。

社長は、お歳暮やお中元の時期に自分用のオーダーシャツやオーダースーツを作っていました。あるとき、税務調査にやってきた係員がデパートの請求内訳を手に持って尋ねました。

「これも贈答用ですか」
「そうですよ、得意先の人です」
「そうですか、デパートで発注伝票を見せてもらったら、ネーム入れ指示が社長さんと同じ名前でしたが……」

この一言で、社長はかぶとを脱ぎました。修正申告をして追加納税をしました。そんなごまかし経験をしてから、社長は三人の子どもに合法的な無税贈与を積み重ねていきました。毎年、無税の限度額きっちりの金額を子ども個人名義の預金通帳に入金していきました。20年たったらたいそうな金額になりました。その社長は昨年夏に亡くなりました。縁えにし深い、わたしの伯父でした。

このようにお金を稼ぐ人は、ふつうの勤め人よりはるかに金勘定に敏感です。もうけることに敏感であり、お金を自分や家族に残すことに敏感であり、税金を可能な限り払わないということにも敏感です。このことはしかし、人の気持ちとしてあたりまえのことです。ただし、ごまかしがない限り……。



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民主党政権初国会の感想

2009-12-10 23:02:57 | Weblog

8月30日の衆院選で民主党は大勝しました。政権交代です。
できるかぎり早く臨時国会を召集しなければいけない。
しかし遅れに遅れて、第173回臨時国会召集は10月26日でした。

民主党、社民党、国民新党の連立三党が意図的に開会を遅らせました。
国民の期待が寄せられた大勝でしたから、それに応えて速やかに開くべきでした。
現実には、政略的な観点から、遅い開会になりました。

新しい連立与党の政権運営はすべて、来年7月の参院選で勝つために行われている。大方の報道はそう伝えています。

「事業仕分け」人気の裏で、国会運営は強権的に行われました。多数派が国会を牛耳るのは民主主義の基本でありますが、少数派の野党意見を国会で十分に開陳させるのが条件になっています。政権交代第一歩から野党を蹂躙しほうだいでは、民主主義とはいえません。ボーッとした風情の鳩山総理ですが、臨時国会の運営に自民党にも似た民主党の本性がうかがえます。

今の鳩山政権・小沢民主党の横暴さは、小泉自民党の横暴さと同じものだと私は思います。

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